
取材&文:西澤裕郎
WACK所属の5人組アイドルグループ・豆柴の大群が2025年12月10日(水)、結成6周年を記念したワンマンライブ<豆柴の大群6周年記念公演 -豆柴の大群のりステップ->を東京・LIQUIDROOMで開催した。
TBS系バラエティ「水曜日のダウンタウン」の企画「MONSTER IDOL」から2019年に誕生した、クロちゃんプロデュースの豆柴の大群。メンバーはアイカ・ザ・スパイ、ナオ・オブ・ナオ、レオナエンパイア、モモチ・ンゲール、ハナエモンスターの5人だ。プロデューサー・クロちゃんの49歳の誕生日でもある当日に開催された本公演をレポートする。
豆柴の大群6周年記念公演 -豆柴の大群のりステップ-
豆柴の大群が“6周年”を迎えると聞き、もうそんなに時間が経ったのかと驚かされた。
2019年、「MONSTER IDOL」という強烈な企画から生まれた豆柴の大群。バラエティ番組発の音楽プロジェクトはこれまでも多く存在してきたが、番組の初期イメージが強く、それを覆していくのは簡単ではない。ましてやアイドルグループである以上、卒業や脱退などの不確定要素もある。さらにデビュー直後の2020年にはコロナ禍でライブ活動が制限されるなど、決して順風満帆とは言えない船出だった。それを踏まえると、6周年をLIQUIDROOMというキャパシティで迎えられたことは並大抵のことではない。
ワンマンのレポートを相談したところ、本番前日10時にとあるスタジオに来てほしいと返事があった。足を運ぶと、メンバー5人に加え、楽曲を手がけてきたBACK-ONのKENJI03、ボーカルトレーナーの酒井ゆかが揃い、アコースティックセットのリハーサルが行われていた。KENJI03のギター、酒井のキーボードに寄り添うように、5人はスタンドマイクの前で歌い上げる。コーラスやニュアンスを酒井が丁寧に確認していき、レオナは「walk」でのフェイクを何度もトライ。その真剣さの中に、家族のような距離感と信頼関係が垣間見える。3時間にわたる濃密なリハーサルは、翌日の公演への並々ならぬ覚悟を感じさせた。



そして迎えた6周年記念公演当日。事前告知では3時間とされていた公演時間は、最終的に3時間半近くに及ぶアニバーサリー仕様のライブとなった。

豆柴の大群は2024年1月、妹分の都内某所と合併し「豆柴の大群都内某所 a.k.a. MONSTERIDOL」としての活動時期を経て、2025年1月にハナエモンスターが復帰すると同時にグループ名が再び“豆柴の大群”へと戻った。その歴史を凝縮するかのように、豆柴の大群はもちろん、都内某所時代、合併時代の楽曲までも披露。加えて、ナオ・オブ・ナオのソロ曲やメドレーなど、バラエティに富んだライブが繰り広げられた。

ナオ・オブ・ナオ

アイカ・ザ・スパイ

ハナエモンスター

レオナエンパイア

モモチ・ンゲール
コントコーナーでは、この日49歳の誕生日を迎えたクロちゃんが登場。「告白」をテーマに、クロちゃんがレオナに何度も振られてはタイムリープする——というドタバタ劇が展開され、メンバーとの息の合った掛け合いに、バラエティ番組出身グループとして積み重ねてきた経験が垣間見える。コント終盤にはメンバーからサプライズでバースデーケーキが贈られ、会場は温かな笑いと祝福に包まれた。





中盤では「メンバーが語る豆柴奮闘記」という映像が上映され、5人がそれぞれの“戦ってきたもの”を語った。ナオは「WACK」、アイカは「豆柴の大群」、ハナエは「世間のイメージ」、レオナは「すべて」、モモチは「数字」。特にハナエの語った“世間のイメージ”は、TV発グループならではの重さとリアルさを孕んでいた。彼女たちにしかわからない苦悩と向き合い続け、たどり着いた6周年であることをあらためて突きつける映像となった。
ライブ後半では、前日にリハーサルしていたアコースティックセットがスタート。「walk」でのレオナのフェイクも本番では伸びやかに響き、5人のコーラスが美しく重なる。この6年で彼女たちの歌唱力が確実に磨かれてきたことを証明する重要なパートとなった。また、2026年3⽉6日(金)に代官⼭SPACE ODDで、BACK-ONと豆柴の大群による対バンライブ<爆⾳で吠える⾖柴>の開催も発表。KENJI03が終演後にチケットを手売りすることも発言すると、大きな盛り上がりを見せた。



アンコールでは、MV対決企画の結果発表も。勝利したのはクロちゃん。お菓子でアイカを味方につけるという、手段を選ばぬ方法で勝利を手繰り寄せた。そして、クロちゃんが掲げていた「水着MV」「水着フォトブック」「海外MV」の制作が決定し、さらに本人の口から「大型タイアップを取ってくる!」という力強い宣言も飛び出した。加えて、2026年4月25日(土)にSpotify O-WESTでワンマンライブ開催のサプライズ発表も行われ、初耳のメンバーたちは驚きつつも新たな決意を口にした。
鳴り止まない拍手に応えてダブルアンコールに登場した5人が披露したのは、この日2度目となる「りスタート」。1曲目に流れたデビュー当時のトラックとは異なり、ラストに響いたのはベストアルバム『NO BEAN, NO BARK』で新たに生まれ変わったバージョンだった。どれだけ逆境に晒されても、何度でもはじめられる。そんな彼女たちの歩みそのものを象徴する曲が、6周年の終幕を鮮やかに飾った。
多くの豆粒(ファン)とともに6年間の歴史を確かに刻み、未来へ向けてまた一歩を踏み出すワンマンライブとなった。

セットリスト
1. りスタート(2020)
2. わんダーらんど
3. りロード
4. ろけっとすたーと(2025)
5. ぷりぷり
6. 君と妄想
7. それ ちょーだい♥
8. FLASH(2025)
9. ミステリアスパーティー
10. ドンクサハッピー(2025)
11. 間違いだらけのヒーロー(2025)
12. サマバリ(2025)
13. らぶ地球(2025)
14. 恋のかけ算 ABCDEFG(2025)
15. クッキー(2025)
16. FLASH BACK
17. LiKE OR LOVE
18. イッキイチユウナイト
19. Walk(アコースティックver.)
20. Sweet Home(アコースティックver.)
21. Make it blur / bye bye / Starry Carnival / イカサマダンス
22. トラスト(2025)
23. ガーデニング(2025)
24. DADDY(2025)
25. 昨日は戻らない/MUST GO(2025)/HiGH HOES/大丈夫サンライズ(2025)
26. Sing Along Time!
EN1. ぱわうぇいっ!
EN2. りステップ
EN3. リトライ
EN4. 豆柴の大群 -お送りするのは人生劇場-(2025)
WEN1. りスタート(2025)



