おうち時間が続くので、自分の部屋を見渡しては定期的に「……ときめく??」「……ときめかない??」と、言葉の響きは可愛いのに、信じられないくらいの真顔で自分の心に問いながら掃除をしていますが、なかなか捨てられないのがワンピース。
もう何年も着ていない洋服を全部引っ張り出し、心を鬼にして整理していてもワンピースだけは
「ときめく? ときめかない? とき……めくぅう!!!」
と、毎回確実にときめいてしまうくらい、昔から大好きなんです。
色。柄。生地。丈感。
片付けしてる時に昔のアルバムが出てきてなかなか掃除が進まないように、
「あぁ、少し背伸びして買ったなぁ」
「あぁ、古着屋さんで一目惚れしちゃったんだよなぁ」
「あぁ、なんでこれ買ったんだろう〜」
と、いろんな意味でニマニマしてしまい、気がつくと夕方になってることも。
すっぴんからスキンケアしてメイクしたり、どうやって寝たらそうなるの?と聞きたくなるくらい凄い寝癖を直すのには時間がかかるけど、ワンピースは何も考えずにスポッと着るだけで一気に雰囲気が変わるので、まるで日常の中にある小さな魔法。 「コーディネートを考えなくていい」を、格好つけて言うとこうなります。はい。
襟つきのものや、ピタッとした女性らしい形のものは気持ちがシャンとするのできちんとしたい日に選んだり、オーガニック100%の生地のものは着ててリラックスするので、緊張しそうな日はそれを着て気分を落ち着かせたり。
色が派手なものは袖を通した瞬間踊りたくなるし、レトロな柄を着るとなんとなく喫茶店に行ってナポリタンでも食べたくなるのは私だけでしょうか。
肩パッドがついてる母からのお下がりも宝物だし、肩を落として着る夏のオフショルダーも大好き! なで肩だけど。
アイドル時代は「生誕祭」といって自分の誕生日の時に必ずイベントをやっていて、その時の衣装は10代の頃から自分で探しに行っていたので「楽しくなったらいいなー」と思いながら買った記憶と「あぁ、やっぱり楽しかったなー」と本番の記憶が混ざって、それはそれは特別な思い入れがあります(大好きなブランドはたくさんあるけど、イベント用によく買っていたのは吉祥寺にある古着屋さん「garnish」)。
そんなこんなで。
気がつくとクローゼットがワンピースだらけになってる私ですが、その中に着られなくなったワンピースが何枚かあります。店員さんに勧められて「もしや似合ってる?」と試着マジックにかかって買ったワンピース。
私にとっては初めての少しボタニカルな柄物に挑戦!だったんですが、それを着てルンルンで実家に帰ったとき、「翔子ちゃん、そのお洋服、ヘンよ?」といつも優しいおっとりまったりなおばあちゃんに珍しくダメ出しされたのです。
んもう、さっきまでルンルンだった気持ちはどこへやら。そのワンピースを見るたびに、
「翔子ちゃん、そのお洋服、ヘンよ?」
「翔子ちゃん、そのお洋服、ヘンよ?」
「翔子ちゃん、そのお洋服、ヘンよ?」
と、やまびこのようにエンドレスリピートしてしまい、その後着ることはほとんどありませんでした。その日以来、そのワンピースは「誰にも会わない日に着る!」と決めましたが、誰にも会わない日が多いコロナ禍ですので、なかなかの頻度で着ています。ただ、それを着てすっぴんで歩くオフモードな日に限って誰かに会うあの現象に、名前をつけたい……。
あともうひとつ。
ラジオの生放送、見た目はリスナーに届かないけど、自分のテンションを上げるため、天気の悪い日は特に派手な色のものを着たくなるんです。
そんなある日、ド派手なピンクのワンピースを着てたら、「沖縄帰り?」「阿佐ヶ谷姉妹?」
と、それはそれは、いじられるいじられる。
もちろん、沖縄も大好きです。
阿佐ヶ谷姉妹さんも、大好きです。
でも、洋服っていじられると、なかなか着られなくなる。なので、このワンピースもまた誰にも会わない自分のためだけに過ごす日に着ようと思います。ふふふ。
誰のためじゃなく、自分のため!
おばあちゃんになるまで、ワンピース集めはまだまだ続く……。
岡田ロビン翔子(おかだ・ろびん・しょうこ)
1993年生まれ。2006年から2018年8月2日の解散まで、チャオ ベッラ チンクエッティ(THEポッシボーから改名)のリーダーとして活動。 頭の回転の良さからくるトーク力には定評があった。解散後はラジオDJを中心に、MC、モデル、自身のアコースティックライブ「ロン喫茶」など、マルチに活動中。 様々なジャンルに興味を持ち、多方面にアンテナを張りめぐらせ、スキルアップのために努力を欠かさない向上心の持ち主。
Twitter
https://twitter.com/xoxorobin19