
取材&文:西澤裕郎
写真:大橋祐希
LiVS が、2026年9月7日の渋谷CLUB QUATTROでのデビュー3周年アニバーサリーライブに向け、新たなフェーズへと歩みを進める。
2月5日の代官山UNIT公演<LiVS 2.5>で発表された新メンバーオーディションを経て、2名の新メンバーが加入。6月27日には、新体制でのLiVSがついにステージに立つ。
“人間最高”をコンセプトに、ロックやポップスを軸とした楽曲派グループとして活動してきたLiVS。事務所の変更やメンバーの増減を乗り越え、4人体制で濃密な時間を重ねてきたグループに、新たなメンバーはどんな思いで加わるのか?
StoryWriterでは、加入する2名それぞれにロングインタビューを実施。本記事では、新体操に打ち込んだ日々や挫折を経て、それでもステージへの思いを諦めきれなかった新メンバー「ヒイナマツリ」のこれまで歩んできた道のりと、グループの根幹にある「人間最高」という言葉への思いを訊いた。
勉強か新体操しかしていませんでした
──ヒイナさんは、元々LiVSのことは知っていたんですか?
ヒイナ:実は、LiVSができる時のオーディション「THE LAST CHANCE PROJECT」を受けていて、合宿参加まで進んでいたんですけど、直前で家族が病気になっちゃって行けなくなって。フラフラしているのもあれだし、そろそろ家族を安心させたいなと思って、富山に帰って就職しました。
──そんなヒイナさんの人生を遡ってお伺いしたいのですが、どんな子供だったと言われることが多いですか?
ヒイナ:めっちゃ自信がなくて、喋らないし、暗かったみたいです。3月生まれというのもあって、同級生の成長に全然追いつけず、できないことが多すぎて、すぐ泣く子供でした。右とか左も覚えられなくて、服のマークで「星が書いてある方が右」とか、右左って書いてある靴を履いたりして。すぐいじめられたりして、ちっちゃい頃は辛かったので、あまりいい思い出がないです。

──習い事はしていましたか?
ヒイナ:3歳から高3までずっと新体操をしていました。なんで始めたのかも覚えてないんですけど、親曰く、リボンを回しているのを見て可愛いって「やりたい」って言ったらしいです。
──高3まで続けるというのは、かなり長いですね。楽しかった?
ヒイナ:楽しくはないんですけど、「やらなきゃ」みたいな気持ちが強くて。全国大会に出て入賞しないといけないくらい強いチームだったので、辞めることは考えたことがなくて。小学校で県の強化選手になって、「高3の時に国体があるから、そのために頑張ろうね」って言われていたので、それまではやらなきゃなという感じでいました。
──かなり、いい成績を残していたんですね。
ヒイナ:県の中だったら1、2を争うみたいな感じで。団体も全国大会に15年ぐらい連続で出ているところで、全国で5位とか6位くらいでした。
──まさに、新体操中心の生活だったんですね。
ヒイナ:勉強も好きだったので、勉強か新体操しかしていませんでした。友達と遊ぶことは、ほとんどしたことがなかったです。
──新しく学ぶことが好きなんですか?
ヒイナ:頑張ったらいい点数が取れる、順位が出るのが嬉しくて。文系だったので理数系は終わっていたんですけど、国語とか社会は楽しかったです。やったらやった分だけ結果が出るのが好きなんです。
──「友達と遊んだことがない」というのは、勉強と新体操が忙しすぎて?
ヒイナ:中学校ぐらいからは土日も放課後までずっと練習していたので遊ぶ暇もなかったのと、休日は休みたいから遊びに行っていませんでした。小学校まではそんなに友達がいるタイプじゃなくて。住んでいるところも村みたいな感じで、おじいちゃんおばあちゃんしかいなくて。1人で帰って、セミとかを捕まえるみたいな遊びをしていました(笑)。
──他の人たちがワイワイしているのを見て、参加したいなとか思わなかった?
ヒイナ:中学校の時は、結構明るかったんですよ。どこかで覚醒したというか、社会性を身につけたタイミングがあって、急に明るくなって。ベースは根暗なんですけど(笑)。ずっと一緒にいる友達はいなかったですけど、みんなと喋るみたいな感じでした。
自責しまくるタイプで、「自分が悪いんだ」みたいに思っちゃう

──「覚醒したタイミング」というのは、なにかきっかけがあったんですか?
ヒイナ:多分、成長が追いついたのが大きくて。同級生よりできなかったことが、一緒ぐらいにできるようになった。ちょっと喋れるようになって、話を遮らなくなったとか、時間を取らなくなったとかで、「喋っていいんだ」って感じになった気がします。それまでは、できない部分をいじられて。いじると私が泣いちゃうから面白いじゃないですか? それが、みんなができることを自分もできるようになって、なくなったんだと思います。
──そこから人生が変わったなという感じはありますか?
ヒイナ:中学校からも辛かったので、あまり変わらないです。新体操って、スタイルをめちゃくちゃ重要視されるので、細くないといけなくて。手足とか頭の大きさはどうにもできないけど、細さだけは努力でなんとかなるかなと頑張っていたんですけど、成長期で脂肪がつきやすくなって。女性らしい体型になる時期が嫌すぎて、ご飯が食べられなくなっちゃったんです。ずっと食べてないからベッドから起き上がるのも辛いけど、練習しなきゃいけない。身長はいまと同じくらいなのに30キロ台とかで。運動量は変わらないから、ずっと死にそうでした。給食も食べないので、スープとちょっとしたおかずを30分ぐらいかけて食べて。食べ盛りの男子に全部渡していたら、三者面談で親が先生に言われるぐらいでした。
──決めたことはすごくしっかりやるんですね。自分に厳しい?
ヒイナ:結構自責しまくるタイプで、「自分が悪いんだ」みたいに思っちゃう。行きすぎると、ご飯のことのようになるんだと思います。周りの要因もちょっとあるのに、全部自分が悪いんだなって思っちゃう。それは今も変わらないですね。
──生きづらくないですか?
ヒイナ:いや、生きづらいですよ(笑)。仕方ないですけど。
──ただ、その分ちゃんと成果を残してきているわけですよね。
ヒイナ:でも、1位じゃないんです。そこのコンプレックスはずっとあります。頑張ったらAは取れるんですけど、Sは取れないみたいな。もっとすごい人がいるから「すげえな」って感じで終わっちゃう。
──高校生活はどうでしたか?
ヒイナ:大学受験を1年生からずっと言われ続けるみたいな感じで。今までは新体操の比重がすごかったんですけど、勉強にもめっちゃ比重がいくようになって。その両立がずっと大変でした。特にこの大学に行きたいとかはなかったんですけど、いい大学に行った方が選択肢が広がるはずだし、かっこいいだろうという思いで頑張りました(笑)。
──その時、ご飯は?
ヒイナ:ちょっと食べるようになって。でも、食べると悪いことしている気分になるんですよ。だから、人とご飯に行くのは今も得意じゃないです。
Googleで「友達 作り方」とか調べていた

──音楽はいつぐらいから興味を持ち始めるんでしょう?
ヒイナ:高校に入ってスマホを買ってもらえて、YouTubeを見るようになったんです。AKB48とかはクラスで流行っていたので、話題に入りたいから無理やり推しを決めたり、中学校の時は平手友梨奈ちゃんが好きで聴いていました。高校になって、YouTubeを見れるようになってから、BiSHとかライブアイドルの存在を知って、アイドルが好きになりました。それまで、音楽って、心と時間に余裕があったら聴くものだと思っていたんですよ。余裕がなかった期間は聴いていなかったし、中学校まではテレビを私だけ独占できるものでもないから無理だなと思っていたんですけど、スマホを持って、見れる隙間が増えました。
──特に自分から「この人が好きだ」ってなった人は?
ヒイナ:欅坂46がずっと好きで、平手友梨奈ちゃん、かっけえな!と思っていました。でも「なりたい」とまではいかなくて。憧れているけど、その選択肢は自分にはないというか。とりあえず勉強と部活を最後まで頑張る、その考えしか持っていなかったです。
──平手さんが好きというのは、自分を重ねる部分もあった?
ヒイナ:そうですね、「辛いよな」みたいな。でも「みんな辛いもんな」って。自分だけじゃないから、あまり悲劇のヒロインぶらないでおこうっていうのは今も思います。
──本当に我を忘れて何かに没頭することはありますか?
ヒイナ:勉強する時は、周りの音が聞こえなくなるタイプなので、そのときは没頭していますね。
──高校まで続けた新体操の最後は、どうでした?
ヒイナ:国体が3年生の10月だったので、そこで区切りをつけて受験という感じだったんですけど、両立がしんどすぎて全身蕁麻疹になっちゃって。傷だらけでガーゼまみれ。自転車に轢かれたみたいな感じだったんですけど、なんとか乗り越えました。でも最後の国体は思った終わり方じゃなくて……うまくいかなかったんです。ミスが出ちゃって。新体操は取り返しがつかないので、それで終わりなんです。演技の最後に道具を落としちゃったのを、ずっと覚えていて。私は普段泣かないんですけど、その時は初めて泣きました。それはずっと今も悔しい。でも、新体操以外も知りたいから、ここで区切ろうと思ってやり切りました。
──そして大学進学で上京するわけですね。だいぶ環境も変わったんじゃないですか?
ヒイナ:そうですね。人が多いし、電車もわからなくて。今までずっと同じ市内にいたから、誰かしら友達や知り合いがいる環境にしか行ったことがなくて。初めて誰も知らない人しかいないところに来たら、友達の作り方がわからなくて。Googleで「友達 作り方」とか調べていたんですけど、最初は友達がいなくて、ずっとベッドの上でうずくまっていました。うまくいかなさすぎて、熱を出して、新歓にも行けないとか。でも、結構活発的なサークルに連行されて、そこで今も仲良くしてくれる友達ができました。学部の友達じゃないので、授業は1人ぼっちでしたけど(笑)。
──大学での勉強はどうでした?
ヒイナ:みんなのレベルが高すぎて、それはそれで落ち込みました。英語もみんなめっちゃ喋れて、「なんでこんなにペラペラなんだろう」って。私は受験に必要な勉強しかしてこなかったし、本も読んでなくて。でも、みんな政治とか、自分にはない知識を持っている人たちが多すぎて、「すげえ、そういうのも必要だよな」って。文学部系で、いろんな授業が取れたのは楽しかったです。

──どこで「自分も音楽活動がしたい」と思い始めるんでしょう?
ヒイナ:在学中に「アイドルをやってみようかな」と急に思って、オーディションを受けたら受かったんです。就活の話とかを聞いて嫌になっちゃって、現実逃避的な感じだったと思います。ステージに立つとか、注目される感じは、新体操の時に経験していて。会場に人がいっぱいいる中で1人で踊る景色はいいものだったので、やりたいなと思って受けてみたら受かっちゃって。親には事後報告で「明日からアイドルやるわ」って伝えました(笑)。
──事前に言ったら反対されると思った?
ヒイナ:いや、落ちたら恥ずかしいなみたいな(笑)。多分めっちゃ励ましてくれるから、それはそれで申し訳ないなと思って。あと、大学に行かせてもらっていて、学費も高いじゃないですか? それを払ってもらっておいて、どうしても「大学を出たのに」みたいに思われるじゃないですか。親もいっぱいお金をかけてくれているのに、っていうのは今も若干思ったりはします。
──実際にアイドル活動をしてみて、どう思いました?
ヒイナ:楽しかったんですけど、難しくて。「こんなに見てもらえないんだ」とか、就業時間が決まっているわけじゃないから、外に出たら写真を撮らなきゃとか、ずっと頭の片隅にあるのが慣れなくて。運営の方も事業として続けるのが難しいんだなって。私たちも頑張りたいし、運営さんも頑張ろうとしてくれるけど、「続けるのって難しいんだな」って思いました。
──富山で働きはじめたけど、やっぱり活動をしたかった?
ヒイナ:やっぱりアイドルがしたかったんですよ。家で歌って踊っていたりしたのが親にバレて。ちょうどDMで「アイドルをやりませんか」みたいな連絡をもらったけど、悩んでいたとき、親に「家族を言い訳にうじうじするのはみっともないからやめろ」って怒られて。本当に家族を心配して帰ってはいたんですけど、たしかに、それを言い訳に使うのは失礼だなって。そういうつもりじゃなかったけど、そう聞こえていたんだなと思って背中を押してもらって東京に戻りました。諦められなくて、今に至ります。
ぐっとくる瞬間は、これから絶対に起きてくると思う
──前のグループを辞めて、LiVSに入ろうと思ったのはどうしてだったんですか?
ヒイナ:前のグループは、会社が事業を畳むってなって現体制終了になっちゃって。「急に無職になっちゃう」って思った時に、ちょうどオーディションが流れてきて。声をかけてもらったり、他の事務所のオーディションもあったんですけど、最終的にLiVSに決めたのは、ライブに足を運んで、1番ぐっと来たのがLiVSだったから。ファンの方の雰囲気も温かくて、いい場所だなって。曲も好きだったけど、ライブの方がもっといい曲に聴こえて。「ライブに向けてたくさん練習しているんだろうな、いいライブにしようってグループで作り上げているんだろうな」って一方的に思って、いいなって思って応募しようと思いました。
──実際にメンバーと顔を合わせて、どんなことを感じました?
ヒイナ:みんな多分、ベースは人見知りなんだろうな、って。こっちも緊張しているので、「話さなきゃ」って一生懸命話しかけてくれるのがありがたいし、頑張らせてしまっているなと思うんですけど、優しいです。
──LiVSの歌や振り付けを練習してみて、どう思いますか?
ヒイナ:めっちゃ練習するなと思います。私は今まで2つの事務所でしか活動したことがないんですけど、そこではこんなに練習したことがなかったので。振り入れをして練習するとか、大きいワンマン前に練習するとかはあっても、ダンスの基礎から毎週筋トレとかリズムをやるのは初めてで。最初に1番驚いたのはそれです。他のところに比べてもめちゃめちゃ練習は多いと思います。
──新体操をやっていたことが、パフォーマンスの中で生きていることはある?
ヒイナ:やったことがない人よりは、振りを覚えやすいと思うんですけど、逆に、新体操って膝を曲げたりしちゃダメなんですよ。だから、新体操ではNGだった動きができなくて、それがちょっと「くそっ」て思います。新体操をやっていたからこそできないこともあるのが課題というか。
──LiVSの曲の中で、特に好きな曲を挙げるとしたら?
ヒイナ:「Reverse」と「ときとき☆めきめきガガーリン」が好きで。1つのグループの中に、いろんな要素の曲が入っているのがLiVSっぽいのかなと思って好きです。
──LiVSに入ってどんなことをしたいですか?
ヒイナ:私はZeppでワンマンを埋めたいとずっと思っていて。それは絶対に叶えたい。あと学祭に出たい。BiSHが自分の大学に来てくれたのを見に行っていたんですよ。Zeppは1個の区切りというか。ここを埋めたら次に行けるし、この界隈での1つの大きい区切りなのかなと思って。もっと大きいところに行くには段階を踏まないといけないので、Zeppは埋められるようになりたいです。
──同期として一緒に入るバンビさんがいるのは、心強さもあるんじゃないですか?
ヒイナ:1人だと私は結構壁を作りがちなので、バンビちゃんが人懐っこくて、メンバーを繋いでくれている感じがします。オーディションの時から話しかけてくれて、明るいので助かります。歌も上手いので、頑張ろうって思います。私、最初は怖そうとか、生意気そうって言われるんですよ。全然そんなことないんですけど、バンビちゃんが間に入ってくれるので、助かっているんです。
──怖そうって感じはないですけどね。
ヒイナ:いや、今はリラックスしているからで。初対面の時は端っこにいるタイプなので。私がしっかりしろよって話なんですけど。

──LiVSで活動するにあたって、自分のどんなところを見てほしいですか?
ヒイナ:自分がライブをする時に思っているのは、どこから見ていても楽しませたいし、疎外感を感じさせたくないってことで。どこから見てくれていても、私は変わらないクオリティーをお届けしたいという気持ちでいます。
──LiVSは「人間最高」という言葉を掲げていますけど、その言葉をどう捉えていますか?
ヒイナ:人間最高……私、あまり思ったことがないんですよ。むしろ「人間最悪」というか、「自分の人生最悪だな」って思っているし、辛い時、金持ちの犬とかを見て「お前はいいな」とか思ったりする。でも、人間だから感じられる感情もあるだろうし、ぐっとくる瞬間は、これから絶対に起きてくると思うから。その時に「人間最高だな!」って思えたらいいなって思います。
■ライブ情報

LiVS 3rd Anniversary Live(仮)
2026年9月7日(月)渋谷CLUB QUATTRO
※詳細は後日発表予定



