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StoryWriter

おいっす。

いつもなら最寄り駅に向かい、ぶらり途中下車した駅で天津飯を探すワイ氏でありんすが、今日はなぜか駅の無い方向へと気の向くままにぷらぷら。どんどん集合住宅が立ち並ぶ住宅街へと進んでいく。

何も無い。

何も無い……。

八百屋が一軒あるだけで何にも無い。そんな代わり映えのない景色の中にひっそりと住宅に擬態するラーメン屋を発見。今の家に引っ越して1年近く経つけど、まさかこんなところに街中華があるとは思わなかった。

「㐂楽(きらく)」。

7が3つで漢字を織りなすとは、なんて吉祥な漢字であろうか。この時の私は知らなんだ、この後に私の身に降りかかる”アイツ”との巡り合わせに。早速いざ参らん。

早速、看板から天津飯(800円)を注文。ちなみにチャーハンは500円という破格の安さ。

あゝ、お分かりいただけるだろうか?

なんというアットホーム感。老夫婦が仲睦まじく経営している街中華にはハズレがない、これは恐らく我が故郷、高齢化・過疎化が著しく進む青森で培われた体験から由来する。実家の近所の美味しい定食屋・ラーメン屋では、老夫婦の熟練した安定感のある味を味わってきたのだ。記憶に刻まれた原体験、児童書の『ぐりとぐら』が世代を超えて永遠に輝き続けるようなものなのだ!

……自分で出した比喩なのに全然しっくりこない。ええい、ままよ。このタイミングで天津飯が出来上がったことにさせてください。

\オマタセシマシター/

餃子も頼んじゃいましたサーセン!

ニラが豊富な餡には、酢が多めにラー油をちょっと入れるのがスッキリして食べやすいのでおすすめ。

それより、ご覧あれよ!

卵きれー! このちょっとしたクレーター、黄色のキャンバスに緑の絵具が垂らされておる。そして、あんによるニスのコーティングがもうツヤツヤ。真っ白なお皿の中に輝く黄色のミラーボール。いっただきまーす!

ご開帳!

 

見てこの写真! この光沢! 美味そうすぎる!

そして実際美味しい! 甘酢あんがベースではあるんだけど、ちょっとチーズでも入っているのだろうか…? 焦げチーズの味がする。それが微妙な塩味でもあり、甘酢との絡み合いで白米の最高のお友達になる! ナイスバディ! 具材はネギと竹の子と椎茸なんだけど、椎茸の食感が歯応えありのプルプル! 天津飯でここまでの食感が残る椎茸はお初。イヨッ! 酢の酸味が強めなので後半はちょっと味に飽きが来るかもしれないけど、そんな時はラー油など加えて味変すれば、あっという間にぺろりと完食!

食べ終わった満足感に駆られて、お決まりの食後のお皿を撮るのを忘れました……。

にしてもうめえ〜多幸感! 多幸感! どこの駅からも遠くて最低10分はかかるんだろうけど、是非お近くを通りかかった方はぜひ!

今日の天津飯豆知識:
天津の鑫茂天材酒店の調理師・馬金鵬によると、馬は三代に渡る調理師の家系で、初代の馬蓮慧が1909年に日本の神戸と飲食文化の交流を行った際に、日本から「味の素」を紹介してもらった代わりに、天津飯を教えたと言われている。


⭐︎今日のお店⭐︎
「㐂楽」
所在地:〒182-0014 東京都調布市柴崎2丁目21−8
時間: 12時00分~20時00分
定休日:日曜日

火鍋栄光(ひなべ・えいこう)
大学時代には中国に留学、何度も旅行で現地に赴いては中国各地の料理に舌鼓を打ってきた若武者。現在はネオン輝く大都会トーキョーで、本場の味が楽しめる中華料理屋を彷徨う神出鬼没のゾンビ。普通の中国人はチンプンカンプンの日本発祥中華料理の代表格「天津飯」に人生を狂わされかけている。記事中の写真は©︎Photo by Kopei。

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