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StoryWriter

2020年春。世界は変わってしまった。

新型コロナウィルスという、人類最大最強の敵。ドカベンでいえば、最大の難敵・弁慶高校の登場回がとうとうやってきてしまったのだ。

長引く外出自粛生活の中、私は今、爪に火を点すような生活を送っている。もちろん、ライフワークであるキャバクラ通いもできない。そもそも、東京都内ではキャバクラが営業停止を余儀なくされている。そして、もし営業している店があったとしても、私には金がない。何故ならば派遣業務にも出勤できず、収入がないからだ。

真綿で首を締めるように経済的な困窮が迫る日々。そんな不安を話す相手もいない。孤独な毎日。咳をしても、一人。いや、人前で咳をして見知らぬおばさんに睨まれるよりはいいかもしれない。

咳といえば、Mr.都市伝説こと関暁夫さんが銀座線の車内で隣の席に乗りこんできたことがあった。座るとすぐにスマホを取り出してぷよぷよをやり出したMr.都市伝説。あのとき、世界がこうなることは予測できなかったのだろうか。ぷよぷよをやっていたばかりに……

いや、その関のことはどうでもいい。今はとにかく、この状況を打破しなければ。仕事もねえ、キャバクラもねえ、レーザーディスクは何者だ。私はこんな生活は嫌だ。キャバクラに行き、嬢たちに、会いたい。

そんな私の眼にふと映った「オンラインキャバクラ」の文字。外出せずとも、自宅にいながらキャバクラ体験ができるのだという。そういうのも、あるのか。

しかし、何度でも言うが、キャバクラとは人間同士が直接顔を合わせ、肌を触れ合うことで紡いで行く人間ドラマ。それが故、ザ・ノンフィクションでも銀座キャバクラ界の大スター・菜々江ママが取り上げられるのだ。そんな人間ドラマが、パソコンやスマホの画面を通して体験できるはずがない。言ってみれば、ラーメン二郎をコンビニで済ませようとしているのと同じことだ。いったい誰が「にんにく入れますか?」と聞いてくれるというのか。荒唐無稽にもほどがある。

私は、オンラインキャバクラなるものに浮かれる世の中に警鐘を鳴らすため、あえてその情報をチェックすべく、オンライン専門ZOOMキャバクラ「ズムキャバ‼」という店のオフィシャル・ウェブサイトを覗いてみた。すると、どうだろう。

艶やかな巻き髪、華やかなドレス。美しいデコルテ、そして巨乳。

見渡す限りの、嬢、嬢、嬢。

麗しき嬢たちが、オンラインキャバクラに集結しているではないか。

そうか、みんな、ここにいたのか。

言うなれば、オンラインキャバクラは嬢たちが辿り着いた目的の地。そう、西遊記でいえば、永遠のユートピア・ガンダーラなのだ。そしてそこは、私たちキャバクラウォーカーにとっての約束の地でもある。

私は、久しぶりに体中の血がみなぎるのを感じた。

居ても立っても居られなくなり、「飛べ!孫悟空」挿入歌 「ゴー・ウエスト」を口ずさみながら、より詳しい情報を得るべく、お店のTwitterへと向かった。なんと、「このアカウントをフォロー&RTした方 合計50名を無料ご招待しちゃいます。GWはズムキャバ!!」と告知されているではないか。今年のGWは、ここにある。なぜ、もっと早く知ることができなかったのか。バカ、バカ、私のバカ。都知事は、きっとこのことを隠していたに違いない。

「やっと、逢えたね」。

私は、初対面の中山美穂に辻仁成が放った名セリフを呟きながら、早速「ズムキャバ‼」のオフィシャルTwitterアカウントをフォロー&RTした。

アセロラ4000『嬢と私』コロナ時代編は不定期更新です。
次回更新をお楽しみにお待ちください。

アセロラ4000「嬢と私」とは? まとめはこちらから

アセロラ4000(あせろら・ふぉーさうざんと)
月に一度のキャバクラ通いを糧に日々を送る派遣社員。嬢とのLINE、同伴についてTwitterに綴ることを無上の喜びとしている。未婚。
https://twitter.com/ace_ace_4000

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