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【PARADISES 連載】Vol.5 月ノウサギ編「もっとPARADISESを好きになってもらいたい」

StoryWriter

BiSHや豆柴の大群らが所属するWACKの中で、キャリアが最も長いGANG PARADE(以下、ギャンパレ)が2つに分裂して生まれたアイドルグループ「GO TO THE BEDS」と「PARADISES」。キャリア順にメンバーが分けられ、コンセプトのまったく違ったグループとしてスタートを切った。

PARADISESは、ギャンパレでキャリアの短い3名──テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールドと、キラ・メイで構成されたフレッシュなグループだ。2020年7月22日(水)にはグループ初のフルアルバム『PARADISES』をリリース。9月6日(日)には横浜・関内ホールにて結成後初ワンマンライヴ〈初めまして、楽園です。〉を有観客で開催する。

グループ2周目となる個別インタビューの第1回は、月ノウサギ。2020年のWACK合宿オーディション直後から、8月1日の〈WACK FUCKiN’SORRY PARTY〉に至るまで、どのようなことを考え過ごしていたのか。アルバムの制作過程や、初ワンマンへの想いまでじっくりと話を訊いた。

取材&文:西澤裕郎
構成:124
写真:外林健太


自分の感情がずっと忙しく動いていた

──前回合宿直後に行った個別インタビューから4ヶ月近く、なかなかライヴができない日々が続いています。どのような心境で過ごしていましたか?

月ノウサギ(以下、月ノ) : 〈MY FIRST HALL TOUR〉が全部できなくなって、最初は絶望的な気持ちになったし、グループ的にももどかしい気持ちが強かったんです。でも、今までの“当たり前”が戻ってくることはしばらくないだろうし、もしかしたら一生ないかもしれない。そう考えるようになってからは、変化に順応していくしかないし、していこうという気持ちになれました。

──WACK合宿オーディションに合格して以来、休みなくライヴやイベントなどがあって忙しかったので、生活がまるっと変わってしまいましたもんね。

月ノ : 今まで当たり前にやってきたものが恋しくなりました。時々、すごくリリイベが恋しくなって。「新宿マルイメンの屋上に行きたいな」って思ったりすることがあります。

──気持ちが前向きに変わる前は、どんな気持ちを抱えていたんでしょう。

月ノ : PARADISESの制作期間中で、新しいことに挑戦していたんです。今までやったことがないことへの恐怖とずっとにらめっこしていた感じはしますね。ライヴができるようになったとしても、もうギャンパレではないから。それで逆に分からなくなる時もあったり、やるしかない! って感じの時もあったり、自分の感情がずっと忙しく動いていた気がします。

──WACKオーディションを受けた時も今までとは違う場所に一歩足を踏み出したと思いますが、PARADISESとして踏み出すのはまた違う感覚でしたか?

月ノ : 違いましたね。責任感もそうだし、後がないぞという危機感。あの時と1番違うのはそこかもしれないですね。ギャンパレを一度終わらせてしまっているので、そういう意味でもここでやらなくちゃいけない気持ちが強いし、あの時よりも背負うものが変わっていると思います。

──失敗できないぞっていう気持ちが強い、と。

月ノ : 私は、良くも悪くもそういう気持ちが働いちゃうんだろうなと思っています。ユユとか私とか、ギャンパレでの活動が長いほど危機感や罪の意識は強いし、払拭しきれないものがやっぱりあって。「新しいスタートだ!」という爽やかな気持ちで臨まないといけないというのが私の最近の課題です。合宿でも言われた、「肩の力を抜け」ということを未だに言われてしまうので。

──WACK初の公式LiNEスタンプ「みんなのWACKスタンプ」で、合宿のコントで披露したサンシャイン月ノ描かれ、大賞になりましたよね。ああいう姿を見ると、肩の力を抜けるようになったと思えるんじゃないですか?

月ノ : 久しぶりに見ました(笑)。自分ってこんなに人を笑わせられるんだって、自信にもなりましたね。

──前回のインタビューで、メンバーと打ち解けるためにメンバー間での敬語をやめることが課題と言っていましたが、できるようになりましたか。

月ノ : だいぶ敬語も抜けてきましたね。ナルハもギャンパレの時よりずっと喋ってくれるようになったし、そういう面でもグループとして進んでいっている実感はあります。でも、最低でも3年は一緒にやっている下積みがあるGに比べて、Pは私とユユは2年だったり、ナルハとは1年だったり、メイちゃんとは数ヶ月だったりと期間がバラバラで。進めば進むほど、もっと信頼を積み上げていかないといけないし、お互いがお互いを見つめ合わないといけないなってより強く思うようになりました。

自分の中にあるWACKらしさを、どれだけPARADISESに還元していくか

──アルバム制作にあたり、マネージャーの辻山さんから作詞講座を受けたと聞きました。しかも、自分から志願して受けたそうですね。

月ノ : もともとマイカさんとメイちゃんだけカレンダーに入っていて、「これなんですか?」「受けたいです」って(笑)。私はまだ1曲も歌詞が採用されていなかったし、やれることはやらせてもらって吸収しようと思ったんです。

──その甲斐あって、今回のアルバムでは「YEAH!!」と「ズルい人」の2曲作詞が採用されています。どのように作詞したんでしょう。

月ノ : 「YEAH!!」は仮歌を聴いて、その雰囲気から自分の言葉を当てはめていきました。「ズルい人」は、もともと松隈さんが仮でつけていた歌詞を見た時になんとなく浮かんだワードなんです。女の子をテーマにした歌詞だったんですけど、そこからイメージをふくらませるうちに、アイドルに憧れている女の子の話になって。1番でアイドルを見ている女の子が、2番では「自分もアイドルになりたい!」と思うようになっていく。その気持ちを表現しました。

──「ズルい人」は自分のことを重ねて書いたところもある?

月ノ : 「1度でいいから真似事させて」とかは、アイドルになりたいと思っていた時期を思い返しながら書きました。「1度でいいからこっちをみてほしい」とかは、自分がファンだった頃に思っていた気持ちを書いています。絶対ファンの人も思うだろうなって。

──「YEAH!!」は「ズルい人」と作詞方法が違っていたりするんですか。

 

月ノ : これは始めからライヴを想定して書きました。書いたのがちょうど合宿の直後だったんですけど、合宿中にずっと言われていた「肩の力を抜け」という言葉がずっと残っていて。それでBメロに「力抜いて」とか「深呼吸して」っていうワードを入れたんです。サビやイントロ、Aメロはお客さんに向けて書いていて、Bメロだけは自分に向けて書いています。1番のBメロでは「力抜いて」だけど、2番のBメロは「手 抜けないな」とすることで、力は抜きたいけど手は抜けないぞ、という気持ちを込めました。

──改めて1stアルバム『PARADISES』は、どんなアルバムになったと思いますか。

月ノ : Pに限らず、松隈さんが「1stアルバムはおもちゃ箱みたいなアルバムにしたいんよね」ってYouTubeやインスタライヴでおっしゃっていて。今回は特に自分たちにとってもおもちゃ箱みたいなアルバムだなと思っています。全体的にポップなんですけど、1本筋が通っていて、私たちはこういう音楽を届けていきます! という想いが伝わりやすいアルバムになっているんじゃないかと。「お願い」みたいなシックな曲もあれば、「BRIGHT FUTURE,YOUR SMILE」みたいなアイドルらしい曲もあって、私も、こんな曲を歌わせてもらえるんだ!って衝撃を受けましたね。きっとこれから、もっともっといろいろな色が引き出せるだろうし、引き出していきたいなって思いました。

──Pは一般的に思われるWACKらしさではない魅力を出していこうとしているグループですが、月ノさんはWACK魂を強く継承しているメンバーだと思います。どんな思いで活動しているのか率直に訊きたいです。 

月ノ : 自分の中にあるWACKらしさを、どれだけPARADISESに還元していくかとを模索しつつ進んでいる感覚ですね。自分の中にあるWACKらしい部分をなくしてしまったら、WACKでいる意味がなくなってしまうとも思う。その一方で、私もPARADISESも、もっとWACKらしくないところに突き進んでいかないと、中途半端なところで終わってしまうなという気持ちもあります。

──キラ・メイさんは合宿の後に加入した新しいメンバーで、ユユさんは月ノさんよりWACK歴が長かったり、メンバー内でグラデーションがあることについてはどう思っていますか。

月ノ : そこが1番の肝なのかなと思っています。ナルハとかメイちゃんが持っている染まっていない良さと、私とかユユが持っているWACKらしさを、もっともっと混ぜ合わせてグループとしての一体感につなげていけたらと思います。

刺激し合える仲間でいたいなって思います

──2020年8月1日に行われた〈WACK FUCKiN’SORRY PARTY〉がデビューライヴになりました。振り返ってみてどうでしたか。

月ノ : 数ヶ月ぶりにステージに立って、楽しい気持ちが大きい反面、悔しい気持ちも同じくらい大きかった。WACKのお客さんに、自分たちをどう提示していくか、もっともっと考えなくちゃとすごく痛感したんです。ライヴ後に辻山さんが「まだまだやることがあるのが見つかるのはPARADISESのいいところだと思うよ」って言ってくださって。歴もバラバラで、歌もダンスも特別上手いわけではない私たちが、お客さんに提示していけるものはなんだろうって考えた時に、とにかく頑張って成長していく姿を見せ続けるしかないのかなと。そういう意味では、今のPARADISESらしいステージにできたのかなって思います。

──ライヴ自体はどうでしたか?

月ノ : 3曲しかない中で、どう色を変えていくかというところですごく悩みました。事前に渡辺(淳之介/WACK代表)さんに見ていただいたり、他のスタッフさんから意見をもらったとき、「TWINKLE TWINKLE」でもっと弾けたいけど、「GOOD NIGHT」でめちゃめちゃ楽しそうだねって言われることが多くて。本番は「TWINKLE TWINKLE」が1番良かったって言っていただけることが多くてすごくうれしかったですね。4人の始まりの曲だし、いろいろな色を持つ曲がある中でも、この曲はPARADISESがやりたいことを1番詰め込めている曲だと思っているので。

 

──大きな会場で、なおかつ無観客でのライヴはどうでしたか。

月ノ : 大きな会場ということもそうですけど、ギャンパレ時代よりメンバー数が少ない分、よりステージが広く感じたし、大きなステージで存分に動けるのはすごく楽しかったです。だからこそ実際にステージに立ったときに、客席にお客さんがいないのが何よりさみしかった。いてほしかったって気持ちが強かったですね。

──9月6日(日)にはPARADISES初のワンマンライヴ〈初めまして、楽園です。〉が有観客で決まりましたが、どのような気持ちですか。

月ノ : ユユが「うちらお披露目2回あるやん」って言っていて。無観客ライヴでのお披露目はやったけど、お客さんを入れてのお披露目がもう1回できる気持ちですね。ワンマンなので、私達の全部を披露して、もっとPARADISESを好きになってもらいたいと思っています。

──全曲パフォーマンスすることでPARADISESの全体像を見えそうですね。

月ノ : ギャンパレの時、サキさんが「自分で作った振りを、どうしても客観的に見ちゃうんだよね」と言っていたんですけど、自分たちで作るようになって、それがすごく分かるようになって。どう伝わるかなとか、新しい感覚だなと思いながら作っているところです。例えば、ナルハは「青い春」とか「お願い」とか自分を軸に作詞をしている曲が多くて。そういう曲はナルハを軸に構成を作ったり、歌詞の色によって振りを変えたりしています。「お願い」は、ナルハを主人公にして、ストーリーを分かりやすく見せたり、私が作詞した「YEAH!!」は完全にお客さんがノリやすいようにしたりとか、いろんな作り方をしています。最終的には、全編を通して飽きさせないようにしたいし、いい意味であっという間に終わるライヴにしたいなって思っていますね。

──お客さんにとっても久しぶりのライヴでしょうし、いつもの雰囲気とはまたちょっと違うかもしれないですしね。

月ノ : お客さんもお客さんで緊張すると思いますし、私たちも緊張している。ある意味、初めまして!っていう感じで、お互い握手するみたいなライヴになるんじゃないかなって。そういうライヴにしたいと思っています。

──ちなみに、GO TO THE BEDSのことはどれくらい意識していますか。

月ノ : もちろん意識してはしていて。いいところは盗んでいきたい。でもGのアルバムを聴いた時、5人の歌を1リスナーとして聴けるのはすごくうれしいなと思ったんですよね。かっこいいなってシンプルに思ったし、負けてられないなって気持ちもあるんですけど、1番はうれしかったというか。渡辺さんがGのドキュメントで、「バチバチするんじゃなくて、お互いが上がっていかないといけないんだよ」って言っているのを見て、本当にそうだなって。お互いにいい作用を与え合いながら上がっていけたらいいなって思っています。これだけ色もすごく違うので、ある意味2つセットでお客さんに楽しんでもらえるところもきっとあると思うし、刺激し合える仲間でいたいなって思いますね。

──WACKの中で、1番最初にお客さんありのワンマンを行うことになります。それも踏まえて意気込みを教えてください。

月ノ : コロナ禍に新しく始まったグループで、1番最初にそういう機会をいただけるのは、本当にありがたいことだと思っています。それだけお披露目に思いをかけてくださっている方がいることなのかなと思うので、お客さんはもちろん、周りの方全員を巻き込んで、みんなに好きになってもらえるライヴにしたいなと思います。〈WACK FUCKi’N SORRY PARTY〉のMCで、“みんなの楽園”って言葉を使ったんですけど、ギャンパレでやってきた「お客さんも一緒に主役になって楽しむライヴ」は、PARADISESでもしっかり引き継いでいきたいなと思っています。そういう意味でも見飽きないポイントを盛り込みながらも、サビはお客さんと一緒にできるものを考えて作っています。一緒に楽しめるライヴにしていたいなとすごく思います。


■イベント情報

PARADISES「初めまして、楽園です。」
配信日時:2020年9月6日(日)
時間:Open 14:00 / Start 14:30
※アーカイブ配信はありません
チケット料金:視聴チケット 3,500円(税込)
チケット販売URL:http://w.pia.jp/t/paradises/
※チケットぴあ「PIA LIVE STREAM」にて販売となります。
・配信に関する注意事項
ご購入前に必ずチケットぴあ「PIA LIVE STREAM」オフィシャルサイトをご確認ください。
https://t.pia.jp/pia/events/pialivestream/
チケット発売日:2020年8月21日(金)18:00~

PARADISES PROFILE

テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールド、キラ・メイの4人からなるアイドルグループ。読み方は“パラダイセズ”。

2020年3月、所属する音楽事務所WACKが主催するオーディション合宿「WACK合同オーディション2020」最終日に事務所代表の渡辺淳之介より「GANG PARADE」を2つに分ける形で結成がアナウンスされた。

2020年4月1日に同日結成した「GO TO THE BEDS」とのスプリットアルバム『G/P』を発売!!

同年7月22日に初のフルアルバム『PARADISES』をリリース!!

https://paradises.jp/

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