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AYAMOが語る、『Zipper』時代からDIYで仲間たちと創り続けてきた連載への想い

StoryWriter

ファッション誌 Zipperでモデルデビュー後、CM・TV出演・音楽活動・パーソナルブックの出版など幅広い場所で注目を集めるAYAMOの連載企画『AYAMOJAMMED』がStoryWriterに引越しをし、2021年の秋号と冬号を掲載することが決定。AYAMOがどのような想いを持って連載を続けてきたのか、そして彼女が影響を受けてきたカルチャーについてなど、連載開始を目前にAYAMOに話を訊いた。

取材&文:西澤裕郎
構成:玉澤香月


楽しむことしか考えていない……欲深い生者です(笑)

──今回、今まで連載されていたメディアの休刊に伴い、お引越しという形でStoryWriterにて連載を掲載させていただくことになりました。連載スタートの前に、AYAMOさんがどういう方なのかを、お伺いさせていただきたいなと思います。そもそもファッション・モデルの世界に入られたきっかけから教えていただけますか。

AYAMO:『Zipper』という女性ファッション誌に声をかけていただいたことがきっかけで、当時、他の読者モデルの人たちは10代の学生の子が多かったんですけど、私は20代で社会人として働いていて。仕事に出勤していた時、『Zipper』のスタッフさんから大阪のアメ村で「スナップを撮らせて」と声をかけていただいて。その後、「スタジオにも来て」と言っていただき、最初は「タダで東京に遊びに行ける。いぇーい!」という軽い気持ちでした(笑)。そこから続けて撮影に呼ばれるようになって、Zipperが廃刊になる最後まで、本当に長く出させてもらいました。

──じゃあ、もともとモデルの道を歩むとは想像していなかったんですね。

AYAMO:全然です。自分のことを”モデル”と思ったこともないです(笑)。音楽活動をしたり、アートやデザインも好きなので……何者かと聞かれたら何者でもなくて、好きなものを好きなように表現しながら感覚で生きている、楽しむことしか考えていない……欲深い生者です(笑)。

──ファッションはもともとお好きだったんですか?

AYAMO:お洋服が大好きですね。10代の時からとにかく好きだったので、モデルになるというよりは好きなものを継続して発信している感覚でした。『Zipper』はちょっと特殊で、モデルさんがただ服を着る形じゃなくて、それぞれ自分の主張したいものをファッション込みで表現する見せ方をしていた雑誌なんです。雑誌内で自己表現もできて、それが自分の音楽や他の活動に繋がればいいなという気持ちでやらせていただいていました。

──ファッション雑誌にもいろいろな色があると思いますが、『Zipper』は自己表現ができる雑誌だったんですね。

AYAMO:基本的には読者モデルの人たちが自分で服のコーディネートを組むことが多かったです。他の雑誌と比べると、個性があることの素晴らしさが基本にあった素敵な雑誌でしたね。

──様々なモデルさんがいる中、AYAMOさんの特色はどういったものだったんでしょう。

AYAMO:私はスケートボードが好きで学生の頃からやっていたんですけど、その影響もあって、80年代、90年代のオールドスケートの古着をよく着ていました。『Zipper』に初めて私服で載った時も古着を身に着けていて、オールドスクールなスタイルはずっと好きですね。『Zipper』は、ある程度の歴が経つと、自分の特集を組んでもらったり、コーディネートが自由に自分で組めるようになるんです。スタリストさんがいろいろなブランドからリースしてきたものを、みんなで「自分はこれが着たい」ってコーディネートを組むシステムだったので、当時はまだ今みたいに、いわゆるストリート系が大流行していなかったし、女の子のブランドでメンズライクなものやオーバーサイズのものはあまりなかったので、「メンズブランドのアイテムもリースしてほしい」とお願いをしてみたら、いろいろ借りていただけるようになったりもして。そこから本当に自分のしたい服装を紙面で発信できるようになりました。

──ストリート系のファッションが好きで、メンズのブランドも取り入れたんですね。

AYAMO:本当に着たいものを着ていたので、メンズとかレディースとか、特にあまり意識はしていなかったです。ただスケートボードをはじめ、好きなカルチャーの影響でメンズブランドにツボなアイテムがありがちなんですよね。おそらく、私は好きなものが一目見て分かりやすいコーディネートがほとんどだったのかなと。そういうところをもしかして支持していただけていたのかなと思います。

音楽からいろいろなものに興味を持って漁って自分でもやってみた

──さらに遡って、AYAMOさんのカルチャーの原体験はどういったものでしょうか。

AYAMO:いろいろなものを好きになるきっかけは全部音楽からです。音楽が自分の軸にあって、そこからいろいろなものに興味を持って知っていったし、やってきました。

──具体的に好きなアーティストはいたんですか?

AYAMO:ジャンル関係なくいいと思ったものはなんでも聴くんですけど、10代の頃はニュー・メタルが特に好きでしたね。パンク・ロックや、スカもすごく流行っていたし聴きまくっていました。そういうところからスケートボードをやってみようとか、バンドをやろうとか、アートやタトゥーなんかも……音楽からいろいろなものに興味を持って、いろいろ漁って自分でもやってみてました。

──僕は〈AIR JAM〉世代なんですけど、2000年前後はスケートボードや音楽等、様々なカルチャーが横断的にいろいろと結びついていましたよね。

AYAMO:私は〈AIR JAM〉ドンズバ世代ではないんですけど、そこにいたアーティストさんの影響はすごく受けています。今はライヴ現場に行かなくても楽しめるようなものが増えてきていて簡単にいろいろなものが知れるし便利だなと思う一方、現場でいろいろ見てきた世代としてはなんだかさみしい気持ちもちょっとあります。やっぱりライヴが最高です。フィジカルに音楽がぶち当たるあの衝撃を忘れて生きるなんてもう一生無理だと思います!

──ライヴ現場にもよく行かれていたんですか?

AYAMO:中学校の時から毎週末ライヴ現場に通って生てきました。パンクとかニューメタルも好きですけど、オールディーズや、ヒップホップ、デジタルハードコアなんかもすごく好きです。ほんとにいいものであれば、ジャンル関係なくなんでも聴きます。(音楽を通して)どんどん広がっていった感じです。好きなものを突き詰める性格なので、多感な学生の時期にいろいろバーっと知って、「これは好きだ―!」と思ったものを今でもずっと好きで居続けています。もちろん今も素敵な音楽に出会うために日々貪欲にディグりまくっています。まわりの友達も音楽キチガイばかりなので、よくみんなで共有しますね。最近でいうと、パンデミック前にアメリカへ行っていた時に一耳惚れしたDanger Twinsなんかは、音数の少ないラフで気持ちいい曲ばかりで、先日解禁したアルバムも聴き狂っています。なんか熱くなっていろいろ言いましたが……結局アニソン最高って感じです(笑)。

ファッションは自己満足であるべきもの

──好きなものがいろいろ繋がってきた人生なんですね。どうしてStoryWriterにお声がけいただいたのかお訊かせいただけますか?

AYAMO:私はほんとにズボラで、あまりSNSやブログも更新しないし、Instagramもやっていない、今の時代にハマってないやばいやつなんです(笑)。なので、もともとStroyWriterのことは知らなかったんですけど、Webに詳しい友だちから「好きそうなサイトあるよ」みたいな感じで教えてもらって。名前が好きな曲のタイトルというのもあって、実際にサイトを見たら、カウンター・カルチャー的なものを発信されていたり、普通の情報サイトではない空気や、良い意味でのオタクな感じもあり、自分と少し似たものを感じたというか(笑)。「仲良くできそうな方が作ってらっしゃるのかな」と、ふんわり思ったんです。普段Web サイトはあまり見ないんですけど、StoryWriterの記事を夢中になって読んだりしちゃって。素敵なサイトだし、気が合いそうだなと勝手に思って、いつも直感で行動するタイプなのですぐに連絡させていただきました。

──初めてお会いして、今その場で取材させていただいていますもんね(笑)。連載のコンセプトと内容はどういったものになるんでしょうか。

AYAMO:連載自体は『Zipper』の時に始まったもので、私のファッションをそのまま見せるだけという感じで……特に強いコンセプトがあるわけではないんです。でも、とにかく素敵なお洋服にたくさん触れていないと生きた心地がしないので、自分のそういった癖を勝手に発信し続けています(笑)。もう5年ほどやっていますね。

──5年間を振り返ってみると、自分の好きなものやスタイルの面で変化は感じますか?

AYAMO:(変化が)特にないんですよね(笑)。ファッション雑誌に出ていた者が言うと変かもしれないんですけど、流行とか、そういうものにあんまり敏感なタイプじゃなくて。そこは音楽とは違って自ら調べにいくということもしないです。本当にその時のフィーリングで、自分がしたい服装とか、自分が「これかわいいな」って思ったものを身につけています。昔からあまり好きなものが変わらず生きてきたタイプで。頑なにこだわりがあるとかじゃなく、昔大好きになったものが何年経とうがずっと魅力的すぎて……ナチュラルにただ好きで居続けてるだけです。なので、「ロリータファッションかわいい! 着たい!」という衝動が私を襲う日があれば、ロリータファッションを着る日も全然この先あるのかなって思います(笑)。ファッションは自己満足であるべきものだと考えているので、変化はあるかと聞かれれば今のところは無いですが、毎日の気分が変わるように、あっても不思議じゃないと思っています。今だって日によっては、ガーリーな雰囲気になる時もあれば、男に間違われる時もありますし(笑)。どう楽しんだって良いんです、着るのは自分自身だから。ただ、そんな自分を見てくれている人が「意外な服装だけど、これはこれで良いね」とか「同じ服装はしないけど、なんか好きだな」って感じてくれていたら、一緒に楽しんでくれてありがとうってハグしたくなります。

──AYAMOさんが全部ご自身で各所に連絡をして衣装をリースしに行ったり、カメラマン、デザイナーの方にもご依頼されているんですよね?

AYAMO:そうです。着ているお洋服はどこも昔から仲良くしてくれている大好きなブランドやショップばかりなので、リースで素敵なお洋服をたくさん眺めながら、世間話で情報交換もできる楽しい時間です。たくさんお借りするので最終的にものすごく重たくなるのだけはほんま嫌ですけど(笑)。コーディネートはいつも20体くらいは組むのですが、この時間がこれまた幸せで……。カメラマン、デザイナー、ヘアメイクも気の知れた友達です。私のことを完全に理解してくれていますし、みんながいないと完成しません。この連載は大好きなまわりの人たちのチカラを借りて、私が私のために楽しく作ってきた、すごく大切な空間です。

──連載は季節ごとに更新してきたものなんでしょうか。

AYAMO:『Zipper』の時は毎月だったんですけど、Webに移ってからはシーズン毎にしています。自分のその時の気分で「こんなところで撮ろうかな」とか、ブランドさんの新作をバーっと並べてみて、「あ、こんな雰囲気で撮ろうかな」とか。パッと思いつきで全部決めて、カメラマンの子も10年以上のお付き合いなので「今回、こういうふうに撮ろうとしているけどどう思う?」とか、いろいろみんなで相談しながら作っています。チームで泊りがけで撮影したりもしていて。撮影後は枚数もすごく多いので、デザイナーの子と「今回はこんな感じで並べようか」って相談しながら時間をかけて、「このサイズが1mm違う」とか、細かいところまで突き詰めてやっています。

──信頼しているチームの方々と連載をずっと作ってこられたんですね。

AYAMO:友だち同士にしか出せない空気感というか、そういうのが詰まっている気がして、バックナンバーをみんなで見返すと「こんなんあったねぇ〜」ってほっこりしちゃいます(笑)。こんな私にとことん付き合ってくれる、優しくて才能のある友達がいてくれて本当に良かったし、感謝しています。

──チームで定期的に好きなことを発信しているのはすごくいいことですよね。

AYAMO:実は、元々この連載は2021年まででひとまず終わりにする予定だったんです! 1年前くらいからそういう話はチームでしていて。なので前の掲載メディアの休刊が決まったタイミングで、このまま終わりにすることも一瞬考えたのですが……夏号終わりはキリが悪いし、急だったので何のご挨拶も無いまま終わりになっちゃうこともあって、それは毎回感想をTwitterにくれたり、ずっと活動を見守ってくれていたみんなに対して誠意が欠けているのかなと思ったりもして。StoryWriterでは、これから2021年の秋と冬の記事をアップする予定なのですが、まとめて連載を見れるものをいつか作ることができたらいいなといろいろ考えて動いています。気分屋なので先のことはまだ分からないけど、まずは近日公開の秋号を楽しんでいただけたら嬉しいです。元々いらっしゃるStoryWriterの愛読者さんからしたら、「なんじゃこの奇妙な奴は」ってなるかもしれませんが……奇妙なものもたまに触れると良い刺激になったりするかもなので良かったら覗いてみて下さいね。きっとモノ好きな方がたくさんいそうですし… (笑)。短い間ですが連載AYAMOJAMMEDをよろしくお願いします!

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