【連載】WAgg Vol.31 愛「自分のテーマは、突き抜けること」

BiSHやBiS、豆柴の大群が所属する音楽プロダクション・WACKの次世代アイドル育成グループ、WAgg。現在は、ア・アンズピア（持病の腰痛の悪化のためライヴ活動休止中）、愛、サアヤイト、アイナスター、YUiNA EMPiRE、ベル・ナルドが、WACKのグループへの昇格を目指し、ライヴを中心に活動を行なっている。

2022年3月20日（日）から1週間に渡り開催される事務所主催の〈WACK合宿オーディション2022〉の1日目から、WAggからア・アンズピアを除く5人のメンバーが参加することを表明。これまで数々の合格者やWAggからの昇格者も出している合宿を目前に、5人はどんな気持ちで合宿に臨むのか？ WAgg始動時からのメンバーであり、ふわふわした雰囲気ながらも2020年の〈PARADISESの素晴らしき未来〉以降、大きな変化を見せている愛に話を訊いた。

取材＆文：西澤裕郎
写真：まくらあさみ

とにかく最近は冷静さを大事にしています

──WACK合宿オーディション2022年、参加するかどうか迷いはなかったですか？

はい、迷うことなく絶対に参加したいと思っていました。

──愛さんは2021年の合宿が初めての参加になりました。2020年11月には〈PARADISESの素晴らしき未来〉でも1泊2日の合宿に参加しましたが、振り返ってみてどうでしたか？

視野がどんどん狭くなってしまい、やるべきことがいっぱいあるのに頭の中がいっぱいになって。気づいたら視野が狭くなっていることの繰り返しだったんです。それまでやってきたことも発揮できないし、もったいない時間を過ごしちゃうことが多くて。冷静に考えてやっていかないといけないんだなと、身をもって学んだ合宿になりました。

──スタッフもカメラの数も多いですし、候補生や先輩もいたり、脱落するかもしれない緊張感が6泊7日続くわけで、やっぱり精神状態も普通ではいられないですよね。

思い詰めすぎてしまっていたり、緊張して脳みそがめっちゃ小さくなってしまって。自分は冷静だと思っていたんですけど、あのときはずっと心がせかせかしちゃっていて。みんな緊張感あって、空気も全然違うし、すごい場所だなって実感しました。

──今年2月に行われたWACKのメンズオーディションは全然雰囲気が違っていたんですけど、観ていましたか？

はい。渡辺（淳之介／WACK代表）さんと候補者の面談を見ていたとき、素直に自分の気持ちを自分の言葉で話しているなって感じて。みなさん素直で、渡辺さんが話したことをすぐパフォーマンスに活かしたり、行動に移して出せるのはすごいなと思いました。

──アイドルになりたい理由がモテたいとか、すごくシンプルだったりしましたもんね。

あれが言えることがすごい。自分だったらちょっと作っちゃいそうな部分もあると思うんですけど、そうじゃなかったのがすごいなと思いました。

──グループの中で話し合って脱落者を1人決めるという課題もありました。じゃんけんみたいに勝敗のつく決め方はダメで、話し合わなきゃいけない、究極の選択というか。

自分がもしあの立場だったらどうしようという気持ちで見ていたんですけど、ああいうときこそ本当に冷静になって話すことが大事だなと思って。話せなかったらみんな脱落になっちゃったじゃないですか。自分の意思を持って、どうするのが1番いいか、瞬時に冷静になって考えて言葉を発すること、冷静さが1番大事だと思いながら見ていました。

──そうした話し合いは普段のグループ活動にも直結してくると思うんですけど、WAggのメンバー間で話し合いはしっかりできていますか？

最近はライヴ直後に話し合いをして、次のライヴに向けてやっているんですけど、自分のグループのことなので客観視が難しくて、話がまとまりにくくなっちゃうときもあるんです。グループを客観視する目線と、やっている自分の目線。その2つの目線が大事だなと思って。とにかく最近は冷静さを大事にしています。

──メンバー同士、ぶつかり合うこともある？

ぶつかり合いって感じではないかもしれないんですけど、今までは自分1人だけ意見が違って納得がいかなくても賛成しちゃっていたというか、納得しているフリをしちゃっていたんです。でもそれじゃあ意味のない話し合いになってしまうと思って。自分はこう思っているというのを伝えるようにしています。違う意見を持っていたら、それをちゃんと伝えるようにはしています。

──それは大きな進化ですよね。

でも、震えます（笑）。自分の意見を言うときは怖くて震えるんです。

──それは、誰かが嫌な気持ちになったら怖いなっていう不安？

それもありますし、「そうかな、そう思わないけど」って言われちゃうのも怖いなって。だけど、言えなかったら、どんどんメンバー間の感覚がズレていっちゃうし、せっかく時間をいっぱい作っているので、話さなきゃという意識で話しています。

自分のやるべきこともやりつつ、全員引き上げていきたい

──WAggは、グループ自体をよくしていくことを目指しつつ、個人個人昇格を目指しているわけじゃないですか。普段どういう心持ちで活動しているんでしょう。

昇格するためというのは1番にあって。ただ、グループをよくできる存在に全員がならないと昇格できないのかなという考えで行動しています。

──WAggにいられる期間は2年と定められており、その期間内で昇格しないと脱退と宣言されています。期限まで残り約半年間ですが、焦りはありますか？

めちゃくちゃ焦っています。もともと足りないものとか、できていないことが多すぎたんですけど、2年って決まってからより焦ってしまって空回りする期間も結構あって。今回の合宿が一番目に見える最後のチャンスなので、ここでダメだったらどうしようって考えちゃうときもあって。やるしかない。それは普段からなんですけど、今は合宿に向けて自分の全部が出せるように準備をしています。焦っているけどコツコツやっています。

──愛さんはどうしてそこまでアイドル活動をしたいと思っているんでしょう。

ステージに立って、歌って踊って、観てくださる方がいる。今やっていることが大好きなんです。なんでやっているんだろう、どうしたらいいんだろうって考えちゃうときもあったんですけど、ライヴ楽しい、大好き！って気持ちと、その姿を楽しんでいただけるようないいライヴがしたい。そのために、落ち込んでいても、絶対に練習はすると決めてやっていて。ライヴが楽しくて好きっていう気持ちが本当に強いし、好きなことはずっと続けたい気持ちがめっちゃ強いです。

──〈PARADISESの素晴らしき未来〉で、1番変化が見えたのが愛さんでした。明るくなったし、ちゃんと自分のことを話すようになったし、コミュニケーションもたくさん取るようになった。そこからさらに変わりたいものって自分の中でありますか？

今はグループを持ち上げたい。

──自分のことではなく？

自分のやらなきゃいけないこともいっぱいあるんですけど、WAgg自体も上がっていける存在になりたい。自分で収まりたくないというか。もちろん、歌、ダンスが上手にかっこよくできるのは当たり前で、底上げをできる存在になりたいと思って、いろいろ挑戦しています。

──合宿では候補生の子たちを持ち上げていくことも重要なことですよね。

同じチームになった候補生のいいところをバンバン引き出して、めっちゃキラキラ輝けるようにやっていきたいと思っていて。同じチームになったからには、みんな合格を目指して、自分のやるべきこともやりつつ、全員引き上げていきたいです。

──去年の合宿で、愛さんは候補生のいいところを引き伸ばしてあげる考え方なのかなと思ったんですけど、候補生と関わるときにどういうところを大切にしていましたか？

それぞれに、できる・できない、得意・不得意があると思うんですけど、短い時間の中でパフォーマンスのときに1番楽しめるのがいいなと思って。いい部分を観察して、この子はこういうことが得意かなって考えつつやっていました。

──逆に全員の意見をどうまとめたらいいか、ちょっと戸惑っている部分もあったのかなとも思いました。

ありました（笑）。今回は、みんなの意見をちゃんと聞いて話すことを冷静にやりたいです。そこは普段からやってないとできないなと思うので、今試行錯誤しながらやっています。

ギャップを知ってもらいたい

──愛さん自身、こういう部分を見てほしいなとか、こういうことが好きとか、特技とか、アピールポイントがあれば訊かせてもらえますか。

しゃべり方とかふわふわしているけど、おもしろいことも好きなんです。パフォーマンスになったら空気が変わる、そういうギャップを知ってもらいたいです。もっと知ってもらいたいんですけど、ダンスもやらなきゃいけない、歌もやらなきゃいけない、歌が上手くなるために音楽もいろいろ経験しなきゃいけない、おもしろいこともできるようになりたいとか、いろいろ考えていたら、何がなんだか分からなくなっていました。

──WAgg加入当時は、ダンスが好きって話をしていましたよね。

ダンスはもっと上手くなりたいと思っていて。見せ方もさらに詰めて研究しています。ライヴだとダンスって伝わりにくい部分が多いので、アイナ・ジ・エンドさんの動きを見てライヴで綺麗に見せる方法や、踊れるだけじゃない研究をし始めました。

──合宿では毎年コントなど、お笑い部門もありますが、愛さんはどういうものをおもしろいと思うんでしょう？

シュールなものが好きです。場が凍りつくようなシュールなものというか（笑）。でも渡辺さんがそれをおもしろいと思うか分からないでの、いろいろ研究していきます。あ、ドリフみたいなおもしろさも大好きです。

──MiDORiKO EMPiREさん的なシュールでエッジの効いた笑いとか好きそうなのかなと思いました。

大好きです！ MiDORiKOさんの動画も大好きで、上がったらうれしくなります。

──愛さんは、好きなものとか、やりたいことがたくさんあるんですね。

興味がいっぱいあるんです。なんでもできたら、なんにでも使えるから、歌ももっと歌えるようになりたいし、ダンスももっと踊れるようになりたい。そう思って、時間があるうちに、いろいろやっているんです。