BiSHや豆柴の大群らが所属するWACKの中で、キャリアが最も長かったGANG PARADE(以下、ギャンパレ)が2つに分裂して生まれたアイドルグループ「PARADISES」。ギャンパレでキャリアの若い4名――テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールド、キラ・メイによって構成された新人グループだ。
2020年7月22日にはグループ初となるフルアルバム『PARADISES』をリリース。9月6日には横浜・関内ホールにて結成後初のホールワンマンライヴ〈初めまして、楽園です。〉を有観客で開催した。
そんな彼女たちに迫る個別インタビュー連載も2周目に突入。第2回は、キラ・メイ。PARADISESとしてのお披露目ライヴのことから、先日発表された育成ユニットWAggから新メンバーを追加するオーディション〈PARADISESの素晴らしき未来〉のことまで話を訊いた。
取材&文:西澤裕郎
写真:外林健太
いろいろな人の顔を見ることができた瞬間、一気に安心した
──念願の初ワンマン〈初めまして、楽園です。〉を9月6日に有観客で行いました。初ワンマンは、どういう気持ちで迎えましたか?
キラ・メイ(以下、メイ):始まる前はめちゃくちゃ緊張していたんですけど、久しぶりにお客さんの前に出て、いろいろな人の顔を見ることができた瞬間、一気に安心しました。みんなが楽しんでくれているのを見て、私も楽しめればいいんだということを思えたんです。お客さんにとっては初めて見る振り付けばかりなんですけど、一生懸命自分たちの楽しみ方を見つけて、踊ってくれている姿がすごく嬉しくて。だんだん緊張が解けていく感覚がありました。
──会場の喚起タイム10分を使ってTikTokの動画を撮るなど、PARADISESならではの演出だなと思いました。
メイ:「映え」をテーマにしたキラキラコーナーがあって、Tik Tokを撮ったり芸人さんの真似をしたんですけど、メンバー4人でどうしたらお客さんに楽しんでもらえるか話し合いながら考えました。
──途中、なにを話しているのか分からなかったです(笑)。
メイ:ポンポンポーン! って(笑)。
──あれはメイさんからすると、普通に使う言葉なんですか?
メイ:いや、普通では使わないです(笑)。EXITさん語録をネットで調べて、これは絶対に入れたいという言葉を決めて、全体の流れをみんなで考えました。
──初めてのワンマンにしては、かなり堂々としていましたよね。
メイ:いっぱい練習しました(笑)。
──ギャンパレからの流れで、PARADISESにパンスト芸が引き継がれました。パンストに関してはどんな議論がされていたんでしょう?
メイ:本来、パンストを被るとしたら新人の私なんですけど、私はおいしいので被りたい派なんですよ。でも、月ノちゃんとかナルハちゃんみたいに、パンストを被りたくない人に被せるところにおもしろみがあるので。喜んでいる人が被ってもねってことで、PARADISESのマネージャーさんが被ることになり、見事マネージャーさんがパンスト被り4代目になりました。
──(笑)。ライヴのパフォーマンス自体はどうでしたか?
メイ:私が会場で1番楽しんでやろうぐらいの気持ちでやっていたので、すごく楽しめてできたかなと思っています。最初からテンションの上がるポップで明るい曲が詰まったセトリだったので、体力が大丈夫かなと思っていたんですけど、いざ始まってみると楽しすぎて、めっちゃ軽やかというか。私の課題として、体力不足でバテちゃったりすることもあったんですけど、この日は楽しさで元気が湧いてきたし、練習の何倍も気持ちよく動けたなって思います。
──アドレナリンが出ていた?
メイ:ドバドバに出ていました(笑)。
1番はもっともっと楽しもうと自分たちで思うこと
──MCを人一倍じっくり丁寧に話していたのが印象的でした。
メイ:昇格してからの話をしようと思っていたら、めっちゃ長くなっちゃったんですけど、私はあまり思っていることを表に出さないというか、悩んでますみたいなことを言うのが恥ずかしいんですよ。そういうことを話せるのは、この場だけかなと思って。今だからこそ話せる、その場だから話せるMCを考えました。
──「私の中で大きく意識が変わったのは、届けるということです」と話していました。そういう気持ちになるきっかけがあったんでしょうか。
メイ:コロナ禍以前は、目の前にお客さんがいたので、そこまで意識しすぎずとも自然と気持ちが届く感じがしていたんですけど、画面の向こうとなると反応が直接は見えないじゃないですか。だから気持ちを何倍も膨らませて届けないと熱が届かないのかなということを強く感じて。〈WACK FUCKiN’SORRY PARTY〉のときも、約10分間ずっと見えない画面の先に届け続けるのが難しいんだなということを感じたんです。だからこそ、もっとこっちから気持ちが届くように、楽しんでほしいという思いとかを持たないとダメだし、そうじゃないと画面の向こうまで楽しさはなかなか届かないんだなっていうことを感じました。
──その気持ちはどうやって増幅させていくんでしょう?
メイ:1番はもっともっと楽しもうと自分たちで思うことだと思うんです。配信だと、いつどの瞬間を抜かれるか分からないので、ずっと今が1番楽しいという気持ちでやり続けることが大事なのかなって。今も結構気が抜ける瞬間があって、おばあちゃんみたいな顔になっているねって言われるんです(笑)。
──誰に言われるんですか(笑)?
メイ:メンバーに言われました。元気なときはカリカリ梅みたいな顔で、疲れてくるとしわしわの梅干しみたいになるって(笑)。
──それを言われてどんな気持ちなんですか(笑)?
メイ:真摯にそうだなって受け止めます。常にカリカリの梅でいるために(笑)。
──あははは。ワンマン前日には新曲「ENVIES」をゲリラリリースしました。どんなことを意識した楽曲になりましたか。
メイ:この曲は、色っぽさを意識していて。PARADISESの曲の中でも女の子らしさが出ている楽曲だなと思うんです。いじらしさというか、女の子の気持ちをできるだけ出すことを意識しながら録りました。私は結構キャピキャピして歌っていて。特にラップのところは変な歌い方してっていうふうにも言われたので、できるだけ声を高くして、JKみたいな感じで歌いました(笑)。
だんだん前向きに挑戦できるようになってきた
──メンバー間の仲を深めることが課題と、前回のインタビューで言っていましたが、そのあたりはいかがですか? 敬語をなくすという部分など。
メイ:今敬語は完全に抜けました。月ノちゃんがありえないタイミングで「ユユさん」って呼んだりすることはあるんですけど、敬語をなくすことは結構できていて。いろいろなことを訊いたりすることがどんどんしやすい空気になっているなと思います。私はグループの中で1番歴が浅いので、ここのダンスが分からないみたいな部分とかも多いんですけど、そういう部分でどんどん言いやすい空気になってるし、良い空気感にどんどんなってきているなと思います。
──メイさんは、パンストの件もそうですけど、自分をさらけ出すことによって、プラスに働くんじゃないかなという気持ちの方が強い?
メイ:やれることはとりあえずやってみてから考えようと思っていて。もともとは、どうしよう…… ってなっちゃうタイプだったんですけど、悩んでいる時間がもったいないなと思うようになって。やるかやらないか悩むなら、とりあえずやってみた方が後悔はないのかなという考えになってきました。
──それは合宿で自分を出し切った影響もあるのかもしれないですね。
メイ:たしかにそれはあるかもしれないです。慎重にしがちだった性格から、だんだん前向きに挑戦できるようになってきた。もともと、やる前にうじうじ考えるタイプで、今もうじうじ考えるけど、とりあえずやってみた方が何かが変わるから、やってみたらいいんじゃない? って考えられるようになりました。
──ユユさんは映画が好きでコラムを書いたりしています。メイさん的に、自分の好奇心とか趣味はどういうところに向いているんですか?
メイ:私はすごく漫画が好きなんですよ。この活動を始める前は、毎月本屋さんに行って、今月は新刊何が出るからこれを買ってとかチェックしていて。本屋さんでおもしろそうな本を見つけたら、ちょっと買ってみたりとか。結構収集癖があるので紙の本が好きなんです。
──特に好きな漫画とか作家さんが?
メイ:ずっと集めているのは「ハイキュー!!」ですね。次が最終巻で、もう終わっちゃうのがさみしいんですけど、めちゃくちゃおもしろいです。
──どういうものが傾向的に好きになりますか?
メイ:わりとなんでも好きです。ウェブ漫画のアプリも入れていて、新作が始まったら、とりあえず1話読んでみるようにしています。グロいのとかは苦手なので読まないんですけど、それ以外だったらなんでも読みますね。
──本来あるはずだったインストアや特典会もない中、オンラインでの活動がメインになっているわけですけど、もともと思い描いていたアイドルの仕事とのギャップみたいな部分はどう感じていますか。
メイ:今はソーシャルディスタンスを保ってのライヴも、すごくおもしろいなと思っていて。お客さんの楽しみ方がライヴハウスと全然違くて、うちわを持っているお客さんがいたり、カメラでずっと撮っている人がいたり、それぞれの楽しみ方が見れるのもおもしろいなと思っています。最初思っていたイメージと違うは違うんですけど、これはこれで楽しいなって思っています。
──こうした状況の中、どんなことを届けたいと思いますか?
メイ:ライヴに行くことがストレス発散になる人も多いと思うんです。それができない今、いろいろなものが貯まると思うので、それを全部出しきって、明日からまた頑張ろうと思えるような場にできたらいいなと思っていて。私たちのコンセプトは楽園なので、みんなで楽しさを共有して、明日からまた頑張ろうという活力にしてもらえる、そんな存在でいたいです。
──メイさんにとっての楽園ってどんな場所ですか?
メイ:私にとっての楽園は、何も考えないで楽しめる場所。そういう場所を目指して作っていきたいです。
新しいPARADISESの空気感とかグループ感を作っていきたい
──WAggがPARADISESへの昇格を目指すオーディション〈PARADISESの素晴らしき未来〉が発表されました。企画を聞いて率直にどう思いましたか。
メイ:今まで合宿オーディションはあったんですけど、WAggだけが参加するオーディションはなかったので、純粋におもしろそうだなという気持ちです。私自身もWAggとして活動をしてきて昇格した身であるので、もう1回気を引き締めなきゃいけないと思っています。PARADISESの一員ということをしっかり考え直さなきゃいけないなと思いました。
──他のメンバー3人はどんな反応をしていましたか?
メイ:他の3人もおもしろくなりそうだねって感じていて、どんなことやるんだろうねって話していました
──前向きに捉えている、と。
メイ:びっくりはありつつも、この先、どうなるんだろうなという気持ちです。
──WAggメンバーが企画内容を発表された瞬間の動画が公開されています。WAggメンバーたちの反応をどう捉えていますか?
メイ:オーディションの話を聞いた後、WAggの何人かと話す機会があったんです。企画発表前に、メンバー全員で話し合いをしていたそうなんですけど、オーディションの話を聞かされた時にすごくびっくりしたらしくて。その場ではショックで落ち込んじゃったり、暗い雰囲気になっちゃったけど、今は前向きに昇格したい気持ちで臨んでいると、みんなが言っていたので、そういう気持ちでいられるならよかったなと思ったし、PARADISESに入りたいと思ってもらえるように、この先のPARADISESを作っていかないといけないなと思いました。
──WAggから昇格したことでメイさん自身は気持ち日々だったりは変わった?
メイ:変わりました。それは、自分の曲ができたっていうのがすごく大きいと思っていて。WAggも自分たちの曲ができたことで、よりグループの1人なんだっていう感覚がすごく芽生えたんだと思います。もともとWAggは、先輩の曲をやることがメインで、元の曲により近づけるという意識だったんですけど、自分たちの曲を歌うことによって、より自分のらしさを出す、グループとしての良さを出すにはどうしたらいいんだろうという意識に変わっていったと思います。
──現状、PARADISESは、4人のうち2人がWAggの出身です。今後、何人合格するかは分からないですけど、どんな未来を思い描いていますか?
メイ:今までやってきたPARADISESのイメージは、明るくてさわやかさが伝わるものだったと思うんです。そこにWAggの今のメンバーが入ったら、ポジティブで絶対いい雰囲気に変わっていくと思っていて、そういうイメージはこれからも作っていけたらなと思います。今の4人で作ってきたPARADISESの雰囲気や空気感に、新メンバーのよさをちゃんと加えて出しながら、新しいPARADISESの空気感とかグループ感を作っていきたいです。
■イベント情報
PARADISES『初めまして、楽園です。』
2020年11月3日(火・祝) 宮城 仙台市 若林区文化センター
Open/Start 14:00/14:30 [問] G/I/P 022-222-9999
GO TO THE BEDS『ARE YOU SLEEPER?』
2020年11月3日(火・祝)宮城 仙台市若林区文化センター
Open/Start 18:30/19:00 [問] G/I/P 022-222-9999
PARADISES PROFILE
テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールド、キラ・メイの4人からなるアイドルグループ。読み方は“パラダイセズ”。
2020年3月、所属する音楽事務所WACKが主催するオーディション合宿「WACK合同オーディション2020」最終日に事務所代表の渡辺淳之介より「GANG PARADE」を2つに分ける形で結成がアナウンスされた。
2020年4月1日に同日結成した「GO TO THE BEDS」とのスプリットアルバム『G/P』を発売!!
同年7月22日に初のフルアルバム『PARADISES』をリリース!!