【連載】ロビンの青い卵より vol.8「おうちでオーディション」

最近、我が家では夜な夜なオーディションが開かれている。

たまたまテレビで見た断捨離の番組で「自分が今どれくらいのものを抱えてるのか俯瞰した方がいい」とのことだったので、場所ごとに区切り、一旦全て広げて、総量を確かめることに。

すると、

「ん？　君はいつからそこに隠れていたの？」と、思わず言いたくなるくらい、自分が把握できてないものの多さに唖然。

「押し入れの奥の存在すら忘れているものは、もはや知らないおじさんです」という番組のコメントに思わず笑ってしまったが、我が家にも知らないおじさんが大勢いることに気づく。

いかんいかん。おじさんは一人で十分。こうなったら、家の中にあるもの全てオーディションだ！

まずは、食べ物に限られているのと、賞味期限という目安があるという理由で「冷蔵庫から攻めるといい」とのことだったので、新聞紙を敷いて、中に入ってるものを、床に広げることに。

今まで横から見てた調味料たちを、上から見るのは人生で初めての経験なので、なんだか不思議な感覚。

大人になって少しずつ減る「初めての経験」がこんなにも身近に潜んでいたなんて。

もっと早くやればよかったと思いながら、自分が買ったものを眺めていて気がついたのは、私は相当な瓶好きであるということだ。

「集めてるものありますか？」

という質問に

「いや、特に～」

と答えに困るほど昔から収集癖はないし、物に執着しないタイプだと思ってそう答えてしまっていたが、これからは

「瓶です !!!!!」

と力強く答えられるくらい、無意識のうちに集めていたのである。

メンマやわらぎも、きざみしょうがも、上手くて生姜ねぇ!!も（普通の生姜も冷凍庫でストックしてるくらい生姜好き）、牛タン仙台ラー油も、ネギイチバンも、熱々のごはんやお豆腐に乗せて楽しむのはもちろん、味が少し足りないとき、もしくは味を変えたいとき少し乗せるだけでその日の一品が絶品料理に変わるのだから欠かせない。

そして、ごはんのお供だけじゃなく、パンのお供もだいすき。

真っ赤な苺ジャムも、ビオセボンで売ってるアラビアータソースも、大好きなSHOZO COFFEEのコーヒージャムも、味はもちろん、瓶に入ってることで余計キュートに見える。

「ああん。やっぱりかわいい！」

と、一人盛り上がる中、よくよく見ると、賞味期限が切れてるものを発見。

くぅ、食品ロスを減らそうとしてるこの時代に、私はなんてことをしてしまったんだ。

それもこれも、自分が今何を持ってて、何を持っていないか、ちゃんと把握してないから。この愛しの瓶たちも使いこなせていない自分に、ショックを受ける。

「今まで冷蔵庫の奥においやってごめんね。これからはしっかりと使い切るからね」

そう瓶たちに誓い、瓶だけではなく、あきらかに必要ないものは捨てる。迷うものは二次審査、冷蔵庫に戻すとき、さらに三次審査と、厳しいオーディションを通過したもののみ再び冷蔵庫に戻すと、あらスッキリ。

どこに何があるか、一目瞭然！

すぐに決められないものも、こうして段階を踏むことによって、本当に必要なものだけが残るし、この作業を繰り返していると、自分の買い物の癖が分かってきたり、好きなものが分かってきたりする。

好きに理由はいらないけど、好きの理由が少し分かると、もっと好きになれる気がするなぁ。

と、断捨離からいろんなことを学ぶのであった。

さてさて、次はどこを攻めようかしら。

我が家のオーディションはまだまだ続く。