朝6時30分。3畳ほどの畳の上でテーブルを囲んだ3名の前にはトランプが置かれている。これから合宿2日目を過ごすことのできる1人を選ぶために、ガミヤサキ、リンゴグミinc、パンコ・ルナ・リーフィの3名が大貧民を行う。この3名は、合宿オーディション初日に脱落を宣言されたメンバーたちだ。
静かで狭い部屋には、ニコ生中継用のカメラマン、スチールのカメラマン2人、映像収録用のカメラマン2人と、彼女たちを超える人数が、すし詰め状態で待ち構えている。そして、カメラの先には何万人もの視聴者たちがそれを見つめている。なぜ、私たちはここまで晒されながらも早朝に大貧民をしているのか? そんなことを考える暇もないまま、渡辺淳之介がカードを配り、ゲームは始まった。
狭い空間にはカードを置く際の微かな衝撃音と「パス」という言葉だけが飛び交っていた。結果、ガミヤサキが処理を獲得し、救済措置を受けることが決まった。救済措置を受けるメンバーが決まったにもかかわらず、最後までゲームを続けているリンゴグミincとパンコ・ルナ・リーフィは、どんな気持ちでトランプを見つめているのか。
そんな結果に関係なく、7時からは早朝マラソンが行われた。候補生18人とWAggの5人。最下位になると脱落となることが渡辺の口から説明され、「よーいどん」の声とともにマラソンが開始。往復3kmの道を1番手で戻って来たのは、アオイロコ・カンパイア。最後の力を振り絞って華々しくゴールと思った瞬間、渡辺から「もう一往復」の声が無情にも告げられる。後続のメンバーたちも、思いもよらなかったという顔で2往復目を走り出した。
最終的にアオイロコ・カンパイアは1位のままフィニッシュ。そこから大幅な差をつけられ、アイノ・リ・スタートが最下位でゴール。2日目の脱落が決定した。
その後、食堂で朝食の時間へ。ご飯と味噌汁に、卵焼きにウィンナーに漬物といった朝食らしい朝食だが、昨晩と同じくランダムでご飯の下にデスソースが仕込まれたメンバーも何名かいる。このデスソース入りご飯を食べ残すと脱落になることが改めて告げられる。今回の合宿は、明瞭な脱退基準が例年より多く設けられているようだ。
朝食は脱落者を出すことなく終わり、候補生による3つのグループとWAggの4チームそれぞれで、お昼に発表するダンス審査の練習がはじまった。そんな中突如、腹痛により、ジギーが脱退することが渡辺のTwitterで発表された。合宿2日目にして3名の脱退者。とても静かなはじまりではあるが、ぬめっとした雰囲気が合宿施設を覆うWACK合宿オーディション2020の2日目がはじまった。
取材&文:西澤裕郎
写真:外林健太
■合宿2日目脱落者コメント
リンゴグミinc
思ったより悔しいという気持ちはなくて……(といいながら大粒の涙が流れる)敗者復活戦の前のダンスが本当に酷くて、自分の実力ってこんなもんなんだなと思ったんです。やれることはやっていたつもりなんですけど、客観的に自分のことを見てみたら全然できていなく悲しい気持ちになりました。私が脱落しちゃったときに、みんなが声をかけてくれて。1日しかいなかったのにこんなにチームになれるんだなって。正直、面談のときも何を話したらいいのかわからず、テンプレートのようなことしか言えず、どうしたらいいかわからなくなっちゃったんです。せっかくいただいたチャンスなのでチャレンジしてみようと思って来たんですけど、自分が何を考えているのか、自分の気持ちがまったくわからなくなってしまった。(涙が止まらない)1回泣き始めたらずっと涙が出てきちゃいます。これまで涙が出るような経験がなかったんです。学校生活では苦しいこととか何もなく、ただただ楽に生きているなってことを思いました。……正直、合宿に来てずっとつらかったです……。でも、チャンスをもらって合宿に来たという選択は間違っていなかったかなと思っています。
パンコ・ルナ・リーフィ
自分では全部やったつもりでいたけど、周りの人と比べたら全然ダメだったんだなってことがわかりました。いま1番あるのは悔しいって気持ちです。みんなができることが私はできない。1番最初に落とされた原因の「歌詞を覚えていない」こともそうだし、みんなと比べてカメラに映れなかったり、表現したり、それを自分はできなかった。合宿に来たからには、今までの自分と変わりたいと思っていました。ちょっとは変われた部分はあると思います。合宿を通して学んだことは、見えないところでもしっかりしている人が報われるってこと。あと、他人からの評価がすべてだなと思いました。自分でやっていると思っていても、周りから観て全然できていなかったら意味がない。もし次オーディションがあったら受けるかどうか…… それは考えているところです。まずは自分でしっかり生活できたらいいなって思います。
ジギー
やっぱり悔しいです。この短期間で、自分にできることって本当に少ないなって感じました。今日も走れなかったし、ご飯も食べれなくて。ご飯を食べることは最低限って言われていたけど、それもできなかった。本気で(アイドルに)なりたくて来たんですけど、体がついていかなかった。面談でも言ったんですけど、人の記憶に残りたかったんです。この合宿で、プロの世界って本当にすごいんだって思いました。あと礼儀とか人としてのことの大切さ。私は日常で人と接する機会が少なくて。学校生活でもちょっとの人としかしゃべらないんですけど、みんなめっちゃ優しくておもしろくていい子たちでした。具合が悪くなったとき、グループのメンバーだけじゃなくて他の子たちも声をかけてくれて。だからこそ、チームの人たちに申し訳ないなと思います。発表のときに歌詞が飛んでしまったのもそうだし、本当に何もできなさすぎてたので、次オーディションがあっても私に受ける価値があるのかなって。人って結果を観るから。やり遂げられる人になりたかったなと思います。
全て見せます! WACKオーディション合宿2020完全密着 6泊7日の死闘
3月22日(日)13時~「前半」:https://live2.nicovideo.jp/watch/lv324617066
3月25日(水)12時~「後半」:https://live2.nicovideo.jp/watch/lv324617068
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