【連載】なにが好きかわからない Vol.11「ミッドナイト・イン・パリ」

おはこんばんにちは。僕です。

懲りずに就活につきましてお話しますと、先日某音楽雑誌の出版社の筆記試験に落ちました。まあ試験内容について会社の事業内容について触れる設問が多く、企業研究なんてしてなかったので仕方ないかと思います。なかなか筆記試験で落ちたことがないのでダメージが大きいのだけど、結局就活なんて相手を研究して望んでいそうなことを提示できないといけないんだなってことを改めて再確認しました。いつも渡辺(淳之介/WACK代表)さんが仰っている通りです…。相手の事を知らないままに「ボク面白いでしょ? ユニークでしょ?」なんてただのオナニー勘違いヤローでピエロなんですよね、きっと。オナピエですわ。

改めましてオナニーピエロです。

「何も上手くいかないじゃん、思ってたのと全然違う、人生全然順調じゃないやんけ!」。そんな気持ちですが、今回も頂いた機会でつらつらとお話させていただきたいのは、正に現状にピッタリです、ドン!

映画「ミッドナイト・イン・パリ」であります。

 

僕は映画につきましては、いわゆる映画フリークスのように年間300本は観る! みたいなタイプではないんです。強いて言えばオードリー・ヘップバーンが大好きなくらいで、他はなんとなく“あらずじ”やパッケージを見て不思議と惹きつけられるものがあった作品を観るといった程度なんですが、その中でも今回の「ミッドナイト・イン・パリ」はですね、不思議と時折思い出しては観たくなる作品なんです。

あらすじですが、映画脚本家で処女小説にも着手しようとしている主人公作家ギルが、婚約中の恋人と憧れのパリにやってきます。友達カップルと一緒にパリの由緒ある芸術の名所を訪れますが、友達カップルの彼氏が自分より知ったかぶりで、知識をひけらかしてばかりでイライラ、面白くなくて1人で夜のパリをプラプラしています。すると一昔前の車が目の前に止まり、誘われるがままに乗ってパーティに向かうと、そこには彼が敬愛してやまない1920年代のパリで活躍していた芸術家・作家達が勢揃いしており… といった感じ。

主人公ギルはそこで自分が敬愛するアーティストに囲まれ、自分の書いた小説を持って行っては尊敬する偉人達に評価してもらい… 彼にとって極上の時間を毎夜過ごすようになります。端的に言ってしまえばタイムスリップものなのですが、実際はSF作品とは括れない、何というんでしょう… 浦島太郎の物語をベースに、もっと浦島太郎の人間性にフォーカスを置いたような感じかな? 加えて、パリというオッシャレ~な舞台でアートを主軸にしている作品なので、なんとなく作品全体がアーティスティックで素敵な世界観になっております。

この作品で僕が好きな点(ネタバレも少々含んでしまうんですが)、主人公が最後に気付いてしまう「過去は今よりも理想的なモノと信じ込んでしまう一種の病」。懐古主義を諫める展開がものすごく好きです。特別バッドエンドという話ではありません。自分は過去の時代を美化していただけで本当に大事なものは自分が生きている現在なんだと気づき、そこで何かを変えなきゃ、と気づける主人公がステキです。自分が理想としていた過去の人達も、実はその当時の現状に不満があり、もがいては「~の頃は良かったなあ、良かったんだろうなあ」なんて都合のいい解釈を以て過去を美化する。そんな姿を見て、自分も単に過去に思いを馳せるだけじゃなくて現在を生きて何か変えなきゃって気づけるんです。

人ってどうしても上手くいかない時、後ろ向きな気持ちになって現状じゃない何かを理想と勝手に勘違いしてしまう癖がありますよね。高校生の頃は楽しかったなあ~だとか。僕の超絶主観で形容すると、この悪癖がない人って「ホントにキミたち人間なの?」って思っちゃってました。悩んでもがいてこそ人間の価値があるでしょう? って。

でも最近、特にWACKでインターンをさせてもらってからずっと思っているんですが、こんな悪癖はもう治しようがない。だから、そこからどうするのか? 何か失敗した時に落ち込んで一利もない夢想に耽るんじゃなくて、パスを出すのかドリブルするのか、はたまた懲りずにもう1回シュート狙ってみるのか? 考えて行動した方が絶対いいんです。

失敗して怒られた~、なんでこんな辛い思いしなきゃいけないんだ~、あの頃は良かった~… こんなダサい癖があってこそ人間なのかもしれないけど、それでも善く生きたいからもがいて悩んで、絞り出すようにでも次の一手を打たないといけない。これができるかが、人間の価値を決めるポイントになるんじゃないかなって思い始めました。簡単じゃないですよね、僕も今でも結構できません。でも、それにしたって、善く生きたいって思う気持ちの方が強くなってきました。

ところで、そろそろオチをつけたいです。

「めちゃくちゃ辛いよ! 人生の中で現状に満足して楽しい気持ちになれる時って少なくない?」って言いたくなる時、心のどこかでこの映画を思い出して「意外と過去って縋るほどの価値はなくて、それなら今、先ず何か変えてみたいな」って思えます。過去や空想なんかへ逃避癖のある、僕のような弱いクソザコマンほど観て欲しい作品です。

最近雨が続いてますね。劇中でも雨の中のパリを歩きたいという主人公が印象的でした。僕も雨の中、この映画のメインテーマ「Si Tu Vois Ma Mère(もし母に会えたなら)」を耳に流しながら家に帰るとします。傘はさしません。素敵な曲なので映画と合わせて触れてみてください。

また来週、オナピエでした。Au revior~。

※「【連載】なにが好きかわからない」は毎週木曜日更新予定です。
エビナコウヘイ(えびな・こうへい)
1993年生まれ、青森県出身。進学を機に上京し、現在は大学で外国語を専攻している。中国での留学などを経て、現在では株式会社WACKで学生インターンをしながら就職活動中。趣味は音楽関係ならなんでも。
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