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StoryWriter

最近の私はというと、塩に夢中。「夢中」といっても、ビンにつめて肌身離さず持ってるとか、朝昼晩、ましてや、おやつにペロッと、なんてそんな極端なことではないけど。

「私たちは知らず知らずのうちに塩分をとりすぎてるから気をつけた方がいい」と、昔誰かに言われた言葉を今でも定期的に思い出し、普段から気をつけている方だと思う。でも塩分は、人間にとって欠かせないもの。口にするなら美味しいものをほんの少し、ゆっくりと味わいたい。

「塩と聞いて連想するものはなんですか?」と質問をされたら3つ浮ぶ。

まずは、塩揉み。冷蔵庫にいてちょっと元気がなくなった野菜たちも塩揉みするだけで、キュッと形を変えながらみずみずしく、艶やかになる。

たかが、塩。たかが、塩揉み。いやいや、ノンノンノン。

そのまんま食べても野菜の旨味が際立ってスペシャルに美味しいし、かつお節をふわっとかけて、お醤油をほんのすこーしたらしたら、もう立派なおかず。

キャベツは大きくて野菜室を独占しちゃうから「丸ごと買う」なんてこれまでしてこなかったけど、この「塩揉み大作戦」を覚えてからは、買ってきたらすぐ適当に切りやすい大きさに切って、塩揉みして、野菜がキラキラしてきたらタッパーに移し替えて、再び冷蔵庫へ。

場所もとらないし、美味しいし、最高。

どんなに疲れて家に帰ったとしても、この塩揉みしておいたキャベツが冷蔵庫に入ってると思ったら、心が穏やかになるだろう。

2つ目は、塩豚。

お姉ちゃん家に行くとたまに出してもらってた、塩豚。これがもう絶品。美味しすぎて「これ、どうやって作るの!?」と毎回聞くけど、「ん? なんか適当に〜」と、ごまかす姉。

ごまかすといっても私にいじわるしてるわけじゃなく、いつも子どもたちをあやしながらテキパキと他の料理もレシピも何も見ずに感覚で作ってくれてるから、本当に適当なんだろう(それが全部格別に美味しい)。だかしかし、きっと姉は秘密のレシピを知ってるに違いない。

そう確信した私は姉の家にお泊まりしたときのこと、子どもたちが寝静まって、まったり一緒にホットミルクを飲んでるとき、

「ねぇねぇ、あの、いつも作ってくれてる美味しい塩豚ってさ、どうやって作るの?」

とあらためて聞くと、

「料理家の高山なおみさんのレシピだよ」

と教えてくれたのである。姉よ、ありがとう。これで私も塩豚が作れる!と心の中でガッツポーズをし、言われるがままに豚肩ロースを塊肉で買ってきて塩をすりこみ、ラップをして待つこと、三日。あら不思議。ただ焼いただけなのに、めちゃくちゃ美味しい塩豚ができてしまったのである。

「今日の味付け何にしようかな〜」なんてことを考えなくても、焼くだけでお店の味に。

シンプルにレモンを絞って食べたり、キムチやサンチュを買ってきてなんちゃってサムギョプサル風に。野菜と一緒に煮込んでポトフにしてもいいし、楽しみ方は無限大。

作ったその日に食べたくなるけど、三日目が食べごろなのでこのジラされる感じもまた、いい。

そして3つ目は、「ろく助の塩」。

いろんな人から「美味しい」とは聞いていたけど、百聞は一見にしかず。値段は安くはなかったけど、買って大正解。

初めて味見したときキッチンの隅で「お、おいしい……」と、一人ニヤニヤしてしまったほど(怪しい)。昆布と椎茸の旨味を塩の中に凝縮していて、何にかけてもコクと旨味を引き出してくれる、魔法の塩。

「おにぎりに入れる具がない!」なんてときも安心。これで作る塩むすびは、絶品です。

最後に。

昔、焼肉屋さんで「塩とタレ、どちらにされますか?」って聞かれたとき、「塩で」って答える大人に、

「なんか……それっぽい!」

と思っていた(本音を言えばタレがよかった昔の)私に、

「大人になって塩に魅了されて“塩の魔法”とかいう、なかなかダサめのタイトルつけて語ってるよ」って、コソッと教えてあげたい。

かといって今の私がそれっぽくなってるのかは分からないし、そもそも、それっぽいってなんだ?

岡田ロビン翔子(おかだ・ろびん・しょうこ)

1993年生まれ。2006年から2018年8月2日の解散まで、チャオ ベッラ チンクエッティ(THEポッシボーから改名)のリーダーとして活動。 頭の回転の良さからくるトーク力には定評があった。解散後はラジオDJを中心に、MC、モデル、自身のアコースティックライブ「ロン喫茶」など、マルチに活動中。 様々なジャンルに興味を持ち、多方面にアンテナを張りめぐらせ、スキルアップのために努力を欠かさない向上心の持ち主。

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