BiSHや豆柴の大群らが所属するWACKの中で、キャリアが最も長かったGANG PARADE(以下、ギャンパレ)が2つに分裂して生まれたアイドルグループ「PARADISES」。ギャンパレでキャリアの若い4名――テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールド、キラ・メイによって構成された新人グループだ。
2020年7月22日にはグループ初となるフルアルバム『PARADISES』をリリース。9月6日には横浜・関内ホールにて結成後初のホールワンマンライヴ〈初めまして、楽園です。〉を有観客で開催。そして現在、育成ユニットWAggから新メンバーを追加するオーディション〈PARADISESの素晴らしき未来〉を開催中だ。
そんな彼女たちに迫る個別インタビュー連載も2周目に突入。第3回は、テラシマユウカへのインタビュー。WAggのウタウウタとパートナーを組み、彼女の良さを引き出し続けるテラシマだが、コロナ禍で活動ができない中、初めて活動を辞めようかとまで悩んだという。そんな彼女の赤裸々な気持ちを訊いた。
取材&文:西澤裕郎
写真:まくらあさみ
後悔が残るのは絶対に嫌だったんです
──WAggから新メンバーを追加するオーディション企画〈PARADISESの素晴らしき未来〉の実施を聞いたとき、率直にどのように思いましたか?
テラシマユウカ(以下、ユユ):最初に聞いたときから、そこまで驚きはなかったし前向きでした。GANG PARADEが分裂してPARADISESがスタートしたとき、どういう見せ方にしたらいいか考えても分からなくて、自分のグループに自信を持って好きと言えない時期があったんです。でも、ワンマンをやったり有観客ライヴをしたりして、お客さんからの愛を体感してから、私はこのグループをもっともっと育てあげていきたい、PARADISESで上にいきたいという気持ちが芽生えてきて。なので、もっともっと注目してもらえるし、いい方向に変われるきっかけになると思ってポジティブに捉えていました。
──オーディションのテーマ曲「PLEASE LISTEN TO MY」は、ユユさんにとってどんな楽曲だと捉えていますか?
ユユ:WAggのメンバーにはもちろんですけど、PARADISESにもすごく当てはまる曲だなと思っていて。どんでん返ししてやりたいなと思うことがすごくあるし、サビの〈頭の中を、心の中を覗きまくってくれよ〉という歌詞も、私たちがさらけ出したものをもっともっと見てほしい気持ちがある。めちゃくちゃ今の境遇に当てはまる歌詞だなと思います。
──11月14日に鎌倉で行われた〈PARADISESとWAggの素晴らしき未来-SHOWCASE-〉で、WAggメンバーとPARADISESメンバーがペアとなり、パートナーとして活動することがアナウンスされ、ユユさんはウタウウタさんとペアを組んで行動することになりました。今日のインタビューにも同行されていますが、最初は交換日記から始めたそうですね。
ユユ:一緒に行動することになったとは言え、2人きりで話せる場がたくさんあるわけじゃないし、ウタ自身がStoryWriterさんで行ったメールインタビューをやってみて、考える時間があってよかったと言っていたんです。直接話すことも大事なんですけど、1回落ち着いて出てくる気持ちとか言葉も知りたいなと思って、交換日記を始めたんです。
──交換日記をやったことで、コミュニケーションが深まった感じはありますか。
ユユ:ありますね。トレーナー制度が発表されてから合宿まで1週間しかなかったので、ほぼ毎日会ってはいたけど、SHOWCASEが終わってからの心境とかをガッツリ話す時間がなくて。なので、合宿前までにコミュニケーションを数回重ねられたのはよかったなと思います。
──今回の合宿は1泊2日で短期集中型でした。どんな心持ちで臨みましたか?
ユユ:合宿とは言え1番に楽しんでやりたい気持ちがありました。あと、後悔をしたくなかった。1泊2日しかないので最初から全開でいかないと、絶対に後悔する点が出てくるなと思って。もちろん1位はとりたいんですけど、合宿が終わった後に、こうすればよかったなと後悔が残るのは絶対に嫌だったんです。私とウタは、そういう後悔を引きずるタイプという部分で似ているので、清々しく終われたらいいなということを1番に臨みました。
──合宿の面談では、2人とも環境に適応して合わせてしまう時がある、と話していました。ユユさんとウタさんで似ている部分が多いんですね。
ユユ:私もウタも1番に先頭を切るタイプじゃないというか、後ろから押すみたいなポジションではあるし、自分がこうしたいというより周りに合わせようとしちゃうというか。人の言葉を良くも悪くも受け止めすぎてしまうところがあるんです。ポジティブとネガティブの波が分かりやすく広い。そういう面がウタにもあるなと感じていたので、この2人だからこそ一緒にポジティブな方向に行けたら、よくなるんじゃないかなと思っていました。
どういう結果になってもそれを受け止めてやっていける自信がある
──合宿を終えてみて、後悔なく清々しく終われましたか?
ユユ:はい。1位を獲れたのがコントのニコ生投票しかなかったんですけど、できること全てを出し切ったなと思っています。本当に清々しく終わった合宿やったなって思います。
──それこそ一発芸の審査で、2人から女装してほしいと懇願されて。その必死さに、やるしかないと思って参加させていただきましたが、それは誰よりも必死さが伝わってきたからなんですよね。
ユユ:みんな小道具を使っていたじゃないですか? うちらは大道具だっただけで(笑)、なにもずるいことはない。どんな手段を使っても、おもしろくしたかったんです。
──ユユさんの、とにかくやってやるんだという精神は、GANG PARADEの魂みたいなものを感じました。
ユユ:私は、この世界に入った時から(カミヤ)サキちゃんに育てられてきたので、グループが変わったところで、その精神が変わるものじゃないと思っていて。だけど、PARADISESになった時に見られ方が一気にガラって変わったんです。お客さんからも、WACKの他メンバーからも、スタッフさんからも、「どうなん?」みたいな雰囲気をめちゃくちゃ感じていた。PARADISESは最初に打ち出したものが、キラキラだったり、爽やかな青春だっただけで、自分が持っているものってそれだけじゃないからとめちゃめちゃ思っていて。それこそギャンパレで3年半積み重ねてきたものが、グループが変わっただけで消えるだけないやんと思っていました。なので、それを出せる場が合宿であったことはありがたかったですね。
──僕も合宿に行って、みなさんの行動を観ていたら、勝手な先入観で見ていたんだということを思い知らされました。
ユユ:SHOWCASEが終わってから、その雰囲気は他のスタッフさんからもめちゃくちゃ感じましたね。PARADISESというグループが、なんでそこまで固定概念で見られているんだろうという不思議さと悔しさはありました。逆に、それをぶち破った時の振り幅は大きいし、達成できた時のお得さは異常だなと思っているので、それだけで心折れていたらダメだなと活動しています。
──WAggメンバーと一緒に活動する時間が増えて、メンバーのことを理解したり、全体のことが見えてきたと思います。ユユさんとしては、どんな未来になっていけばいいなと思っていますか。
ユユ:今はどういう結果になってもそれを受け止めてやっていける自信があるんです。もちろん、みんなでファイナルステージに行きたいと思うし、誰も落ちてほしくない。だけど、もしかしたら誰も選ばれないかもしれないし、複数人選ばれるのかもしれない。どういう結果であれ、ちゃんと未来に繋がっていくんじゃないかなとオーディションが進むにつれて思えるようになりました。
自分も誰かの些細なことになりたい
──コロナ禍でライヴができない日々が続きましたが、改めてお客さんの前でライヴをやってみて、どんなことを感じましたか。
ユユ:コロナ期間中、レコーディングや作詞、ZOOMインタビューなどはさせてもらっていたんですけど、いまいち動いている実感がなくて。それで、このまま時間を消費していくだけなのかなと思ってしまった時期があったんです。それこそ2020年内に有観客ライヴができる未来が戻ってくるなんて思えなかった。緊急事態宣言が出ている時は正直、活動を続けるか悩んだ瞬間もありました。このまま待つ時間が多くて消費してしまうなら別の道を選んだ方がいいのかなって……。PARADISESになってから、心の折れる寸前みたいな時があったけど、なんとか自分の気持ちを繋ぎとめていた時に、やっと有観客ができて感覚が戻ってきたというか。やっぱりここで私は生きていきたいと思ったし、生きている実感がしました。
──有観客ライヴができるようになったことがターニングポイントだったと。
ユユ:私がWACKのオーディションを受けた理由は、自分の人生をどうにかしたかったからで。そのまま生きていたら数年後の未来が見えるというか、それがすごく嫌でオーディションを受けたんです。だけど、活動を続けていくうちに、その気持ちはありつつも自分のためだけじゃ頑張りきれないことがいっぱい出てきて。それこそお客さんのためだったり、家族のためだったり、応援してくれている人のために生きたいと思えるようになった。誰かの生きがいになりたいという気持ちが強くなったんです。綺麗事みたいに思うかもしれないけど、本当にその気持ちがめちゃくちゃ大きくなってきたことを実感しました。
──お客さんがいることが、すごく大きいことなんですね。
ユユ:やっぱり全然違います。毎週ライヴをやっていた時も会えることが本当にうれしかったし、ありがたさも感じていたんですけど、失って気づく大切さも絶対にあって。1回失ったことで、これまで以上に大切だと思うようになりました。あと1週間でも有観客のライヴが決まるのが遅かったら辞めていたかもしれない。2020年にそういう場所が戻ってきてよかったなってめっちゃ思います。
──そこまで思い詰めていたとは驚きました。
ユユ:それこそPARADISESとしてスタートした段階では、メイちゃんも昇格したばかりなのに練習することが全然できなくて。私も家から出れないし、人とも会わないし、相談できる相手もいなくて。そうなった時に、自分の性格上どんどん考え方が悪い方向にいっちゃうというか。本当に活動を始めて1番悩みました。あのときは、絶望でしたね。
──有観客ライヴが決まっていなかったら、本当に危なかった。
ユユ:本当に自分もギリギリでした。だから、ウタが辞めようか悩んでいることを知ったとき、絶対に辞めてほしくないと思ったんです。今までの積み重ねてきたものとか、この活動で得られたものとか、楽しかったことより、つらいが超えてしまう。もう1回楽しかった感情を思い出すって、すごく難しいんです。だからこそ余計、ウタにはステージに立ってお客さんが目の前にいて、自分の胸が熱くなるような瞬間を絶対に忘れてほしくないなって思ったんです。
──トレーナー制でウタさんと一緒になったことはすごくよかったですね。
ユユ:この期間で、いろいろなアイドルが辞めていったし、解散するグループもあったじゃないですか。今まで辞めていったのを見ていて、もっと自分にできたことがあったんじゃないかなと思うことが多くて。そういう後悔があったから、目の前に悩んでいる人がいるなら、ちゃんと向き合わないと絶対に後悔するなと思ったんです。
──ユユさんはライヴを通して、どんなものをお客さんに伝えたいと思いますか。
ユユ:本当に小さなことでもいいから誰かの生きがいでありたい。あと1週間でライヴだとか、あとちょっとでチケットの申込みが始まるとか、抽選結果が出るとか、ちょっとした楽しみだけでも好きなものに対しては頑張ろうと思えるじゃないですか。1mmでもそういう気持ちを与えられ存在でありたい。些細なきっかけで明日も頑張ろうとか、生きていけたらいいなと思えるグループになりたい。自分も昔、身近な人が亡くなってしまった経験があるんです。その時に自分は生きがいになれなかったんだと思って。大人になってからそれを振り返ると悔しいんです。その人なりの理由があったと思うんですけど、自分がその人を食い止める些細なきっかけでもありたかったなと思うから。
──それにはやっぱり活動を続けていかないとですね。
ユユ:辞めちゃったら終わりだから。だからといって私は他の場所で続けたいって気持ちはないんです。やるならWACKがいいと思っている。SiSが1日で解散してWACKに入れてもらって、辞めたいと思う瞬間はコロナ期間以外本当に1回もなかったんです。
──それだけ本気でやっているというのは周りの人にもお客さんにも伝わっていると思いますよ。続けてくれてよかったです。
ユユ:私も続けられてよかった。それは本当にいろいろな人のおかげだなと思います。ライヴを決めてくれたスタッフさん、曲を作ってくださるみなさん、応援してくださる方だったり、人がいなきゃできないことで、本当に誰かがいないとできないと思うんです。些細なことが積み重なって自分も生きていると思うからこそ、自分も誰かの些細なことになりたいと思います。
■イベント情報
2020年12月19日(土)20:00~「PARADISESの素晴らしき未来」
https://live2.nicovideo.jp/
PARADISES〈LAST FANTASTIC FOUR〉
2020年12月26日(土)@サンリオピューロランド 1Fエンターテイメントホール
時間:Open 11:30 / Start 12:00
特典:PARADISESメンバーとサンリオキャラクターとの囲みサイン入りワイドチェキ付き
[問] サンリオピューロランドゲストセンター 042-339-1111
[受付時間] 9:30〜17:00(休館日を除く)
FC会員限定【受付日程】12/19(土)AM10:00〜
詳細は快眠楽園応援團のシーン投稿をご確認ください。
https://fanicon.net/fancommunities/1477
電子チケット発券開始日
12月19日(土)AM10:00〜
PARADISES&WAgg〈PARADISESとWAggの素晴らしき未来 -FINAL STAGE-」FINAL MISSION〉
2020年12月26日(土)@サンリオピューロランド 1Fエンターテイメントホール
時間:Open 16:00 / Start 16:30
特典:PARADISESとWAggメンバーとの囲みサイン入りワイドチェキ付き
[問] サンリオピューロランドゲストセンター 042-339-1111
[受付時間] 9:30〜17:00(休館日を除く)
チケット料金(税込)
【通常チケット】指定席 8,000円(税込・サンリオピューロランド入場料 3,900円込)
※当公演のチケットは全てデジタルチケットでの取り扱いとなります。
※年齢制限/未就学児童入場不可
※写真撮影可能・動画撮影不可となります。
チケット一般販売日
【通常チケット】12/19(土)AM10:00〜
電子チケット発券開始日
12月19日(土)AM10:00〜
PARADISES PROFILE
テラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールド、キラ・メイの4人からなるアイドルグループ。読み方は“パラダイセズ”。
2020年3月、所属する音楽事務所WACKが主催するオーディション合宿「WACK合同オーディション2020」最終日に事務所代表の渡辺淳之介より「GANG PARADE」を2つに分ける形で結成がアナウンスされた。
2020年4月1日に同日結成した「GO TO THE BEDS」とのスプリットアルバム『G/P』を発売!!
同年7月22日に初のフルアルバム『PARADISES』をリリース!!