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StoryWriter

こんにちは! 最近、サンリオキャラクターのこぎみゅんを推しています、たまざわです。

サンリオは母が好きな影響で、学校用品がほぼサンリオキャラクターたちのものだったので、かなり身近なものでした。大人になってから、ぐでたまがなんとなく好きだったのですが、おむすびになることを夢見ている小麦粉の妖精こぎみゅんになぜだかめちゃめちゃかわいさを感じてしまいドハマリしています。久しぶりに推しができました。

さて、生活に寄り添う本を紹介するこの連載。第18回目に紹介するのは、若松英輔『悲しみの秘義』です。

vol.18若松英輔『悲しみの秘義』

『悲しみの秘義』
著者:若松英輔
発売:2019年
出版社:文藝春秋
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784167914141

作品情報: もしあなたが今、このうえなく大切な何かを失って、暗闇のなかにいるとしたら、この本をおすすめしたい――(解説・俵万智)

宮沢賢治、須賀敦子、神谷美恵子、リルケ、プラトン、小林秀雄、ユングらの、死者や哀しみ、孤独について書かれた文章を読み解き、人間の絶望と癒しをそこに見出す26編。

「言葉にならないことで全身が満たされたとき人は、言葉との関係をもっとも深める」―-自らの深い悲しみの経験を得た著者が、その魂を賭けて言葉を味わい、深い癒しと示唆を与えてくれる。

日経新聞連載時から話題を呼び、静かなロングセラーとなった一冊。文庫化に際して「死者の季節」「あとがき」を増補。カバーと本文内を、世界的に人気の高いアーチスト・沖潤子の作品が優しく深く彩る。大切な人に贈りたい、特別な一冊。

 

本書は批評家・随筆家若松英輔さんによる、悲しみに寄り添うようなエッセイ集です。

人間は喜怒哀楽がある生き物です。その中でも、特に「かなしみ」は自分の中で消化するのが難しくて、どんどん自分の中に溜まっていってつらくなっていってしまう感覚が自分にはあります。そんなことを考えている時に本屋さんでこの本に出会い、手に取りました。

本書の特に素敵なところは若松さんの体験も踏まえて、たくさんの詩人の詩や哲学者のことばが引用されていることです。なので、本書で気になった詩の作者の作品をもっと読んでみたり、芋づる式に興味が広げられます。かなしみに支配されて、何も手につかないとき、その沼から抜け出すきっかけとなることばを見つけ出せる本だなと直感的に思いました。

特に私が好きな一節は「書けない履歴書」の下記文章です。

仕事は人生の一部である。現代は、この素朴な事実を今一度思い出さなくてはならない。人生においては、何を成し遂げたかが問われる以前に、どう歩いたかが問われる。また、仕事には、金銭を手に入れる手段とするに終わらない何かが潜んでいる、むしろ、その何かが「仕事」なのである。(若松英輔(2019年)『悲しみの秘義』150ページより引用)

私はSWで働けていて、毎日とても楽しいです。それは仕事ではあるけど、自分の知的好奇心がずっと刺激されたり、普通に生きていたら出会えない人とも出会えるからです。上手く言えないけど、給料という対価をもらってSW社で働いていますが、それは仕事! めんどくさい! というものではなく、私の生活の、人生の一部だと思っています。

たまに給料や企業の大きさでマウンティングを取ってくる人もいますが、私は胸を張ってこの仕事に就けていてよかったと言えます。それは好きなことを仕事にできたからということもありますが、生活の中に組み込まれても苦痛じゃないし、好奇心がどんどん刺激されるからだと思います。お金だけにとらわれることがどれだけ人間として空虚なことか、この年齢になって本当に実感します(有名企業でたくさんお金を稼いでいる人も、もちろんすごいですけどね)。

本書は仕事のこと以外にも、孤独や、大切なものをうしなった時、さまざまなかなしみについて書かれています。かなしみは悲しみという一言だけでは表せないことを知れる一冊です。

それでは今週はここまで。来週もよろしくおねがいします!

※「本と生活と。」は毎週水曜日更新予定です。

たまざわかづき
1993年生まれ。SWスタッフ。もともとクラリネットとドラムをやってました。音楽以外の好きなもの:本、映画、動物、ドラマ、Netflix、Hulu、ぬいぐるみ、文房具など諸々たくさん。モルモットのごまちゃんと生活してます。30歳になるまでに本屋さんの開業を目指しています。

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