BiSが、8都市9公演をまわる全国ツアー〈”LIVE DAM Ai” presents STAND BY BiS〉のファイナル公演を、2020年2月3日(月)、東京・恵比寿LIQUIDROOMて開催した。
1月4日(土)の仙台enn 2nd公演を皮切りに、愛知、沖縄、大阪、広島、福岡、北海道を巡ってきた4人のメンバーたち。全公演チケットはSOLD OUT。もちろんリキッドルームのチケットも即完と、満員の会場は研究員(※BiSファンの総称)の熱気に溢れていた。全編を通してニコ生中継も行われた本公演の様子をレポートする。
LIQUIDROOMはBiSにとって特別な会場だ。
2011年12月20日に開催された初期BiSのワンマン・ライヴ〈IDOL is DEAD〉では、1曲目に「nerve」を披露した直後、ナカヤマユキコが脱退を発表。異様な雰囲気の中でライヴを行った。2017日5月30日には、第2期BiSが全国ツアー〈BiS BAD SOCiAL TOUR〉の初日公演としてワンマンを開催。レンタルトレードで再びBiSに戻ったカミヤサキを含む新体制7人でお披露目ライヴを行った。さらにリキッドルームは、BiSHがメジャーデビューを発表した会場でもある。そんな歴史と因縁深いリキッドルームで第3期BiSがどのようなワンマンを行うか? 昔からのファンも新しいファンも問わず、注目が集まる中、ライヴが始まろうとしていた。
開演時間である19時を少し回ったところで、WACK代表でBiSのマネージャーである渡辺淳之介がステージに登場。ライヴにおける諸注意と即日SOLD OUTしたことに感謝を述べ、「僕、最近思ったんですよ。こっちがいいライヴを見せよう見せようと思っていたんです。でも今日改めてリキッドルームに来て、第1期BiSのことを思い出しました。1番大切にしていたのは研究員だったなと。なので、みなさんと一緒にライヴを作っていく感覚を共有していきたいと思います。今日は楽しみましょう!」と語り、研究員たちは大きな盛り上がりを見せた。
渡辺がステージから下がりしばらくすると、楽屋と思われる映像がステージ上のスクリーンに映し出された。映像作家・山田健人によるライヴ演出だ。
19時13分になると、メンバー4人が楽屋を出て声出しをしながらステージに向かっていく。これは、初期BiSが初めてリキッドルームワンマンを行った際のドキュメンタリー映像をオマージュしたと思われる演出だ。初期BiSがリキッドルーム公演を行ったときの緊張感がフラッシュバックする。そのままステージ脇に到着した4人が円陣を組むと、ステージ前に掲げられた紗幕にBiSメンバー4人のポーズが影写された。これは2016年1月19日、BiSHがLIQUIDROOMにて開催した『TOUR FINAL ‘IDOL is SHiT’』のオープニングをオマージュした演出だ。
違うのはこの先だった。幕が落ちると、そこにメンバーの姿はない。どこから出てくるのかと会場を見回す研究員たちだったが、少し間を置いて、BiSの4人はステージ脇から登場した。
何事もなかったかのように「はじめまして。私たち新生アイドル研究会BiSです!」と挨拶をすると、1stアルバム『Brand-new idol Society』最終曲の「LET’S GO どうも」でライヴがスタート。2ndアルバム『LOOKiE』から「FOOL PROOF」、「KiSS MY ASS」とパフォーマンスし自己紹介をすると、「TRAP」では客席にサークルができスカダンスをしたりモッシュをする研究員たちの姿が。どの楽曲も手を抜かずに4人が全身全霊で歌い踊ると、同じく研究員も振り付けを真似し熱気は上がり続ける。1stシングル「DEAD or A LiME」でエッジの効いたパフォーマンスを見せ、トギーが「LIQUIDROOMに、BiSが、来たぞー!」と研究員を煽るとライヴは中盤へ。
1stアルバムの楽曲を中心とした「BiS3」、「teacher teacher teacher」、「少年の歌」、「this is not a love song」、「absolutely meeeeee!!」をひたむきに全力に披露し、緊張感が保たれた中再びMCへ。
トギーが神妙に「BiSは、半年間活動してきて、たくさんの選択を迫られることがありました。その選択が間違ってきたこともあるかもしれないけど、こうやってBiSとして活動してきて色々な人と関わってきて、選択を間違ったとしても、あとから間違えてなかったとすればいいと気がつきました。私たちは間違うことはあっても間違えてないことにしていきます」と語ると、会場からは笑い声も起こった。こうした真剣だけどもチャーミングなところは実にBiSらしい。
ここから怒涛の終盤へ。第3期BiSはじまりの楽曲「STUPiD」のイントロが流れると、最高潮に達していたと思われた熱気が、さらに一段と弾け盛り上がった。続く「FOR ME」、「テレフォン」とメンバーと研究員のエネルギーが増幅していくと、本編の最後は「thousand crickets」へ。初期BiSが「パプリカ」で行ったラジオ体操の振り付け、そして第2期BiSが行ったスクワットを1曲を通して行う姿を観ていると、初期BiSから始まった物語の繋がりを感じずにはいられない。それでいて、メンバーたちは決して自分たち自身にエモーショナルになることはなく必死で歌い踊っている。そのひたむきな姿が、BiSの歴史を自然と思い起こさせる。
全身全霊でパフォーマンスをし終えた4人のメンバーたち。本編が終わりステージからはけると、研究員たちが節分をモチーフに「鬼は外」「福は内」というコールを経て普通のアンコールを行う。そして再びステージに登場した4人は、イトー・ムセンシティ部が、新全国ツアーの開催を発表した後に、メンバーがそれぞれ語り出す。1人ずつ言葉を噛みしめながらMCを行った。
イトー・ムセンシティ部
「こうやってBiSはどんどん変化をしていって、私もBiSに入ってから自分の変化を感じています。(今まで恥ずかしくて口に言うことのできなかった言葉)……ち…… ちんこ! ちんこーーーーーー!!! こうやってBiSに入ってから楽しいこと、おもしろいことばかりで。私は人に言えないようなことばっかりしでかしてきました。コンプレックスの塊で、それがいつか笑い話にできればいいなと思って、ここまで来れました。BiSになったばかりのとき、スタッフさんに「お前は明るいな。明るいからいいと思ったんだよ」って言われて。自分が明るいなんて思ったことがなかったからすごく嬉しくて。私はもともと人と話すことも、人が笑っている姿も、表現することも、すごく大好きなのに、自分の弱さを人のせいにしていたんですよ。自分が幸せな状況にいることもすごく否定してしまっていた。でも、幸せなら幸せって言っちゃえばいいんだと思えるようになりました。ツアーとかずっと重ねてきて本当に幸せで、みんなのBiSに対する想いとかメンバーやスタッフさんの気持ちをを大切にして全部大切にして守っていきたいと思いました。そう思えるこの場所にこれからも立たせてください。よろしくおねがいします」
ネオ・トゥリーズ
「私はBiSになって、感情を取り戻して、この半年間でものすごく考える時間が増えました。昔は悩み事とか全然なかったけど、今はものすごく悩んだりしていて。自分がすごくポジティブに考えられるようにもなりました。でも、どう考えてもポジティブに考えらなかったり、声がかれて歌うことができなかったり、足を怪我してしまったりしてダンスをすることができなかったり、それがものすごく悔しくて。自分で自分を追い詰めて、歌うことすら嫌いになってしまいそうな自分がいました。だけど逆にそういう感情によって、そんな時でも学べたこともあるし、実際変われた自分もいます。世の中には、なりたいものがあってもなれない人がいたり、すごい悩んで生き辛い人が腐るほどいます。自分は好きな場所で好きなことをして生きています。その中で自分に負けないでどれだけできるか、BiSが少しでも皆さんの生きる希望楽しみになっていたらいいと思います。自分はもっとBiSで頑張りたい、ネガティブになっていてもいつも励ましてくれて助けてくれるメンバーがいて、でもそれに甘えすぎないで自分自身もっと強くなれるように頑張ります。もっと努力して、発信して、大きくなって、今ここにきてくれているみんなや、来たくても今日来れなかった多くの人たちが来れるようなステージに立ちます」
チャントモンキー
「私は、たまにBiSになっていなかったらどうなっていたんだろうと考えることがあります。今まで家族とか友達を大切にして真面目に勉強して生きていきました。今地元から離れてBiSをしているんですけど、上京したての頃はちょっと後悔しちゃって、なんで自分から離れちゃったんだろうと思って。ずっと大切にしてきたものを自分から離れたことに毎日後悔していました。でも、BiSになって活動していくにつれて、寂しさはあっても後悔はしなくなりました。それは、前よりもBiSに夢中になれているからかなと思います。多分、選んだときには正しい選択とか間違った選択ってないんじゃないかと私は思っていて、選んだ先でどう生きるかで変わるんじゃないかと思っています。私は歌詞も曲も書けないのに、素敵な曲を届けられていて、すごく嬉しいし奇跡なんじゃないかと思ったりします。だから、私はBiSを選んだことを後悔しないように、真剣にBiSと向き合っていきたいと思っています。これからもよろしくお願いします」
トギー
「半年間、BiSとして活動してきて、何か自分が変わったことがあるのかなと考えていました。私はいつも前向きに生きてきて、それはBiSになってからも変わらなくて。どんなに辛いことがあっても、これはBiSのためになるからと諦めないで頑張ると思って前向きにやってきました。でも、BiSが全員前向きなわけじゃなくて。例えばネオは褒められても信じたらダメだと言って満足しないよう、調子に乗らないようにしてくれて、すごくバランスがいいのかなと思ったりします。すごくBiSが好きです。私は休みがあってもBiSのことばっか考えちゃうし、休みなんていらないってくらいずっとBiSでいたいと思うし、それくらい毎日BiSのことが好きなんだなと思っています。私は、武道館に立ちたいです。そして、横浜アリーナにも立ちたいです。毎日乗り越えなきゃいけないものとか、もっとこうやりたいという理想があって全然追いつけていないけど、それでも私はこれからも前だけを見て突っ走っていきたいと思います。3期BiSは武道館に立ちます。これからもよろしくお願いします」
それぞれの想いをしっかり自分の言葉伝えると、2ndアルバムのリード曲である「BASKET BOX」を歌い、最後は「BiS-どうやらゾンビのおでまし-」で、初のリキッドルームワンマンは幕を閉じた。
約1ヶ月強で全国8都市9公演をまわってきた第3期BiS。今回のツアーで4人は、自分自身の弱さや過去について向かい合いMCを行ってきた。地方公演では朝から映画の舞台挨拶を行い、そのままライヴ会場に移動、まったく休みのないことも当たり前だった。決して体調も万全とはいえなかった。それでも、彼女たちは一切手を抜くことはなかった。自分たちは何者でもない。それをわかっているからこそ、ひたむきに必死に目の前のことに我武者羅になれる。それが第3期BiSの強さだ。
そして、トギーが口にした「3期BiSは武道館に立ちます」という言葉。かつて第1期BiSが目標にしていた場所で、開催直前で立つことのできなかった本当の意味で因縁の場所だ。これまでもWACKの他グループから武道館という言葉が出ることはあっても、ここまではっきりと宣言することはなかっただろう。これは夢ではなく、本当に実現させることを誓った目標だ。どんな困難だって、逆境だって乗り越えてチャンスにしてきたBiS。ここからが本当の第3期BiSのスタートだ。
取材&文:西澤裕郎
写真:外林健太
〈“LIVE DAM Ai”presents STAND BY BiS〉ツアーファイナル
2020年2月3日(月)@LIQUIDROOM
◼︎セットリスト
1. LET’S GO どうも
2. FOOL PROOF
3. KiSS MY ASS
4. TRAP
5. SURRENDER
6. LAUGH AT ME
7. 1,2,3!!!
8. FUCKiNG OUT
9. DEAD or A LiME
10. BiS3
11. teacher teacher teacher
12. 少年の歌
13. this is not a love song
14. absolutely meeeeee!!
15. SPiLLED MiLK
16. kAsAbutA
17. LOVELY LOVELY
18. STUPiD
19. FOR ME
20. テレフォン
21. thousand crickets
EN1. BASKET BOX
EN2. BiS-どうやらゾンビのおでまし-
◼︎BiS 新ツアー情報
〈HEART-SHAPED BiS TOUR 1st season〉
2020年5月2日(土)@福井・CHOP OPEN 16:00 / START 17:00
2020年5月3日(日)@石川・AZ OPEN 16:00 / START 17:00
2020年5月9日(土)@広島・Live space Reed OPEN 16:00 / START 17:00
2020年5月10日(日)@岡山・IMAGE OPEN 16:00 / START 17:00
2020年5月17日(日)@東京・WWW OPEN 16:00 / START 17:00
2020年5月24日(日)@栃木・HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2 OPEN 16:00 / START 17:00
2020年5月30日(土)@静岡・Sunash OPEN 16:00 / START 17:00
2020年6月6日(土)@沖縄・Output OPEN 16:00 / START 17:00
2020年6月13日(土)@北海道・BESSIE HALL OPEN 16:00 / START 17:00
2020年6月14日(日)@北海道・旭川CASINO DRIVE OPEN 13:00 / START 14:00
2020年6月21日(日)@新潟・GOLDEN PIGS BLACK STAGE OPEN 16:00 / START 17:00
2020年6月27日(土)@埼玉・西川口Hearts OPEN 16:00 / START 17:00
2020年6月28日(日)@愛知・NAGOYA ReNY limited OPEN 16:00 / START 17:00
※チケット
【FC会員限定チケット】:非公表
【通常チケット】:スタンディング 3,800円(税込・ドリンク代別)
・WACK FAMiLY CLUB先着先行:2/3(月)20:00〜2/4(火)22:00
・WACK FAMiLY CLUB:2/5(水)20:00〜2/11(火)23:00
・HP抽選先行:2/13(水)20:00〜2/20(水)23:00
・一般発売:3/21(土)AM10:00〜
BiS Official Twitter:https://twitter.com/@BiSidol