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天津飯放浪記第42回 王さんの菜館「下北沢で出会った、ド派手な看板と裏腹にシンプルでストレートな天津飯」

StoryWriter

おいっす。

本日はやってきたぜ下北沢。大学時代の中期には足繁く通ったこの街、近年の下北沢再開発によって、僕が上京して来てから8年程度であるにも関わらず、上京当時とは少しづつその様相を変えてきた街。思い出があるだけに、その変化にはノスタルジーさえ覚える。あと、なぜか下北沢に来ると、ラッキーオールドサンの曲を聴きたくなる。

下北沢南口商店街を抜けてちょっと住宅街に入った場所で、その静かな並びに不釣り合いな程に色が渋滞した看板のお店「王さんの菜館」を発見。おやおや? 覗いてみるにこちらは中華料理屋とのこと。良くも悪くも下北沢からちょっと浮いた雰囲気のお店に早速ステップインを試みた。

クゥ〜! 意外なほどにしっかりと本場中華のラインナップ! 久方ぶりの本格中華料理に思わず涎垂……。特に「コーンの炒め650円」にやや面を喰らう。僕は雑念を振り払うように、さらに100円を上乗せして「天津飯750円」を注文するのであった。

店内には、大きな中華式円卓と2~4人掛けのテーブルが6席程だろうか。時刻は1時半近くでも、ほぼ全卓埋まる盛況っぷり。客層はママ友会からスーツを着たおじさん、学生、外国人、昼のみのおじさんまで、下北沢という街のバラエティの豊富さを反映するように幅広い。そして、その盛況した店内のホールを一人で切り盛りする笑顔の中国人ママ。うーん、尊い……。このコロナ禍でも繁盛を続けていられるのも納得。そしてこういう店は、だいたい美味いんだよなぁ……。客に愛情を込められる人は、料理にも愛情を込められる人なのだ。

\オマタセシマシター/

ムムッ!

この卵……。

写真だと上手く撮りきれないが、ソフトクリームのよう渦巻状に何層にも重なっているタイプの卵! 見た目の美しさもさることながら、卵全体の固さも均一になる素晴らしい焼き方。以前、家の近所にある中華料理屋の中国人シェフも同じ同じ焼き方をしていたが、これは中国伝統なのだろうか……? 待ちきれず、スプーンを握らせていただきます!

うむ! 見た目から甘酢あんかと思っていたが、意外の醤油ベース! そして何より特筆すべきは、あんにありがちな過度のとろみではなく、比較的さらり、しかし確実に米と卵に絶妙に絡むその粘度! 香ばしさのある風味はごま油によるものだろうか、醤油ベースの中にオイスターソースの風味もあって単純な味つけにさせない。

ここ最近、甘酢あん続きだった僕は良い意味で裏切られた! そしてもう一つ驚いたのが、具材のシンプルさ。卵、米、醤油あんという豪速球ストレート一本で打線を抑える剛腕ピッチャーのよう。美味ければいい、単純明快で分かりやすい、気持ちの良い美味しさである。ある意味ワンパターンではあるのに、スプーンを置くことさえ忘れてバクバク食べてしまう! 止まらんです!

ぺろり。具材はシンプルだけど、750円という値段は納得がいく。卵への火の通り方も一級品! これはリピートあり。下北沢フードといえばカレーをゴリ押しするイメージだけど、ぜひ天津飯でもそういう催し事があっても良いのではなかろうか……。と思うと同時に、押しも押されもしない天津飯の独特の立ち位置に少し心がこそばゆくなるのでありました。チャンチャン♪

今日の天津飯あるある:

関西圏の人から寄せられる、甘酢あんやケチャップあんへの風当たりの強さ。


⭐︎今日のお店⭐︎

「王さんの菜館」

住所:東京都世田谷区北沢2-17-10 第2滝本ビル 1F
営業時間:11時30分~23時30分
定休日:火曜日
電話番号:03-5430-0351

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