watch more
StoryWriter

こんにちは。就活ゴリラです。

出版社に関連する手持ちの駒も少なくなってきました。

出版社っていうのは斜陽産業のくせに人気だけはあるもので、大手と言われる出版社では何千人という人数が採用試験を受けて、ESと筆記試験を経て7〜800人くらいまで絞られ、そこから幾度かの面接を経て20人足らずしか内定がもらえない奇天烈な倍率の業界です。やりたい事をやりたいだけなのに、なんでここまで辛辣な篩にかけられるのか… 辛い。

そうは言っても悪いことばかりでもなく、先日筆記試験で落とされてしまった某出版社から急に「面接に来てほしい」という敗者復活の電話がありました。作文もESでも真面目にふざけ倒していたので、怒られるのかとも思ったんですが、結局普通に面接でした。無駄に2回落とされるという可能性もありますが、ここですがらないワケにもいかず。

ジャイアントキリングをかましたいなあ、と験を担いで2007年M-1のサンドウィッチマンのネタを見続けております。

さて、今回取り上げたいのは言わずと知れた名作「SLAM DUNK」です。

年代を問わず多くの方々が読んだことがあるのではないのでしょうか。不良少年の桜木花道が湘北高校に入学し、一目惚れした女の子から「バスケは好きですか?」と聞かれ、そのまま勢いで弱小バスケ部に入部してバスケ少年へと変貌を遂げていく話です。

かく言う僕自身も、小学4年生当時に好きだった女の子がバスケ部に入ると聞いた勢いでバスケ部に入部したクチです。当初はバスケットボールに対して何の興味もなかったんですけど、やっていく内に、なぜか部活がない時もボールを持って練習しに行くほどで熱中しました。高校1年までバスケかギターか、という学生でした(ちなみにキッカケになった女の子からは小学5年生の頃にフラれてしまい、彼女はそのまま学校に来ない金髪ギャルになってました、合掌)。

中学バスケ部のコーチ(見た目はヤ〇ザ)に「SLAM DUNK読んだことあんのかオメェ?」と凄まれて「読んだことがありません!」と答えたら、グラウンド20周させられたので仕方なしに読み始めたんですけど、これがまあ面白くて。

適当に始めただけのバスケにのめり込んで、ルールもろくに分からずに出た初試合から1試合ごとにどんどん成長していく桜木、個性豊かなそのライバル達。これを読んでアツくならない男の子がいるわけがない。「SLAM DUNK」を読んだことがない人はいても、読んだことがある人で作品に文句をつける人は見たことがない。それほどすごいんです。

例えば音楽でも、どんなに凄い大物歌手でもアンチっていうのは付いて回るものですが、「SPITZ」をキライって言う人は見たことないですよね? 言うなれば「SLAM DUNK」は漫画界のSPITZ、1試合ごとが素晴らしい楽曲です。

「SLAM DUNK」の好きなところをあげると、体力はあるものの初心者丸出しの桜木花道がひたむきに強敵と渡り歩いて精一杯勝とうと真向から向かっていく、泥臭くてカッコイイ姿なんですよね。そして、その姿をみたライバル達も巻き込みアツくなっていきます。ライバルたちが、どんどん桜木を認め始めていく姿にジーンとくるんです。

桜木は自身が華麗な天才だと思っており、序盤でも派手なダンクばかり狙おうとしています。ですが、知らず知らずのうちに、基礎的な技術で勝とうと自分なりに必死になって努力していきます。「SLAM DUNK」なんて派手なタイトルをつけておきながら、最終巻、最後の山王工業戦、ラスト数秒、1本のシュートで試合が決まる状況で狙う最後のシュートが基礎的でひたすら地道に積み重ねてきた「普通のジャンプシュート」。ここに作品の一番の美学が盛り込まれていると思います。下手なりに努力を積み重ね、最終的に培ったもので結果を出すということがどれだけカッコイイことか…。

僕自身は小さい頃から何をするにしても人一倍吞み込みが遅いものでして、泥臭く努力している場面を見られてしまうと、「ダサいなあ、自分惨めだな」って羞恥を感じてしまう人間で、他人のこういう場面を見て美徳を見出せるようになったのはやはり「SLAM DUNK」の影響が大きいのかなあ、と。今回振り返ってみて改めて気づきました。

音楽的な話もすると、アニメ「SLAM DUNK」の初代EDテーマを担当しているバンド「WANDS」。主題歌の「世界が終るまでは…」もかなりの名曲で、このバンドも最高にカッコイイです。90年代にヒットした邦バンドらしいビーイング系の爽やかさもあって素敵なバンドです。是非聴いてみてください。

今週もさらりとここら辺で。
また来週、よしなに。

※「【連載】なにが好きかわからない」は毎週木曜日更新予定です。
エビナコウヘイ(えびな・こうへい)
1993年生まれ、青森県出身。進学を機に上京し、現在は大学で外国語を専攻している。中国での留学などを経て、現在では株式会社WACKで学生インターンをしながら就職活動中。趣味は音楽関係ならなんでも。
 .

PICK UP