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天津飯放浪記第26回 五番軒「青森市で出会った、ムヒと共にご提供の海老入り天津飯」

StoryWriter

おいっす。

今回は天津飯放浪記第26回目にして、初の遠征回。

地元青森県・青森市にはどんな天津飯があるのか探検しに行って参ったゾ。

調べてみると、大盛りで有名な町中華があるとのことで、青森駅前へ。

うーん、なんもなくて好き。これくらいの方が実は住みやすいということを実感はしているけど、なかなか都会を離れる勇気は出ない。そうしているうちに人生は時間が過ぎていくのだなあ、とぼんやり物思いに耽る。BGMは森進一の「襟裳岬」でお願いします。夏は過ごしやすい気温の地元が好きさ。

ぷらぷら歩いているうちに青森駅近くの物寂しいビッグストリートへ。お土産屋さんと市場、もうちょっと奥まで行くと飲み屋が並ぶ静かな駅前。僕の原風景、なかなかいいじゃないか。

そうこうしているうちに、駅近の町中華「五番軒」へ。きっと過疎化が進む前は好立地で賑わってたんだろうなあ……。昭和哀愁漂う入り口から既に期待大! さぞ年季が入ったお味に違いない。ここで既にお腹が鳴り始める。

うーん、なんとも勇ましい入り口。今年は奇しくも新型コロナウイルスの影響で開催ができなかった夏の風物詩、青森県民の唯一のエネルギー発散の場所がないなんて去勢レベルの出来事よね……。地方経済は、我々が思っているよりもダメージを受けてるだろうなとしょんぼり。皆頑張って生きて延びてくれー! いざ入店。

うーん、イイ! イイゾ! 素敵な雰囲気だ! 丼ものと麺類、定食とちょっとのお酒。こういう心構えのメニューが素敵! 失われつつある昭和の風景! 早速、耳の遠くなったおばあちゃんに3回呪文を唱えて天津飯と餃子を注文。青森で天津飯を食べるのは初めてなので、期待大。

店内を見渡すと、昼間からビールで一杯やってるおじさんたちや休憩時間の市役所職員、家族連れで賑わっている。うーん、こういう風景も田舎。失われてほしくない風景、インスタ映えよりも心に残る絶景。町中華で昼からお酒飲んでるおじさんが、南の島よりも緩やかな、街の緩やかな時間を切り取ってくれる。厨房を覗くと、ジジシャツと短パンを身に纏い、黙々と作るおじいちゃんが勇ましい。

ちょっとすると、夫婦の奥さんのおばちゃんが餃子を持ってきてくれた。

おっきめの餃子、いいね〜…… あれ?

ムヒっ!! なんとお店のおばちゃんが僕の汗疹を心配してくれて、餃子と一緒にムヒを持ってきてくれた! 嘘でしょ、優しすぎる。ムヒってメニューにあったっけ⁇ 恋しい〜〜。青森のおばちゃん恋しい〜〜。ラブ〜〜。ムヒと餃子を運んでくれたそのシワシワのお手々に愛を感じるよ。人が優しいだけでこんなに生きやすい、愛は世界を救うんだ。ここで青森県産田子町ニンニクが効いた餃子とムヒの清涼感を手に入れる。

!!

間髪入れずにデカ盛りの天津飯! これまでの天津飯よりも卵の盛り上がり方がすごい! 中身がぎっしりなんでしょうね……。これ食べ切れるかなあ、思わずたじろぐレベル……。今回は大食い挑戦回! いただきます!

ゴクリ。

ふむ。一口目は、やはり醤油ベースのあんの味が口全体に広がる。予想はできていたことだけど、やはり東北あるあるのしょっぱめの濃口の味付け! なかなかのアタックです。しかし、徐々に広がってくる卵の甘さ! この甘さと塩味の融合が良いバランス! そういう意味では、天津飯って東北人の好きな味付けにあたるのではないだろうか。卵はニラ玉ばりの固さでふわふわ感はないけど、日本人的な白米に合う卵料理の食感を醸し出す! あゝ、オムライスや天津飯にふわふわの卵が流行り始めたのはいつからだろう? 卵が固くたっていいじゃないか! そして、ほのかに香る海鮮の味……。まさかこれは! 何よりも良かったのが具材。刻みねぎ、竹の子と人参の千切り、椎茸、そしてそう、剥き海老!

この海老がプリップリで、しかも魚介の旨味が全体に滲んでらっしゃる! そういうことだったのか! 口の中に旨味が広がるゥ〜! 美味い!! もはやダイエット中とか関係ない! もう止まらん!

…… ふぅ。なかなかの盛り具合でした。

今回は第26回目で初のえび入りに出会えて満足満足。この青森にいる間、気合入れて地元の天津飯を食していくゾ。

今日の天津飯豆知識:
卵はフォークで溶くと、誰でもふわふわの卵が作れる。


⭐︎今日のお店⭐︎
「五番軒」
所在地:〒030-0862 青森県青森市古川1丁目8−7
営業時間:11時00分~21時00分
定休日:木曜日

火鍋栄光(ひなべ・えいこう)
大学時代には中国に留学、何度も旅行で現地に赴いては中国各地の料理に舌鼓を打ってきた若武者。現在はネオン輝く大都会トーキョーで、本場の味が楽しめる中華料理屋を彷徨う神出鬼没のゾンビ。普通の中国人はチンプンカンプンの日本発祥中華料理の代表格「天津飯」に人生を狂わされかけている。記事中の写真は©︎Photo by Kopei。

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