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天津飯放浪記第43回 かにチャーハンの店「僕が食べたのは”卵が乗ったかにチャーハン”なのか”天津飯”なのか?」

StoryWriter

おいっす。

先日仕事で渋谷をフラフラしていたある日の昼の頃。宇田川町にて、いつも通り街中華のお店で天津飯でも食べようかね〜なんて探索していると……。

何度か看板を目にしたことがある「かにチャーハンの店渋谷本店」の前にたどり着く。「蟹味のチャーハンね〜〜」なんてスルーしていこうとしたものの、思わずこの看板を二度見。

?? 思わず首を傾げてしまった。

天津飯を構成する三大要素は米、卵、あんだと、「魁!!男塾」でお馴染み民明書房にも記されているはず。同じ要素にも関わらず、この商品は「半熟たまごかに玉チャーハン」である……。

天津飯とは何か違うのか? “”半熟たまごかに玉”って卵が重複しているのは誤植か?

脳内を色々な問いが大運動会で駆け回る。その答えを求めて、我々調査班は当該ビルの3階へと向かった。

エレベーターを降りて、まずは券売機。

やれ蟹味噌入りだの、やれガーリックだの、やれ旨辛だの……。半分ヨダレを垂らしながら無類のガーリック好きが発揮するところではあったものの、思い留まって880円で唐揚げまでついてくるお得なランチ「半熟たまごかに玉チャーハン」を注文して席へ。意地でも天津飯とは言わない頑固な人!

店内の様子はこちら。ほぼ全席カウンターで、厨房ではカタンカタン、ゴトゴト、シャッシャッと、けたたましく中華鍋を振る音が常に鳴り響き、店内には香ばしい香りが漂う。全席全方位から客の視線を浴びつつ、チャーハンをひたすら作り続けるなんて、相当メンタルと手首を鍛えられるんだろうな…… と思いながら眺める。テーブルにあるカードには、「蟹漁師の家 カニチャーハンの店」と書かれているのも目に入る。蟹漁師の直営なのか?? 期待値がピークになった頃……。

\オマタセシマシター/

ほう。チャーハン山の上にポトンと蟹肉、よろしおすなあ。

心なしか、普段の天津飯よりお上品な盛り付けでございます。うーん、漂う蟹の香り! 襟を正していただきます!

カニの盛り具合に思わず、ンフッと変な笑いが出る。

卵にもふんわりスプーンが入ります。

もはや言うまでもあるまい。いの一番に舌で感じるのは磯の香り。カニカマちゃう、これが本物や! 天津飯にちゃんと蟹肉が使われているのでさえ珍しいのに、さらにこの量である。ここでまず興奮が第一弾。

あんもすくって一舐めしてみると、甘辛風味。いつもの醤油や甘酢ベースあんと違っているので、これも目新しい。天津飯にしてはある意味、比較的モダンなあんとも捉えられる。興奮が第二弾。

そして、肝要な米は白米ではなくチャーハン。こちらカンカン勢いよく中華鍋を振っていただけあって、パラッパラである。これで油少なめとはとても思えんぞ。中華だしのの味がしっかりするけど、甘辛のあんやほんのり甘くフッワフワの卵、磯の香り漂う蟹肉とぶつからない程よい味の濃さ。あんとチャーハンの中に蟹肉があることで、海鮮のアクセントや唐揚げもあってうんまい! バクバク食べ進められちゃう!

あんも残さず完食。美味かった! 満足!

でも、果たしてこの料理に天津飯という呼称を使わないなら、天津飯の定義はなんだろう? じゃあ、オムライスは……? 天津飯って和洋中いずれにも属さない、独自の道を歩みながら、時にはその名前を変えながら派生してきているらしい。ふむ、まだまだこの山の頂は遠そうである。

今日の天津飯あるある:

関西圏の人から寄せられる、甘酢あんやケチャップあんへの風当たりの強さ。


⭐︎今日のお店⭐︎

「王さんの菜館」

住所:東京都世田谷区北沢2-17-10 第2滝本ビル 1F
営業時間:11時30分~23時30分
定休日:火曜日
電話番号:03-5430-0351

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