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【連載】ヨコザワカイト「digる男。」Vol.46「ド新品なレコード店『東都/TOHTO』の怪奇な魅力」

StoryWriter

お世話になっております。digる男・ヨコザワカイトです。

コロナ禍で揺れる音楽業界、特にレコード店に関しては暗い話題ばかりです。

そんな時代を嘲笑うかのように、新しくレコード店『東都/TOHTO records & books』がオープンしました。

湯島天神のすぐ横の路地にあるこのお店。レコファンでよく見た店員さんが開店した“怪奇な”魅力を持つレコード / 本 / CDのお店です。

そのオープンをTwitterで知り「なぜ今!?」と気になってしょうがなかったので、マスクなどの衛生面に気をつけて、オープン翌日に早速訪れてきました。

入るとすぐに感じたのが、新品の木の香り。それは、すぐに設置したての棚とエサ箱(レコードが入った箱のこと)の香りだとわかりました。マスク越しにも嗅ぎ分けられるほどの「希望」を感じながら、この香りが尽きていくのを共に年月を重ねて実感していきたいな、と思うのでした。とにかく香り消えぬ内に今すぐ、行きましょう(笑)!

棚に並べられたラインナップを見れば、その新しさの影に隠れた、このお店の怪奇な魅力に気がつくことでしょう。いわゆる普通のレコード店 / 本屋のセレクトではありません。

まず目に入ったのが絶版となっている小林信彦の作品集。装丁がくっそかっこいい! まだあるかは分からないので、気になった人はお店に行って確認してみてくださいね。

そのほか怪奇小説〜ミステリー〜サブカルチャーまで、何かを手に取らずには居られないラインナップ。この日は迷った末に、都築道夫の『怪奇小説という題名の怪奇小説』などを“ジャケ買い”。これ、表紙の左右がわざと逆になっているんですよね。素敵です。

本棚からエサ箱に目を移せば、ジャンキー涎垂のレコードたちが並んでいます。ソフトロック、レアグルーヴ、ジャズ / ソウルなどなど、ジャンル問わず一癖も二癖もあるラインナップでした。かといって、謎に高い商品が並んでいる訳ではない、というのがポイントでしょうか。日本のものでは、あがた森魚や巻上公一の名前を何度か見かけました。

この日は、リー・ペリー(LEE PERRY & THE UPSETTERS)の『Battle Of Armagideon』をこれまたジャケ買い。肉々しい裏ジャケに心奪われ持ち帰りましたが、そのド派手な外見に負けず劣らずの自由なダブの世界に圧倒されてしまいました。

品数は、セレクトショップとレコード店の中間といったあたりでしょうか。見たことのないようなCDもたくさん取り扱っており、怪奇な魅力が詰まったお店です。

他のお客さんも結構いたので残念ながら店長さんとはお話できませんでしたが、1つだけ「なぜ今オープンしたのか?」と訊くと「たまたまですよ」とはにかみながら答えてくださいました。通う側としては何かこの時代こその希望を感じずにはいられませんでしたが、これから多くの人の馴染みのお店になっていくのでしょうか。

最寄り駅は千代田線の湯島駅。御徒町駅やお茶の水からも歩けます。購入したレコードを片手に湯島天神に寄って帰れば、その日はもう最高の1日です。是非!

『東都/TOHTO records & books』

住所:東京都文京区湯島3丁目23-9 小笠原ビル 1階
営業日:12時〜19時半 火曜日定休
公式HP:https://tohtorecords.com/
Twitter:https://twitter.com/oyoyo_president

※「【連載】digる男。」は毎週月曜日更新予定です。

ヨコザワカイト(よこざわ・かいと)
1997年生まれ、千葉県出身。大学では社会学を専攻している。StoryWriterで連載を担当しながら就職活動中、そして迷走中。最近は、密かに音源も制作している。

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