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【連載】Times O’ Youth Vol.3 Khaki──素朴さとミステリアスな存在感を放つ新世代バンド

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音楽、アート、ファッションなど、様々なカルチャーの中で活躍する若きアーティスト・クリエイターを取り上げて紹介していく連載『Times O’ Youth〜次世代カルチャーの担い手〜』。

第3回は、東京発ジャパニーズ・オルタナティブ・ロックバンド、Khakiを取り上げる。


Vol.3 Khaki

Khakiは、2021年より本格始動した東京・下北沢を拠点に活動する4人組バンド。くるり、サニーデイ・サービス、スピッツなど、はっぴいえんど系譜の日本語ロックが持つ普遍性を継承していながら、ポップさの中に海外インディロックをルーツとした尖ったサウンドやアレンジを感じさせる注目のオルタナティブ・ロックバンドだ。

Khakiの1stアルバム『Janome』が、ボーナストラック3曲を追加収録した全国流通盤で2022年7月27日(水)にリリース。さらに収録曲「Kajiura」のミュージック・ビデオが7月3日に公開されると、その楽曲と映像のインパクトの強さからバンドへの注目度が高まっている。

一聴してまず最初に入ってくるのは、ストレートなメロディの良さ、日本語の響きを大切にした抒情的な歌詞。聴く者を虜にするような邦楽のツボをしっかり押さえていながら、よく聴いてみると曲の展開やコードの動かし方がかなり独特で、いい意味で予想を裏切ってくる。

先日公開された新作MV「Kajiura」は、そんなKhakiの魅力である、肩の力が抜けた “素朴さ” と独自の世界観へと引き込む “ミステリアスな質感” が同居している作品だ。

 

クリーンギターの開放的なサウンドと軽快なノリのリズムが、カントリーロック調のカラッとした質感を表現している楽曲だ。曲全体を通して暗すぎず明るすぎない絶妙なバランスの哀愁感が漂っていて、作詞・作曲を担当した平川(Vo/Gt)が抽象的な言葉で気だるげに歌っている感じが、また一段とノスタルジックな情景を膨らませる。中盤からラストにかけて、奇妙に鳴る変拍子のインストパートからサビの転調とともに一気に疾走感と多幸感を高めていく展開が、まさに心地良い「緊張と緩和」を生み出す俊逸なアレンジメントだ。

また作詞・作曲を担当するヴォーカリストをふたり擁するフレキシブルなバンド形態を取っていることも、Khakiのユニークな特性のひとつ。作詞を平川が担当し、作曲とヴォーカルを中塩(Vo/Gt)が担当した楽曲「The Girl」は、普遍性と独創性の狭間で誰しもに響くグッドミュージックを作っていくというKhakiのアティテュードが体現された作品だ。

 

シンプルなアレンジでさっぱりとした印象の曲だが、あやしい響きのコード感、浮遊感のあるリードギター、変拍子の違和感など多彩なギミックが曲中に散りばめられていて新しさを感じる。洋楽的なアクセントで切ないメロディを歌う中塩のヴォーカルは、少しくぐもった感じで演奏と溶け合い、曲全体に温かみを広げている。


■リリース情報

Khaki 1stアルバム『Janome』

発売日 : 2022年7月27日(水)発売
形態 : CD
品番 : MAMA-0001
価格 : 2,750円(税込)
収録曲 :
1. Hazuki
2. The Girl
3. Kajiura
4. Thirteen
5. 眠りの午後
6. 疾走
7. 車輪
8. pao
9. ハンメルフェストの口づけ
10. Sal Urso
11. Long Peace
12. Hazuki(demo)
13. 眠りの午後(demo)
14. Kajikaji
[Tr.12,13.14はボーナストラック(全国流通仕様盤限定)]
予約リンクまとめ: https://kakijirushi.lnk.to/janome

北村蒼生(きたむらあおい)
2000年生まれ、東京出身。大学ではロシア語を専攻している。株式会社SWで学生インターンをしながら、就職活動をしている。好きなものは音楽、ファッションなどカルチャー全般。

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