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【後編】BLUEGOATS「DAMN」インタビュー 炎上を経て、ダイナマイト・マリンが考えた“大人になる”ということ

StoryWriter

取材&文:西澤裕郎
写真:すずき大すけ

BLUEGOATSが、最新EP『DAMN』タイトル曲「DAMN」のMVを公開した。

同MVの背景には、ダイナマイト・マリンのSNS投稿をめぐる騒動があったという。前編の同MVプロデューサー三川陸インタビューに続き、後編では、渦中にいた当人であるマリンに話を聞いた。SNSへの投稿がなぜあれほど広がったのか。その真意はどこにあったのか。そして、グループを背負う一員としての責任と、自分の中にある正義に彼女はどう折り合いをつけようとしているのか。騒動を振り返りながら、率直に語ってくれた。


アイドルが性的に見られることが好きではなかった

──「DAMN」のMVが生まれた背景には、マリンさんのSNSでの炎上がきっかけとしてあったそうですが、改めて、何があったのかから聞かせてください。

マリン:深夜に、際どい水着を着たアイドルの写真がタイムラインに流れてきて、それを見て「アイドルが脱ぐなよ」とポストしたところから始まりました。もともと、アイドルが性的に見られることがあまり好きではなかったんです。例えば、自分がアイドルを推していて、その好きなアイドルが性的に見られるようなことをしていたら、私はすごく悲しい気持ちになってしまう。その気持ちが爆発して、投稿したら炎上してしまった、という経緯です。

──水着を着ているアイドルや、そのアイドルを応援しているファンの人たちからしたら、いきなり攻撃されていると感じてもおかしくないくらいのポストになってしまった。

マリン:否定する行為ではあったと思います。

──かいなさんと一緒に、そのときの心境を語る動画も出していましたよね。

マリン:自分たちのファンの人が傷ついてしまっているという声が多くて。私が叩かれるのも傷つきはするんですけど、どちらかというと、自分のことを好きでいてくれるファンの人が傷ついたり、運営がナイーブな気持ちになってしまうことの方が私はすごく嫌なんです。それで、ちゃんと心境を伝えるために動画を上げました。

 

──それ以前にも炎上に似たことはありましたが、今回はまた種類の違ったものだったと思います。マリンさんは漫画を描いて、問題提起などをしてきましたが、今回はかなり直接的で強い言葉だったというのも大きかったんじゃないかなと。

マリン:今までは自分の意見を主張して、自分的にも「これは正しい」と思って自信を持って上げてはいたんです。ただ今回は、かなり端折った言い方をしてしまって。漫画とかだったら、描いている間に自分の感情が整理されるじゃないですか。だから落ち着いて描けるんですけど、あの時は、誤解されるような言い方をしてしまいました。

──投稿されたのは深夜でしたし、主張というより感情が先に出た言葉でもありました。裏を返せば、それだけずっと抱えていたものがあったと。

マリン:アイドルが性的な商品として扱われることへの気持ちはずっとありました。

ギャップの中で、自分の中でもまだもがいている

──マリンさんの中には理想のアイドル像があって、そこから逸脱したものへの違和感がそうした発言に繋がったのかなと思います。マリンさんが思い描く理想のアイドル像って、どういうものなんでしょう。

マリン:もともと、モーニング娘。とか、ライブのかっこよさを売りにしているアイドルが好きで。強い女の子に憧れがあったんです。自分が地下アイドルになってみて、お客さんとの距離がすごく近くなるじゃないですか。距離の近い関係の人たちに、自分の露出した部分を見られることへの抵抗みたいなものが結構あって。そのギャップの中で、自分の中でもまだもがいているところもあるんです。

──動画の中でも話していましたが、「手の届かない存在」というのが、マリンさんの中にあったアイドル像だったと思うんです。ただ、時代の変化とともにアイドルが「会える存在」に変わってきた。その中で、まだ落としどころを探している。

マリン:そうですね、まだ悩んでいる最中というか。私は好きなアイドルを見ていて、あまりレスが欲しいと思うタイプじゃなくて。自分のことなんて見ないで、1人でかっこよく立っている姿が好きだった。でも、地下アイドルって真逆じゃないですか。ファンの人たちも協力して、それでステージに立てている部分で成り立っているものだと思っているので、そこへのギャップは、自分の中でずっと考えてはいます。

──今回のポストは、主語が「アイドル」全体に向いた強い言い方になっていました。もし今回、衝動的にではなく、ワンクッション置いてから気持ちを表に出すとしたら、どうアウトプットしていたと思いますか。

マリン:まず、私のポストは「アイドルが脱ぐなよ」という感じだったんですよ。そうじゃなくて、そのアイドル自身が安く見られてしまう可能性があること、悲しむファンもいるかもしれないこと、そこに対する悲しさを、もうちょっとちゃんと伝えたかもしれないです。

──アイドル自身に対して、「自分の価値を安く見られる可能性のあることは、しなくてもいいんじゃない?」という問いかけでもあった。

マリン:ただ、自分も過去にYouTubeで、今思えば無理をして過激なことをしていた時期があったんです。だから、難しいなと思います。みんな売れるためというか、自分のためにやっていることではあるんだろうけど、それが最終的に本当に自分のためになっているのかは、わからないな、って。

──これまでの問いは「賛否両論」が起こるものだったけれど、今回は一方的な主張になってしまったという部分があったのかなと思います。改めてどう感じますか?

マリン:漫画だったら「こういう視点があったんだ」というコメントが来ることもあるけど、今回は本当に自分の突発的なものだったので、それに対してコメントのしようがないというか。もうちょっと考えたらよかったな、と思っています。

嫌われる覚悟を持ってやっていかないと、この先多分通用しないとは思っている

──グループが大きくなって、ファンが増えたことで、マリンさん自身の感じ方も変わってきているんじゃないかと思いますが、環境の変化については、どうですか。

マリン:よくも悪くもすごく注目されるようになって、「こんなに反応が変わるんだ」というのはありました。でも、難しいですね。こういうテーマを取り扱っていくんだとしたら、嫌われる覚悟を持ってやっていかないと、この先多分通用しないとは思っているんです。自分個人としては、そもそも失うものが少ないと思っているので何を言っても大丈夫だという気持ちはあるんですけど、グループって考えた時に、メンバーの誰かが何かをしたら、個人の問題じゃなくてもグループの問題になる。そこは自分の中ですごく難しいなと思いながら活動しています。

──それは、グループとしての意識が強くなってきていることの表れにも聞こえます。昔は「炎上しても自分の責任」だったのが、「自分だけの責任じゃない」と今は思っている。

マリン:確かにその意識は強いかもしれないです。それこそファンの人も増えてきて、ライブの後、特典会で話したりとかしていると、今までは「自分のことだからいいや」と思っていたものも、ファンの人が悲しんだら嫌だな、傷ついていたら嫌だな、という気持ちがすごく強くなっているかもしれない。

──大切なもの、守るべきものができた。メンバーやファンの人が、そういう存在になってきている。実際今回、その人たちに波が及んだのがしんどかった?

マリン:それはありますね、やっぱり。……今回の炎上がきっかけではあったけど、そもそも、BLUEGOATSのこういうスタンス自体、気持ち的に合わない部分があった人も多いんじゃないかなとも思っていて。そういうのを見たくない、という人もいると思うんです。

──三川さんは、一定数ファンが離れたことがショックだった、と言っていました。

マリン:そうですね。ただ、私は三川さんとはちょっと違うかもしれなくて。来なくなってしまった人たちも、いずれはどこかで離れていったんだろうな、というのはあって。

──切り捨てているわけではなく、価値観の相性の問題だった、と。

マリン:そうですね。その人にはその人の正義があって、自分たちの正義と噛み合わない部分があったと思うので、それが早いか遅いかだったのかな、と。それに、自分のことを応援してくれるファンの人は、私のこういうスタンスが好きで応援してくれていた部分もあったと思うので、炎上があって「久しぶりに来ました」という人もいたりするので、そこが本当に難しいなと思ったりします。

私が憧れるのは、100人の中の1人を幸せにする人

──ここからグループが大きくなる中で、理想のアイドル像と現実とのギャップは、ずっと続いていくと思うんです。どう折り合いをつけていくか、どうやって初期衝動から大人になっていくか。マリンさんは、理想と現実の間で、自分のスタンスをどう作っていこうと思っていますか。

マリン:今回のことがあるにしろないにしろ、嫌われる覚悟が足りていなかったなと思いました。言うなら言うで、身近な人に嫌われる覚悟を持って言っていかないといけないし、言わないなら言わないで、それを全うしないといけない。私の中で「パンクだな」「ロックだな」と思う人って、ちゃんと自分を貫いている人だと思っているんです。自分のことを好きになってくれた人は、誰にも媚びないところを見て好きになってくれたと思うし、私が謝っている姿を見たくて好きになってくれたわけではないと思う。私自身は、そこを貫きたい気持ちはあるんですけど、グループが大きくなったら、いろんな人に見られるようになるし、言いたいことも言えなくなっていくとは思うんです。私は、もともと意見を言えるタイプじゃなくて、会社で上司に嫌なことを言われても閉じこもっているタイプで。そんな生活に嫌気がさして、アイドルという自己表現をする職業を始めたんです。自分の言いたいことや、自分にしかないものを主張して、それで誰かを感動させる。それが私にとってのアイドル。これからも、気にするところは気にしつつ、自分の芯の部分は曲げないでいることが、いいんじゃないかなと思っています。

──三川さんは今回、MVという作品でアンサーを出しましたよね。マリンさんの主張や考えも、漫画や歌詞といった表現している場で伝える方が届くのかなと思いました。

マリン:確かに、そうですね。ライブとか、漫画、歌詞とかで表現したい。

──「DAMN」のMV自体、マリンさんとしてはどう受け止めていますか。

 

マリン:人にはそれぞれ背景があって、その人なりの正義があると思うんです。その人の裏でどんなことがあったのかと考えると、悪く言えない部分がやっぱりあるなと思いました。私は、本当は平和がすごく好きなので、炎上とは反対側の人間かもしれないんですけど、平和を守るための正義みたいなものも、きっとあると思う。すごく考えさせられました。それぞれの主張や言いたいことを大事にしたいと思ったし、例えばアンチコメントが来たとして、その人の主張をちゃんと汲み取れる人でいたいな、というのはありますね。

──主張を一方的に押し付けるのではなく、反対側の主張も汲み取ろうとする姿勢ですね。

マリン:あと、三川さんから言われた言葉で印象に残っているものがあって。「お前らは絶対に列の一番後ろになるな」って。うちのライブって、リフトとかモッシュが禁止なんですよ。でも、いろんなアイドルと対バンして、そういうのをやっているのを見て、1回その規制をなしにしてもいいんじゃないかという話になったことがあって。その時に三川さんが、「他のアイドルを真似したり、その文化を受け継ぐということは、列の一番後ろにつくことになる。お前らは常に新しいことをやって、一番先頭を走れ。文化を作る側になれ」と言ってくれたことがあって。そういうスタンスをみんな受け継いでいるというか。誰かに嫌われても、正解かわからなくても、とりあえず走る。結果叩かれても、それを経験として受け取って試行錯誤してやっていく。それがBLUEGOATSだなと思うので、その言葉は大事にしています。

──炎上騒動の渦中、メンバーとはどんなやりとりがあったんでしょう。

マリン:主に喋ったのはかいなで。周りの人が傷ついてしまったことに落ち込んでいた時期があって、一緒にご飯を食べて、いろいろ話しました。そのあと公園に移動して、終電ギリギリまで。青春みたいな感じで喋ってました。

──漫画は、今は描いていないんですか?

マリン:騒動があってから、何を言っても揚げ足を取られてしまうみたいな感じになったので、一旦はライブに集中して、自分の心にちゃんと向き合う、という感じにはしています。活動しているうちに言いたいことがたくさん出てくると思うので、それをライブだったり、MCだったり、漫画とかで、ちゃんと伝えていけたらなと思います。ちゃんと覚悟を持って。

──先ほどから話に出ている「嫌われる覚悟」って、なかなかすごいことですよね。普通は嫌われたくないと思うので。

マリン:ずっと嫌われたくないと思って生きてきたんですけど、それを変えたくてアイドルになったので。私が憧れるのは、100人いて100人を幸せにする人じゃなくて、100人の中の1人を幸せにする人。そういう人がかっこいいなという憧れがあるので。自分の理想になれるように、頑張りたいなと思います。


■ライブ情報

<BLUEGOATS ONEMAN LIVE “DAWN” -BAND SET->
2026年10月5日(月)東京・Zepp Shinjuku (Tokyo)
OPEN/START 18:00/19:00
チケット 超VIP30,000円/VIP20,000円/一般A席3,000円/一般B席1,000円/各+1D
チケットURL https://t-dv.com/bluegoats_dawn

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