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StoryWriter

皆さんこんにちは。

僕と同年代か少し年上の方しか分かり得ない感動かもしれませんが、PlayStationの名作ソフト『モンスターファーム』がとうとうスマホ版とNintendo Switch版でリリースされましたね! ヤバイ‼︎ 兄ちゃんがいる僕としては、ちょっと年代が上のゲームで育ってきたのでドストライクなのでありまして、幼稚園から小学低学年までアホのようにCDからモンスターを再生させた思い出があります。今は財布を落としている状態なのでまだ購入できていませんが、あの時の思い出を買う意味でもいち早く購入したいもんです。

ところで、この前台湾に行った時にレコードショップに行ってきました。たまたま空き時間があったので、近くの路地裏みたいな場所にレコードショップがあるとのことで、早速入ってみたものの物量に呑まれて立ち尽くしてしまったので、「すいません、日本人で何もわからないのでオススメのレコード教えてください」と店長にオススメを伺いました。掘り起こされた幾つかのレコードの中から直感で選んだ1枚がこちら、ジャーン。黒名単工作室というバンドの『抓狂歌』です。

とはいえ、何も前情報なしで購入したものでしたので、気になって調べてみると。

 

ブラックリストは、1980年代、社会情勢と仕組みに不満を抱いている、アーティストたちの集まりです。台湾で38年間にわたって敷かれた戒厳令が解除されて2年目の、1989年に、社会を風刺した、台湾最大の方言、台湾語のアルバム『抓狂歌』(マッドソング)をリリースし、世間を驚かせました。若者世代と「母語」の関係を探り、歌を通して第二次世界大戦後台湾社会の変化を伝えようと、洋楽ポップスの要素を台湾語の歌に取り入れました。政治と社会を批判する歌詞を通して、閉鎖的な社会環境を打ち破ろうとしていました。 

出典:https://jp.rti.org.tw/radio/programMessageView/id/57989 

とのこと。ほのぼの顏のおっちゃん、とんでもない激烈な作品をオススメしてくれましたやん! イイね! こういうの好きですね~。早速日本に帰ってきて再生してみると、曲の雰囲気としては日本の昭和歌謡曲みたいなレトロなサウンドをイメージしていただけるとわかりやすいかもしれません。でも戒厳令が解かれて表現の幅が広くなったからか、ちょっとしたラップがあったり、ロックサウンドの楽曲もあってイイ感じです、でも主軸はあくまで民謡や歌謡曲調。妙に中毒性があって、なんとなく何度も聞いてしまう、クセになりますね。好きな人にはたまらないやつです。

 

ただ同封されていた歌詞カードを開いてみると、メンバーからのメッセージも書かれていたのですが、1番最初に目に飛び込んできた文章に目が釘付けになりました。

你問過自己嗎?
(自分に問いかけたことはあるか?)

當你熟背中外史地,你對台灣的歷史了解多少?
(外国や中国の歴史やその地に精通していても、台湾の歴史についてどれほど理解している?)

當你對國語、西洋歌曲如數家珍時,可曾對母語歌謠多一些關注?
(中国語や西洋の歌には熟練していても、自分たちの母語の台湾語の曲への意識をしてきたか?)

當台灣現階段處於極度動盪中,你想過自己在這個時代所扮演的角色嗎?
(台湾が極度に混乱状態に陥っているとき、自分がこの時代に果たしている役割は何か考えたことはあるか?)

這些問題,你問過自己嗎?
(これらの問題を自分に問うたことはあるか?)

台湾は国として正式に認められてはおらず、中国との関係や、歴史上で西洋国家や日本の支配を受けたこともあり、自分たちのアイデンティティを問うことについて、台湾人はとても敏感です。それをいち早く啓蒙してきたこの作品、相当な価値があると思いませんか?

台湾の音楽史の大きなターニングポイントになったと幾つかのサイトで評されていましたが、本当にその通りだと思います。カルチャーに大きな一撃を加えた彼らの作品、ぜひ機会があったら聞いてみてください。全曲からエナジーを感じる作品でした。

今週はこの辺で。

また来週、一つよしなに。

※「【連載】なにが好きかわからない」は毎週木曜日更新予定です。

エビナコウヘイ(えびな・こうへい)
1993年生まれ、青森県出身。進学を機に上京し、現在は大学で外国語を専攻している。中国での留学などを経て、現在では株式会社WACKで学生インターンをしながら就職活動中。趣味は音楽関係ならなんでも。

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