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産業カウンセラーの手島将彦による新連載『こころの本〜生きづらさの正体を探る、産業カウンセラー手島将彦のオススメ本』。

『なぜアーティストは生きづらいのか? 個性的すぎる才能の活かし方』(2016年/リットーミュージック)、『なぜアーティストは壊れやすいのか? 音楽業界から学ぶカウンセリング入門』(2019年/SW)の著者であり、音楽業界を中心にメンタルヘルスの重要性を発信し続けた手島がオススメする本を不定期連載で紹介していきます。

Vol.2 「発達障害」に関する基礎知識を得るための2冊

生きづらさの正体を探るために、メンタルヘルスや心理学を知るためのオススメ本を紹介するこの連載2回目は、自著が混ざって恐縮なのですが「発達障害」に関する本です。

発達障害という言葉は最近かなり知られるようになってきたと思いますが、きちんと基礎的な考え方と理解が広がっているのかというと、まだまだという印象です。今後この連載でも発達障害に関係する本を紹介することがあると思いますので、そうした本を読む前に基礎知識を得ておくためにも、紹介しておこうと思います。

そもそも僕がメンタルヘルスに関して情報発信をするようになったきっかけのひとつが、発達障害、具体的には自閉スペクトラム症(ASD)や ADHD(注意欠如・多動症)、SLD(限局性学習症)の存在について知ったことでした。特にASDの「コミュニケーション・社会性・対人関係に苦手なところがある」「こだわりが強い」、ADHDの「落ち着きがない・不注意」「衝動的」などの特徴が、これまでに出会ってきたアーティスト達の生きづらさと一致することが結構あるのではないかと思ったのです。

そして、2013年頃からトークイベントなどを通じて、音楽に関係する人たちにも発達障害について知ってもらえるよう発信しはじめます。そして、2016年には、本田秀夫先生との対談形式での『なぜアーティストは生きづらいのか?〜個性的すぎる才能の活かし方』(リットーミュージック)という本を出させてもらえることになりました。

この本は思いの外大きな反響をいただきました。「普段本を読まない自分でもすらすら読めて、色々腑に落ちることが多かったです!」というバンドマンからの感想もありました。そのくらい読みやすくなっていると思いますし、アーティストや音楽業界でのエピソードも盛り込んであるので、良い意味で面白くも読めるのではないかと思います。

そしてもっと詳しく知ってみたいと思ったら、『発達障害〜生きづらさを抱える少数派の『種族』たち』(SB新書)をオススメします。本田先生の言葉はとてもわかりやすいので、安心して入っていけるはずです。

発達障害について知ることは、その当事者の生きづらさを解消するために有益であることはもちろんですが、それを通じて、全ての人にとってより良い社会のあり方と生き方を考えることにも繋がります。特に人のあり様を「スペクトラム(連続している)」と捉える考え方は、人を単純に二分するような見方から離れて、多くの人の生きづらさを解消していくヒントにもなると思います。

「こころの本〜生きづらさの正体を探る」のバックナンバーも合わせてチェック!!

Vol.1 『才能のあるヤツはなぜ27歳で死んでしまうのか?』

手島将彦(てしま・まさひこ)
ミュージシャンとしてデビュー後、音楽系専門学校で新人開発を担当。2000年代には年間100本以上のライヴを観て、自らマンスリー・ライヴ・ベントを主催し、数々のアーティストを育成・輩出する。また、2016年には『なぜアーティストは生きづらいのか~個性的すぎる才能の活かし方』(リットーミュージック)を精神科医の本田秀夫氏と共著で出版。アマゾンの音楽一般分野で1位を獲得するなど、大きな反響を得る。保育士資格保持者であり産業カウンセラーでもある。
https://teshimamasahiko.com

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