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天津飯放浪記第20回「卵が”モチ”っとしていて亜流の究極に一番近い天津飯」

StoryWriter

おいっす。

「あちき」っていう一人称使ってる人は釣りバカ日誌のハマちゃんしか見たことない、火鍋栄光です。

というわけであちきは、先日アラサーにまた一歩近づきました。社会人になってからの誕生日なんて何も特別なことありゃしないね。当日はお昼に家でチャーハンを作って、晩飯はスーパーで安くなったフルーツ盛りとウィダーインゼリー食べてました。その男、ダイエット中につき。

さて誕生日明けでやってきたのはこちら、京王線・千歳烏山駅。数年前から準特急が停まるようにもなり、駅周りの開発が進行中であるとはいうものの、駅周りは開かずの踏切が増えたとか。実際、当日も踏切を通ろうとするたびに3分くらいは待っていたような……。何事もメリット・デメリットが付き物ね。

そんな千歳烏山駅南口を出て道なりに真っ直ぐ進むこと5分ほど。住宅地が増えてきたかと思いきや……。

この飲食店の並びに赤い中華風の提灯が下がったお店が目につく、オホッ!

ほい来ました! 陵南高校バスケ部の負けず嫌いで驚異的なスコアラーと同音異義語の「福ちゃん」にいざ潜入! もっとホメてくれ…… プルプル

ン?

ンン???

○べログには天津飯があるって書いてたんだけどな……。あゝ、厚かましくも店員さんに「天津飯」ありますか? って尋ねないといけない……。めんどくせえ客だなと思われたくないけど……。ええい、ままよ! 勇気を出して訊くと「はーい」と華麗に注文が通る。もっとホメてくれ…… プルプル

お店に入ると店内の半分弱くらいが埋まってる感じだったけど、時間が経つに連れてこれでもかと絶え間ない来客。土方の兄ちゃん達から近所に住んでるらしい主婦まで。挙句には、立ってでも席が空くのを待っている人まで。これってもしかして有名なんじゃないの! 期待していいんじゃないの! ソワソワしていると注文から5、6分ほどで……。

\オマタセシマシター/

ほう。店内ではホールのおばさんと厨房の調理担当のおじさんが中国語でお話していらしたので、これまでのパターンでいくと濃い目の醤油ベース天津飯が来るかと思っていたけど、今回は意外にも見た目はケチャップベースっぽい。うーん、久しぶりのケチャップベース、たまらん! いざ実食!

ツヤ〜

おいっす!

……。あまりの衝撃に無言になってしまった。

何を隠そうこんな卵を食べたことがない! 何だこの食感は! 今までふわふわだ〜とか固めだね〜とか言ったことあるけど、ここは全く違う! ふわふわと言えばふわふわなんだけど、ちょっと弾力があって厚さあってモチっとしている!

見た目ふわっと、中はモチっと! どうやったらこんな食感を生み出すことができるというのだ! 米がすすむとかではない、卵自身が主役、いや主食のような感じがする! モチっとしているおかげでボリュームもあるように感じる! なんだ! 何なのだこれは! 食べたことがないけど美味すぎる! 時折、細長く刻んで卵に綴じられた竹の子、ニンジン、昆布がまた歯応えもあって食感が楽しい。あんは見た目通りケチャップベース。ケチャップベースは一歩間違えれば口に入れた瞬間すっペー! となりがちなところを、マイルドに仕上げることに成功している。舌当たりが柔らかいのだ。こんな天津飯がアリなのだろうか⁉︎ 感服せざるを得ない。米も程良い柔らかさで甘味を感じる。何度も言う何が起こっているか分からない……。でも止まらん! うおおおおおおお!

ダイエット中なのでゆっくり食べようと思っていたのに、ものの数分でたいらげてしまった。食べ終わって家に着いてこの文を書いている今もさっぱり分からない、夢のような体験。

卵があんなに存在感を前面に出していてハズレの天津飯は始めてだ……。狐につままれたような気持ちだが、間違いなく亜流で究極に一番近い卵だった。誰かこの謎を解けるグルメさんがいたら、この謎を解いて欲しい。それだけが私の望みだ……。

今日の天津飯豆知識:
卵が主役の天津飯もある。


⭐︎今日のお店⭐︎
「福ちゃん」
住所:東京都世田谷区粕谷4-20-18
営業時間:
11:00~14:30(ランチ)
17:00~23:00(ディナー)
年中無休
電話番号:03-3309-8828
火鍋栄光(ひなべ・えいこう)
大学時代には中国に留学、何度も旅行で現地に赴いては中国各地の料理に舌鼓を打ってきた若武者。現在はネオン輝く大都会トーキョーで、本場の味が楽しめる中華料理屋を彷徨う神出鬼没のゾンビ。普通の中国人はチンプンカンプンの日本発祥中華料理の代表格「天津飯」に人生を狂わされかけている。記事中の写真は©︎Photo by Kopei。

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