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天津飯放浪記第19回「味のまとまりと食感のバランスが素晴らしい天津飯」

StoryWriter

おいっす。マイホームライン京王線のマイナーそうな駅を放蕩することにハマっている、火鍋栄光です。

今日もどこの駅で降りようかと京王線に乗り込む。車窓の外は今にも一雨来そうなゴロゴロ天気。そんな暗雲よりも先に我が胃腸に鳴り響く雷鳴。どこで降りようかと決める前に、必要に駆られて降りた駅がこちら。

芦花公園駅。駅回りはちょこっと昭和の香りが漂う商店街。でも個人経営の食堂とかも多くていい感じ。田舎出身のお上りさんにはこれくらいの雰囲気がちょうどいいんだよネ。

胃腸の暗雲が過ぎ去って安心していたら、一難去ってまた一難。今度は腹が減った……。なんたるわがままボディ。女の子に振り回されるならともかく、自分の胃腸にまで振り回される私。男兄弟で生まれたので、きっと妹がいるお兄ちゃんってこんな気持ちなんだろうか…… と思いながら、ふらっと目の前にあった中華料理屋さんへ。いっちょ行きますか!

というわけで、商店街の並びにあったお店「栄来軒」へ。火鍋「栄」光が「来」たよ、ガハハ。

ンーー、この昭和感たまらないですなァ。龍と鳳凰が並んでたらそれっぽくなるよね、分かるよ。なんかここは良い天津飯を出してくれそうな気がするゾ!

うむ、良いラインナップ。町中華ってのはこういうのが嬉しいんだよね。個人的には炒飯を“やきめし”って書いてるお店が好き。皆が好きなものがあれば良いのであって、特別に奇をてらう必要は全くないんだよな。視界の片隅にある天津湯麺にまた興味を惹かれつつも、天津飯を注文。ドンと来い!

時刻はもう14時を回った頃。店内はお客さんも他におらず、注文が終わると外にある営業中の看板は準備中にひっくり返される。厨房も片付け始めてるようで、ちょっと申し訳ないな。

TVのワイドショーでは、芸能人の不倫問題についてあれやこれやと。この時期にこんな事に騒いでる事自体ナンセンスだし、悪いニュースばかり取り上げるわ、内容にも偏りがあるわ……。こんな事ばっかり取り上げてるから、世の中の雰囲気が一層悪くなるんだわな。メディアって何の為にあるんだろうね。と、客席からバッターボックスに野次を飛ばすようなことを考えてると……。

\オマタセシマシター/

見よ! このあんの波々な盛りっぷり! 黄色の大地の上には7つのドラゴンボールが散らばってら! この天津飯には期待しちゃっても良いんですかシェンロン! いっちゃいますよ!

開けた隙間から白米があんに染められていく……!

ウーン! 醤油ベースのあんが非常にまろやか! 少し甘めでそんなに酸味はない! これまで食べた醤油ベースのあんは結構印象に残るくらいの酸味があったんだけど、ここの天津飯はそんなことない! 程よいまろやかさだけど、しっかり味がする!

具材は竹の子グリンピース、そして細長く刻んだなると巻き。もしかしたらラーメンのトッピングがメインの用途だったのかもしれないけど、具材は質素になりがちな天津飯に入れてくれることで、アクセントには繋がってくるので嬉しい一手間だよ! そして卵の固さもほどよい固さ。火を通し過ぎて固くなってしまったり、ものすごいフワッフワなものもあるけど、ここは親子丼の卵くらいのふわふわさ! 全体の食感のバランスも良いし、味も角がなく纏まっている! 醤油ベースの天津飯ではこれまでで一番かも! うまし! あんも飲み干しちゃうゾ!

ぷはーっ。幸が薄い時世の中で、天津飯を食べた後の多幸感だけは私だけのものやで。皆も自分の中の幸せを見つけてこのクソみたいな時代を生き抜こうね。ほんじゃ、今週はこの辺で。

今日の天津飯豆知識:
天津飯に餡をかけるのは、酢豚のあんから考案されたものが発祥らしい。


⭐︎今日のお店⭐︎
「栄来軒」
住所:東京都杉並区上高井戸1-20-4
電話番号:03-3303-4328
火鍋栄光(ひなべ・えいこう)
大学時代には中国に留学、何度も旅行で現地に赴いては中国各地の料理に舌鼓を打ってきた若武者。現在はネオン輝く大都会トーキョーで、本場の味が楽しめる中華料理屋を彷徨う神出鬼没のゾンビ。普通の中国人はチンプンカンプンの日本発祥中華料理の代表格「天津飯」に人生を狂わされかけている。記事中の写真は©︎Photo by Kopei。

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