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【連載】WAgg Vol.25 月ノウサギ「WAggで強くなって戻ろうって覚悟ができました」

StoryWriter

BiSHやBiS、豆柴の大群が所属する音楽プロダクション・WACKの次世代アイドル育成グループ・WAgg。2020年10月から約3ヶ月間に渡り、先輩グループであるPARADISESへの昇格をかけたオーディション企画〈PARADISESの素晴らしき未来〉を行い、ウタウウタがPARADISESへの昇格を勝ち取った。

また、PARADISESメンバーの月ノウサギが半年間WAggへレンタル移籍、元CARRY LOOSEのメンバーであるYUiNA EMPiREがWAggに新加入することが発表された。2021年1月3日には、6人体制となったWAggで、TSUTAYA O-WESTにてワンマンライヴ〈WAggs〉を開催。新たなスタートを切った。

そんな激動のWAggにレンタル移籍となった月ノウサギに、現在の心境やPARADISESへの想い、WAggでの決意など、インタビューで迫った。

取材&文:西澤裕郎
写真:まくらあさみ


この移籍には意味しかないなと思った

──WAggへのレンタル移籍が発表されたときの率直な気持ちを教えてください。

月ノウサギ(以下、月ノ):頭が真っ白で、ステージの袖に下がった後の記憶があまりないんです。自分がどうして今舞台袖でPARADISESのメンバーを見ているんだろう? という感覚で、しばらく何も考えられませんでした。ちょっと落ち着いた頃、いろいろなことが頭を巡って、この移籍には意味しかないなとすぐに思いました。もちろん不安は大きかったんですけど、合格者が1人も出ず、今までの4人でという結果の方が先に何もなかった気がして。人に見てもらえるきっかけを作っていただいたことは、すごく大事なことだなと考えていました。

──月ノさん自身のレンタル移籍に意味を見出した、と。

月ノ:最初に頭に浮かんだのは、(カミヤ)サキさんでした(※PARADISESの前身グループGANG PARADEの創始者。2017年3月に、第2期BiSへのレンタル・トレードを言い渡され、約1年弱BiSで活動した)。サキさんがそうだったように、自分が強くなってPARADISESに帰らないといけないし、WAggも変えないといけない。それが私の見出した意味なんです。

──当時のサキさんは、脳味噌が筋肉と例えられるくらい一直線な性格でした。トレードを経てGANG PARADEを客観的に見られるようになって帰ってきた印象があります。サキさんに自分を重ねることもありますか?

月ノ:自分で思うというより、周りの人から言われることが多いんです。「お前は本当にカミヤに似てるね」って。自分ではそういう気持ちではないんですけど、2年間GANG PARADEでサキさんの背中を見てきたので、そういう部分もあるのかもしれません。

──〈PARADISESの素晴らしき未来〉では、トレーナーとして月ノさんがWAggメンバーたちの魅力を引き出していたと思います。そういう意味で、WAggを指導する的な意味もあるんじゃないですか?

月ノ:私自身の立場がWAggのメンバーに変わったので、教えるという気持ちでいったら私も気持ちが保てないだろうし、意味合いが変わってくる気がしていて。WAggを変えろ、という意味は絶対あると思うので、そこはやっていきたいんですけど、それを思いすぎると自分も履き違えちゃう気がして。あくまでも自分のためにも行くんだぞって、ずっと心に刻んでいる感じはあります。

PARADISESにいる自分のことを好きになれなかった時期があった

──月ノさん自身、GANG PARADE時代、自分の気持ちの持ち方やあり方で悩んでいたときもありました。そういう悩みはPARADISESでの活動が始まってからもあったんでしょうか。

月ノ:変わらない自分自身にすごく悩んでいました。2020年8月1日に開催した〈WACK FUCKiN’ REVENGE PARTY〉が終わった後も、変われていない感覚があって。PARADISESのことは好きなのに、PARADISESにいる自分のことを好きになれなかった時期があった。私がいることがPARADISESにとってマイナスなんじゃないかと考えてしまっていました。

──そうした考え方を転換できたきっかけはなんだったんでしょう。

月ノ:きっかけは何個かあって。ショートカットにしたのもよかったと今になって思います。本当にふとしたきっかけだったんです。有観客でワンマンができることになったとき、何かを変えたかった。髪の毛は1回失うとなかなか取り戻せないので怖いなと思っていたんですけど、なんでもいいからやってみようとバッサリ切りました。ショートカットにしてPARADISESの衣装を着た時、「PARADISESにやっとなれたかも」と思えたんです。初めて有観客でお客さんの姿を見た時も、PARADISESの音楽で楽しんでくれているのを目にして、自然と変わっていけたのかなと思います。

──GANG PARADE時代はメンバーの数が10人で大所帯でした。4人体制での活動というのはいかがでしたか。

月ノ:1人1人の責任の重さが全然違うなと感じました。最初はユユ(テラシマユウカ。PARADISESのメンバー)と私がいろいろ背負いすぎていて。責任感のバランスに悩んだんです。メイちゃん(キラ・メイ。PARADISESのメンバー)とナルハ(ナルハワールド。PARADISESのメンバー)はもっと前に出てほしいみたいな、パワーバランスが難しかった。そこもどんどん上手くいっていて、仙台のワンマンで歯車が合った感覚がありました。

──それは具体的にどういうところで感じられたんでしょう?

月ノ:今いるお客さんだったり、配信で見てくれているお客さんを絶対に幸せにすると本気で思っているのを心の底から信じることができて、ライヴがすごく楽しかったんです。ユユにも、ナルハにも、メイちゃんにも自分には持ってないらしさがあって、みんなをそれぞれ尊敬できた。そういう部分が見えてきた時に上手くいき始めたなと思いました。自分が何をやるべきかを、少しずつ1人1人が掴んでいったのかなと思います。

オーディションが報われるのは、私のレンタル移籍の結果次第

──WAggから新メンバーをオーディションする企画〈PARADISESの素晴らしき未来〉は、どういう気持ちで臨んでいたんでしょう?

月ノ:発表された時はシンプルにわくわくしました。新しいメンバーが入ることは、自分たちもすごいプラスに捉えていたので。WAggのみんなのための企画でもあるし、自分たちのための企画でもあるなって。

──振り返ってみて、月ノさんにとって〈PARADISESの素晴らしき未来〉はどんな経験になりましたか?

月ノ:得るものが本当に多かった。同時に、人にものを教えることは本当に大変なことなんだって痛感しました。私がレンタル移籍をすることを心からよかったと思えるのは、半年後の自分にかかっていると思っていて。このオーディションが報われるのは、私のレンタル移籍の結果次第かなと思います。

──〈PARADISESの素晴らしき未来〉の期間中、どんな気持ちでWAggメンバーとコミュニケーションを取ったり、関わっていたんでしょう。

月ノ:もしかしたらこの先、PARADISESの一員として一緒に活動するかもしれない、ということを大前提で見ていました。この子が入ったらこういうプラスがあるけど、ここは絶対に直さないといけないなという部分が全員にあった。毎年3月に行われるWACK合宿オーデの期間とは違い、良いところと悪いところが両方見える期間だったなと思います。

──月ノさん自身は、どういう教育方針でWAggメンバーと接していたんでしょう?

月ノ:人によって違うんですけど、求められるのは変化だと思っていたので、そこは引き出してあげようという視点で向き合っていました。私がトレーナーをしていたアイナス(ター)ちゃんは、5人の中で唯一加入歴が短くて、そこに対する劣等感がついてしまっていた。でも歴が短い人しか見えない景色とか、できないパフォーマンスがあることを教えてあげたくて。あなたはそれでいいんだよ、伸び伸びやっていいんだよってことを伝えました。それが上手くいったのが、合宿の「お願い」のパフォーマンスだったと思います。

──アイナスターさんは悩んだ結果、目に見える変化を見せていましたよね。

月ノ:あのオーディション期間で1番変わったのがアイナスちゃんとウタだと思っていて。変化という点では、ウタは最初オーディションを続けるかどうかすら危うい状況から合格を勝ち取った。横浜のお披露目ライヴ(TO BE CONTiNUED WACK TOUR@KT Zeep Yokohama)を観に行かせていただいたんですけど、見違えるように変わっていてびっくりしたんですよ。

──ア・アンズピアさんのトレーナーもしていました。アンズピアさんは月ノさんのことをすごく慕っていましたよね。

月ノ:アンちゃんは、私と似ている点を多く感じて、悩みも分かったんです。高いポテンシャルを持っている中、どう変化を見せていこうかなと考えて、アンちゃんにパンストを被せたりもしたんですけど(笑)。まだまだ変われるなと思いますし、変わらないといけないと思います。

──愛さんも大きく変化を見せたんじゃないかと思います。

月ノ:愛ちゃんは変わったというより、あまり外に見せる機会がなかったと思うんです。そういう環境でも腐らず、あれだけ自分のパフォーマンスや気持ちを保って、〈PARADISESの素晴らしき未来〉で日の目を浴びれたんだろうなと感じていて。変わるというより、ずっと蓄えていたんだろうなと思うと、本当にすごい。観ている人たちの度肝を抜けたのがSHOWCASEだったんだろうなと思うし、そのぐらい強い子なんだってすごく実感しました。

──サアヤイトさんも独自の世界観を見せていたオーディション期間でした。

月ノ:サアヤは、良くも悪くもド直球。100%の時は本当に素晴らしいけど、そうじゃない時に落ちてしまうというか。差が激しい子なんだなとオーディション期間で実感して。あなたが100出す力は本当に素晴らしいから、0をどう0じゃなくするかもっと頑張った方がいいんじゃない? って話をしました。サアヤに関しては、ダイヤモンドみたいだなって思います。硬すぎて割れやすいみたいな。本当に輝いている原石なんですけど、割れやすい時もあるよねって。昇格した先はもっともっと厳しい世界も待っているので、割れやすいままじゃダメだから、まだまだ変わる必要があると思っています。

研修生っていうのは、自分がとにかく目立ちにいくもの

──グループとしてのWAggにはどんなことを感じましたか?

月ノ:正直もったいないなと思っていました。個々のポテンシャルはすごくあるけど、集まった時にWAggという枠の中に入り込もうとしすぎて、個々が潰し合っている感じがもったいないなって。そもそもWAggは、みんなが昇格を目指すべきで、まとまる必要ってあまりない。1人1人が自分のことを最大限考えて伸ばしていって、その結果、良いライヴを見せられればいいと思うんです。それこそ研修生っていうのは、自分がとにかく目立ちに行くものだと思うんですよ。そうじゃないと見てもらえないから。そういう熱意があっていいと思うんです。自分を見ろ! ってなりすぎてもダメですけど、それぐらいの気持ちでいないと見てもらえないし、上げたいと思ってもらえないと思います。

──とにかく自分が目立つんだ、私を見てくれ、という研修生の本質を掴んだ上で、月ノさんはWAggの中で、どういう心持ちで活動していきますか?

月ノ:昨日通し練習をしたあとマネージャーさんから、他の4人が私とYUiNAちゃんに食われているように見えるって言われて。実際、自分はそれぐらいの気持ちでいるし、それぐらい見せないと入った意味がないと思っているんです。もちろん、みんなを食うために入ったんじゃなくて、みんなに食われるために入ったようなものなので、そこは正直4人が食うぐらいの気持ちで来てほしい。この人を食わないといけない、と思ってもらえるぐらいの存在で私も居続けなきゃと思います。

WACKの曲を歌えることは嬉しいと同じくらい怖かった

──YUiNA EMPiREさんがWAggに入ることに関しては、どのように受け止めましたか?

月ノ:YUiNAちゃんより私の方がWACKへ後で入ったんですけど、純粋にすごいなと思いました。3つのグループを経て、ここでWAggに加入するというのは、生半可な人じゃ絶対できないことなので。WACKに残ることも、WAggに入ることも、プライドも全部捨てて、覚悟を決めてきていると思うので。自分もWAggにレンタル移籍することになった時、いろいろな劣等感に苛まれたんですよ。そこに自ら飛び込んでいけるのは本当にすごいことだと思います。

──2018年のWACK合宿オーディションの結果発表で、月ノさんが合格を果たした目の前で、YUiNAさんのBiSへの移籍も発表されていました。そうしたYUiNAさんの生き様を見ているから、より想うことはあるのかなと。

月ノ:YUiNAちゃんは、他の4人より背負っているものが絶対に多くて、その分、上がるのも大変だと思うんですよ。そこはYUiNAちゃん自身が頑張って考え続けていくしかないと思うんです。私はYUiNAちゃんがいてよかったと思います。何かを1回失ったことがある人は見えるものが全然違うので。そういう意味で、共感してくれる人が周りに1人でもいたことは救いだと思いますね。

──お披露目ライヴ〈WAggs〉はどんな気持ちで臨んだんでしょう?

月ノ:私はGANG PARADE、PARADISESを経て、今回が3回目のお披露目なんですけど、WAggとしてのお披露目は1回しかないし、ここでかまさないとダメという気持ちがありました。とにかく必死にやったライヴでした。終わった時は正直良かったのか、悪かったのかも分からなくて。お客さんだったり、ニコ生で観てくださった方、渡辺(淳之介/所属事務所WACK代表)さんに「よかったよ」と言ってもらえて、やっと実感が湧きました。クオリティ面でまだまだなところが多かったんですけど、自分もニコ生でライヴを見返した時に、たしかにいいライヴができていたかもと思えて。そういうお披露目ライヴにできてよかったなと思います。

──なにより、WACKの楽曲を歌えるのは、すごく大きなことですよね。

月ノ:WACKのいろいろな曲を歌うことができるのは、すごく嬉しいですね。ただ、最初は嬉しいのと同じくらい怖かったんです。「nerve」やるんだと思ったら重みが全然違うと思って。それこそ「Plastic 2 Mercy」ができるのだって重みが違うし。そういうプレッシャーもありつつも、すごくいい糧になるなと思っています。

──それこそ、初期BiS、2期BiSやGANG PARADE、CARRY LOOSEの楽曲は、WAggでしか歌えないわけですからね。重みがありますよね。

月ノ:そういった曲を歌うにあたって、いろいろな人に曲への気持ちを聞いたんです。第3期BiSの「STUPiD」を歌うにあたって、トギーに「何を1番大事にしている?」って訊いたら、すごい長文が返ってきたんですよ。それだけの想いを訊けてよかったし、それくらいの想いが1曲1曲にある。どうやって胸を張ってステージに立てるかを必死に考えた1週間だったなって思います。

変化させないとダメだなと思っています

──他のWACKグループに比べて、WAggはアピールしていく場が限られています。半年という中で、どんな活動をしていきたいなと思いますか?

月ノ:PARADISESとGANG PARADEをやってきたときは、新曲を作っていただいたり、イベントをやらせていただいたりしたけど、WAggはライヴがほぼ活動のすべてで。ライヴでどれだけのものを見せていけるか。本当に1つ1つにかけるものも違ってくる気持ちではあります。

──PARADISESに対しては、どんな気持ちで半年間、関わっていきますか。

月ノ:横浜での4人体制初ライヴを観に行かせていただいた時、PARADISESの良いところがほんとにめちゃくちゃ見えて。逆にもっと良くできると思うところもたくさん見えたんです。客観的に見える立場にならないと分からなかったことなので、見えたものは伝えていきたいし、見守りつつ、戻った時にどう良くしていけるか半年間考えながら、PARADISESを見ていきたいなと思っています。

──同時に、WAggのメンバーたちが月ノさんの姿を見て感化されて、変化していくといいですよね。

月ノ:変化させないとダメだなと思っています。PARADISESも私が戻った時に、果たして5人なのかもわからないし、もしかしたら増えているかもしれない。どういう状況であれ、横浜でのライヴを観て安心しました。もちろん、まだまだやらなきゃいけないことはあるんですけど、改めて私はこっちで頑張ろうって覚悟がつきました。WAggで強くなって戻ろうって覚悟はできました。半年で戻れるように、最大限結果を残すための努力をしようと思います。


■ライヴ情報

〈WAggs〉
2021年2月11日(木・祝)@神奈川県yokohama 7th AVENUE
[1部]OPEN 13:00 / START 13:30
[2部]OPEN 15:30 / START 16:00
[3部]OPEN 18:00 / START 18:30

2021年2月21日(日) @宮城県SENDAI CLUB JUNK BOX
[1部]OPEN 12:30 / START 13:00
[2部]OPEN 15:00 / START 15:30
[3部]OPEN 17:30 / START 18:00

Official HP:https://www.wagg.tokyo/

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