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StoryWriter

最近、新しいお友達ができた。

それは雨上がり。街はキラキラと輝き、縮こまっていた体をぐーんと伸ばしたくなる、気持ちのいい日。

あぁ、冷たいスープが飲みたいなぁと、このコラムで「優しいスープ」というタイトルでも書いた、私の癒しのお店に向かったときのこと。

何も考えずに来てしまったが、時計を見たらちょうどお昼時。店の外には行列が。

いつもだったら潔く諦めるが、あまりの天気の良さにルンルンで名前を書き、外に並べられているカラフルな椅子に座り、音楽を聴きながら待つことにした(つまりご機嫌)。

1時間ほど待ち、お腹がぐぅとなったタイミングで、窓際の広い席に通される。

4人は座れる場所に1人。なんだか申し訳ないなぁと思っていると

「相席いいですか?」

少し申し訳なさそうにお店の方に声をかけられる。

「もちろん!」

そう答えると、私の後ろに並んでいたきれいな女性の方が斜め前の席に通された。

「どうも、これから相席させていただくものです」と、会釈するのも違うと思い、相手の癒しの時間を邪魔しないよう、窓の外の景色を眺めた。

さてさて、何を食べようかしら。冷たいスープは飲みたいけど、1時間も待ったからこれだけじゃ足りない気がするなぁ。

そう悩んでいると、相席のお姉さんが本日のオススメ塩豚の煮込み(チーズパンつき)にスープを追加して注文。

おお、そのセットいいなぁ。

「あ、私もそのセットでお願いします」

と、すかさず便乗。

少し待つとテーブルに愛情いっぱいの料理が運ばれる。

くぅ。行列には並ばない主義だが、並んだからこそ、より美味しさが身体に染み渡っていく気がするぞ。

そして、同じものを頼んだお姉さんと、ほとんど同じタイミングで食べ終わると

「食後の飲み物は大丈夫ですか?」

と相変わらずテキパキと一人で店を切り盛りするお店の方がお皿を下げながら聞いてくれた。

「あ、では、レモネードください。」

お姉さんが答えた。

お腹が満たされに満たされた私は

「あ、大丈夫です」

と遠慮し、少し落ち着いたら席を立とうとしたが、そこに現れたしゅわしゅわのレモネードが、それはそれは美味しそうなこと。お姉さんがごくりと飲む姿を見て、私もごくりと喉を鳴らす(怪しい)。

「す、すみませーん。あの、やっぱり私もレモネード、頂いてもいいですか?」

とお願いし、私の席にもしゅわしゅわのレモネードが運ばれた。

一口飲み、その美味しさに浸っていると

「ここのお店、よく来るんですか?」

突然お姉さんが話しかけてきた。

「さっきから私と同じものばかり頼みますよね?」じゃなくて、よかった……

私が何度も来てることを伝えると、お姉さんは以下のことを教えてくれた。

ここには23年前に初めて来た以来で、久々にここのスープが飲みたいと、気分転換にウォーキングがてら自宅から約1時間かけて歩いてきたこともあり(すごい)、スープだけでは足りないと、塩豚の煮込みを頼んだらしい(かわいい)。

お姉さんは韓国の方で、20歳まで韓国で暮らし、そこから日本に来て、今年40歳。詳しくは聞かなかったが、両方の言葉を使ってお仕事をしてるらしい。

旅行が好きとのことで、スペイン、スイス、パリなど、いろんな国のおすすめの場所を教えてくれた。

「日本にもいいところがたくさんあります」と、広島から愛媛を結ぶ全長約60キロのサイクリングコース、しまなみ海道を一人で挑戦した話(途中自転車を捨てたくなるくらいつらかったけど、景色は最高に良かったからあなたも挑戦した方がいい etc.)。

旅好きのお姉さんの周りには面白いエピソードがたくさんあって、お腹を抱えて笑ってしまった。

食の話からはじまり、意気投合した私たちは、混雑が落ち着いたゆったりとした店内で同じレモネードを飲みながら、気がついたら2時間ほどお話をしてしまった。

表情がクルクル変わるお姉さんの表情があまりにもチャーミングでそのことを伝えると

「本当ですか? 実はあまり元気なかったんです。久々に有給をとってここのスープを飲みに来たんですけど、たまたまあなたと相席になって、勇気を出して話しかけたら、なんだか元気になりました。」

そんな優しい言葉をかけてくれた。

「すっかり仲良くなったみたいで」

お店の方までもなぜかうれしそうに話しかけてくれて、なんだか照れくさい。

もうこの人に会えないのは寂しいなぁ。今の時代、インスタを聞いたら一瞬にしてその人のパーソナルな部分が覗けるけど、そんな色気のないことはしたくないなぁ。

……と、モジモジしていたら

「またお茶しましょう! 連絡先聞いてもいいですか?」

と気持ちいいくらい爽やかに聞いてくれたので、喜んで連絡先を交換した。

もしまたどこかでお茶をする日が来たら、何を話そうか。

私もお姉さんに笑ってもらえるように、とびっきりのネタを仕込んでおかないと。

岡田ロビン翔子(おかだ・ろびん・しょうこ)

1993年生まれ。2006年から2018年8月2日の解散まで、チャオ ベッラ チンクエッティ(THEポッシボーから改名)のリーダーとして活動。 頭の回転の良さからくるトーク力には定評があった。解散後はラジオDJを中心に、MC、モデル、自身のアコースティックライブ「ロン喫茶」など、マルチに活動中。 様々なジャンルに興味を持ち、多方面にアンテナを張りめぐらせ、スキルアップのために努力を欠かさない向上心の持ち主。

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