【連載】ロビンの青い卵より vol.5「梨と新米とわたし」

旬のものを、シンプルにいただく。
こんなにも美味しくて、贅沢なものはないな～と感じる今日この頃。

9月～10月にかけて、私が一番たくさん食べたものは梨。

真っ赤なイチゴみたいに、色も味も強く主張はしてこないけど、噛んだ瞬間に「シャリッと」「じゅわっと」優しい甘さが感じられて、大好きなフルーツです。

ありがたいことにたくさんの梨を義父から送ってもらい、毎朝食べ続けること一週間。
少しアレンジを加えたくなってきた。
「明日はジャムにしたり、サラダにしたりしようかな～」「でもやっぱり美味しいものはそのままが一番かな～」と、頭の中でぼんやりと考えながら眠りにつく。

次の日、朝起きて窓を開けるときれいな青空が広がっていたので、「よし、今日は外で食べよう！」と、思い立ったら即行動。

食べやすい一口サイズに切ったら、タッパーに入れてリュックに忍ばせる。ついでにお気に入りの水筒も。ついでについでに、おやつのお饅頭も忍ばせて（忍ばせ好き）。

いつもなら音楽やラジオを聞きたいし、休みの日でも仕事のメールがくるかもしれないから、とスマホを持ち歩くけど、この日はせっかくだからスマホはお家に置いてデジタルデトックス。

スニーカーに履き替え、リュックの紐を両手でぎゅっと握りしめたら、いざ出発！

「この梨をどこで食べたら美味しく食べられるか」をテーマに、目的地は決めず、いつもは歩かない道をズンズンと進んでいく。

大通りから外れた細道を歩いていると「あ、こんなお店あったんだ」と、発見の連続で、この寄り道がまた楽しい。

調べたらなんでも出てくる便利な世の中だけど、その便利さを手放したらなんだか違う考えが生まれてくるし、人間らしくいられる気がする……と、何億年ぶりにスマホを持たないで歩いただけで、悟りを開きそうなレベルである。

街の音をゆったりと聞きながら、時間を忘れて歩き続けること、約一時間。そろそろ座りたいな～と思ったら、公園に日差しが降り注ぐ、いい感じのベンチを発見！

今日はここで食べようと腰をかけ、リュックを横に置き、わくわくしながら、タッパーのフタを開ける。

そして、ひとくち。

「……ん～～～!!!!」

「お、おいしすぎる……」

と、心の声をぐっと押さえながら、フォークを持つ手が止まらない（ちなみにしっかりフォークも忍ばせていた＋保冷剤の近くに置いていたのでこれがキンキンに冷えていて気持ちいい）。

いつもだったらテレビを見ながら、ラジオを聞きながらって、何かしながら食べていたけど、今は目の前の梨に全集中。

スマホは置いてきたので、青空とキラキラした梨の写真は撮れなかったけど、ぽかぽかの暖かい日差しの中、ほんのりと冷たい秋風を感じながら食べたあの味が忘れられない。

そしてもうひとつの秋の味覚。新米。

どんなに悲しいことがあっても、美味しいお米を食べたら元気になる（単純）。
米は一年中食べていますが、とくに新米の美味しさは格別。
秋に収穫され、収穫から時間が経っていないことから、水分量が多く、やわらかくて粘りがあり、香りも良い。

今までもお米の洗い方を研究してみたり、土鍋で炊いてみたり、自分なりに工夫していましたが、今年はいつもよりさらに美味しく感じるんです。

その理由が、おひつ。
O！　HI！　TSU！

そう、和食屋さんでたまにおひつから自分でしゃもじでよそう、という経験をしてから「いつかは持ちたい！」と思ってた暮らしの道具のひとつ。

うれしいことにこちらもプレゼントしていただき、我が家で大活躍。

炊き立てご飯を移し替えていただいてるんですが、時間が経つにつれて味の変化がしっかり感じられて面白い。

粗熱が取れて味が締まるとともに、湯気を吸って中の湿度が一定に保たれるので冷えてもべとつかず、ふっくらしたごはんが食べられます。

使ったあとは、食器用洗剤が使えないので水洗いし、くっついたごはんはたわしで洗い落とす。水洗い後は風通しの良い場所で陰干し。
……と、少し手間もかかるけど、その分しっかりと美味しい。

そして、使うたびに愛情が湧きます。

アイドル時代に歌っていた、つんくさん作詞作曲、THEポッシボー「主食＝GOHANの歌」。

歌詞を見ると、改めていい曲だな～と。

“全部 愛情こめて育てたもの
かみ締めれば 幸せが溢れ出してく”

今なら更に気持ちを込めて歌えそうな気がします！