今、器にはまっている。
正確には、器への愛が再熱している、と言った方が正しいかもしれない。
初めて器の魅力に気がついたのは、2019年4月28日(細かい)。
「一緒に益子陶器市行こ〜」と、器好きな友達に誘われ
「お、なんだか楽しそうではないか」
という浮ついた気持ちで二つ返事をし、電車を乗り継いで向かった先は、栃木県の益子町。
何の下調べもせずに行った私と、当時かなり器に凝っていた友達との温度差はたしかにあったが、「次はここ!」「次はこっち!」と地図を持ちながら先導を切って歩いてくれる友達の、頼もしいこと。
「あ! この形好きかも」
「わぁ、この色素敵だね〜」
と会話をしながら、ついついお互い夢中になり、途中で別行動したりしながらも、沢山ある器の中から自分の家に連れて帰りたいものを探す。
なんだか宝探し感覚で、気がついたら日が暮れるまで夢中になって見てしまったが、今思い返してももの凄く楽しい時間だった。
そんな私もここ数年は買いたい衝動をグッと抑え
「趣味はInstagramで可愛い器を眺めること」
と、プロフィールに追加してもらおうかと思うくらい、暇さえあれば携帯を握りしめ、画像を見てはニヤニヤして満足していた(怪しい)。
だがしかし。
先日、買わずにはいられない器に出会ってしまったのだ。
それはお仕事おわりに立ち寄った、いや、立ち寄ってしまった蔵前にある「道具屋nobori」でのこと。
ずっと気になってて「いつか行きたいな〜」とわくわくリストにも書いてたこのお店。駅から少し歩いて辿り着いた瞬間、木の温もり溢れる外観にうっとり。
店内に入ると穏やかな空気が流れ出したのは落ち着いたBGMのせいか、お店の方の雰囲気なのか。
ここに一日中いたら落ち着きのある大人になれるんじゃないかと思わされるくらい、優しい時間が流れていた。
そして上から下、端から端まで、見るもの全部が可愛くて、思わず表情もお財布の紐が緩みそうになるが、最近断捨離をしてものをあまり買わなくなった私。
衝動買いは絶対しない!
家に帰ってから本当に必要か一旦寝かせよう!!
と冷静になり、
「今日は何も買わない」「今日は何も買いませんよー」
そう自分に言い聞かせ、お店を出ようとしたその瞬間、窓際に置かれた器にふと目が留まる。
まるで月のような、化石のような。不思議な色合いに惹きつけられて、近づいてみる。
ちょうど外からの光が当たって、キラキラしてたのは高木浩二さんのオーバル皿というものだった。
「あ、ネットだと売り切れてたやつじゃん……」
と、心の声が漏れそうになりながら、奥行きのある複雑な色彩に思わず手が伸びて、触ってびっくり。
なんだかしっとりしていて、すっごくきもちいいのだ。
思わず近くにいた店員さんに
「これ在庫ありますか?」
と聞いたら
「それは残り1枚なんです」
という返事が返ってきた3秒後にはもうレジでお財布を開いていた。
もう、わたしったら。
買わないと決めていたのに。
でも、ときめいてしまったんだから、しょうがない!!!
と、完全に開き直りながら帰りの電車で調べると、高木浩二さんは千葉にアトリエを持っていて、異なる色の土を表面にのせていく「彩泥」という手法で作られているらしい。
なるほど。あの一言では表せない色合いは、そういう風に作られていたのかぁ。と、納得しながら家まで帰る。
あぁ、この器になにをのせよう。
メインでもデザートでも。ちょこっとでもいっぱいでも。
カレーもいいな、餃子もいいな。
そんなことを考える時間も、これまた楽しい。
ちなみに、この高木浩二さんの器を買ってから何かスイッチが入ったかのように器を買ってしまっているのは、ここだけの話。
岡田ロビン翔子(おかだ・ろびん・しょうこ)
1993年生まれ。2006年から2018年8月2日の解散まで、チャオ ベッラ チンクエッティ(THEポッシボーから改名)のリーダーとして活動。 頭の回転の良さからくるトーク力には定評があった。解散後はラジオDJを中心に、MC、モデル、自身のアコースティックライブ「ロン喫茶」など、マルチに活動中。 様々なジャンルに興味を持ち、多方面にアンテナを張りめぐらせ、スキルアップのために努力を欠かさない向上心の持ち主。
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