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StoryWriter

「明日一緒にお茶でもしない?」

的なテンションで

「今度家族で富士山登るけど、一緒に登らない?」

と、姉に誘われた。

あまりにラフな誘い方にびっくりしながらも

「あら、なんだか楽しそう」

と、登ることを決意。

はてさて、初めての富士登山。何を持っていけばいいのやら。経験済みの姉に聞くことに。

リュックや靴はもちろん、富士山は寒暖差が激しいので防寒グッズと、天気もコロコロと変わるため雨具は絶対必要とのこと。

「あとは気分を上げる食料、大量のお菓子かな(笑)」

と、かわいいアドバイスをもらう。

おやつ300円という決まりもないし、好きなものを好きなだけ持って行っていい。しかし、楽しみを詰めれば詰めるほど荷物は重くなるので、ほどほどに。

途中、山小屋もあるとネットの情報で見たが、万が一やってなかったら大変。テンションを上げる為に、梅おにぎり、チョコレートの菓子パン、ゴマのお煎餅、塩飴、他にも大好きなものをたくさん詰めこんだ。

そして、今回一番のビッグイベント。

山の頂上で何を食べるか?

そんなことを考え出したら、楽しみすぎてドキドキしてきた(食べることしか考えていない)。

夏とはいえ山の頂上は寒いだろう。何か温かくて、簡単に食べられて、軽くて、美味しいもの。

「そうだ! カップラーメンを食べよう!」

普段はあまり食べないが、なんだか無性に食べたくなり、どうか頂上まで冷めないでくれと願いながら水筒に熱々のお湯を入れ、富士山に向かう途中のコンビニでカップラーメンを買って、リュックに忍ばせた。

夜中に出発して、少し仮眠。時刻は明け方4時。いざ、登ることに。

初めはゆるやかな道から始まり、天気も良く、きれいな御来光も見れて、最高の始まり。

姉の子供たちもいたので、一歩ずつ、ゆっくりと、確実に。

ガソリン切れしないように、これでもかというくらいたくさん休憩したり、おやつを食べたり、お話ししながら登り続けた。

そして、山小屋を発見。

青い空に、美しい緑に、美味しそうなメニューがずらり(なんてかわいい看板なの)。

カレーライスもいいなぁ。おいしいうどんって響きもそそられるなぁ。あ、カップラーメンも売ってる!

ん? 熱々のお湯で作ってくれるんだから、ここで食べたほうがいいんじゃないか?と一瞬誘惑に負けそうになったが、

「いやいや私は頂上で食べるんだ」

と謎の熱い決意を持ちながら、無心で登り続けた。

しかし、想像以上に大きい山に笑いが止まらなかったり、泣きそうになったり。

途中本気でくじけそうになるが「降りる?」と聞いても「登る!」と力強く言う子供達の頑張る姿に感動しながら、やっと、やっと、頂上に辿り着いた。

そこで私は気がついてしまった。

途中エネルギー切れしないようにと、ちょいちょいおやつを食べ過ぎて、全くお腹が空いていないことに。

頂上を楽しんだのも束の間。予定の時間をかなりオーバーしてしまったので、急いで降りることに。

帰り道も想像の何倍もかかったけど、きれいな星空も見れて、一生忘れられない経験に(なんと、滞在時間17時間!)。

家に帰ってお風呂に入り、その日は爆睡。

翌朝、リュックの中身を整理してると、頂上で食べる予定だったカップラーメンがひょっこりと顔を出してきたので、山の余韻に浸りながらお家で美味しく頂いた。

今度登る時は、必ず頂上で食べると心に誓って(いつになることやら)。

岡田ロビン翔子(おかだ・ろびん・しょうこ)

1993年生まれ。2006年から2018年8月2日の解散まで、チャオ ベッラ チンクエッティ(THEポッシボーから改名)のリーダーとして活動。 頭の回転の良さからくるトーク力には定評があった。解散後はラジオDJを中心に、MC、モデル、自身のアコースティックライブ「ロン喫茶」など、マルチに活動中。 様々なジャンルに興味を持ち、多方面にアンテナを張りめぐらせ、スキルアップのために努力を欠かさない向上心の持ち主。

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