三度目の正直、なるか。
はじめての参加は2017年の「WACK合宿オーディション」。候補生として参加し、合宿4日目に脱落した。2度目の参加は2019年の「WACK合宿オーディション」。2期BiSのメンバーとして参加したが、合宿内でグループ解散への道を辿ることになった。
そして今回が「WACK合宿オーディション」3度目の参加となる。しかもWACKの研修生グループWAggのメンバーとして。EMPiRE、BiS、CARRY LOOSE、そしてWAggと、WACK内で4グループに所属したメンバーは他に誰もいない。
彼女の名前は、YUiNA EMPiRE。合宿1週間前に行ったWAggの全員インタビューの中で、合宿への意気込みをこう語っている。
「今回私がWAggとして合宿に参加する意味は、みんなとは少し違うと思っていて。私の場合、今まで変に隠そうとしたり、未だに殻を破りきれてない。だから、今までの中途半端な自分と戦う期間と思っているんです。それは日頃からそうではあるんですけど、より逃げられないし逃げちゃいけない1週間。1つ1つに対して一生懸命にまっすぐに向き合っていきたい。私は1回心が折れちゃうと持ち直すのにも時間がかかってしまうので、前向きに最後まで過ごせたらと思っています」
WAggのメンバーたちは合宿2日目の12時に候補生たちと合流。YUiNAは、コーラ、リコチ・F、アクム・ミタカナ?、PAST EMPiREのチームに合流し、「チームおまんまん」として、19時からのパフォーマンス審査に向けて練習をすることとなった。
課題曲は、PARADISESの「PLEASE LISTEN TO MY」。振り付けはそれぞれチームで考えパフォーマンスする。YUiNAのチームは昼食で全員がデスソース入りの食事を引き当てたため、他のグループより時間をかけて全員が完食を果たした。その直後、体育館の床に座り、5人で輪になって、どんな振り付けにしたいかYUiNAが1人1人にヒアリングしていった。できるだけメンバーの意見を取り入れて振り付けをつけようというYUiNAの方針だ。
途中、WACK代表の渡辺淳之介との面談が設けられていたため、YUiNAが面談部屋へ足を運んだ。そこで渡辺に言われた言葉はYUiNAにとって辛辣なものだった。他のメンバーに意見を求めて取り入れようとしている彼女の姿勢は、逆にいうと相手を無視していることでもあるのではないか、運命共同体として思っていないんじゃないか、隣が見えていないんじゃないか。
YUiNAはこれまでのグループでも、メンバー同士の距離感をつかむのがとてもうまいメンバーだった。WAggでも他メンバーたちとキャリアの差があるにもかかわらず、加入後すぐにメンバーと打ち解けた。しかし、それは相手と本当に向かい合っていないのではないか? そんな問いを突きつけられた。
渡辺との面談のあと、YUiNAに話を訊くと「前回も合宿でこういう経験をさせてもらった時、不安を持ったままみんなにパフォーマンスさせてしまった失敗があって。自分の中ですごく後悔しているので、それはもう絶対ないようにしたい」。そんな思いから、候補生たちのやりたいことを咀嚼したうえで、本人たちに思い切りパフォーマンスしてほしいと彼女なりに考えた方法だった。
一方で、PARADISESからWAggへ半年間のレンタル移籍中の月ノウサギもまた、今回の合宿に参加。到着直後、大きな試練を課された。昼のパフォーマンス審査で最下位になった「チームおちんちん」の全員救済のために、同チームが1位を獲ることをミッションとされたのだ。これは候補生のためであり、月ノ自身が覚醒するための試練でもある。
サケブサケ、コユキデーモン、モノノケヒメ・コッゾウ、オキタユアの4人とともに振り付けを考えていた月ノは方向性について、面談後このように語った。
「PARADISESは自分の持ち曲ということもあって、わりと偏った振り付けしか思い浮かばない。だから、ダンスの得意なオキタユアちゃんに少しずつ任せてみています。とにかく楽しんでほしい気持ちが強い。1番は楽しいと思えるパフォーマンスができる振り付けと考えをちゃんと伝えていきたい。渡辺さんだったり、ニコ生で観てくださってるみなさんに伝わるパフォーマンスにしたいのが1番ですね。お昼のパフォーマンスを見ていて楽しそうじゃないなと思っちゃったので。まだちょっと払拭しきれてない感じはあるけど、さっきの「Have it my way」とはだいぶ曲の雰囲気も違うので、新しい部分を見せられたらいいなと思っています。自分もまだ、正直あの子たちがどういう子なのかも掴みきれてないので、どんなのがハマるのか。必死にやらせるのは当たり前なんですけど、必死にやらせるだけじゃダメなので。あと4時間、精一杯頑張ります!」
数奇な経緯を経て研修生グループに在籍することになった2人が、この合宿でどのような結果を残すのか。19時になり、運命のパフォーマンス審査が行われた。
5つのグループが、それぞれ考えた振り付けで「PLEASE LISTEN TO MY」を披露し、渡辺がチームごとの順位を発表し、講評を行った。
1位……チームしこしこ
2位……チームあなあな
3位……チームおちんちん
4位……チームうんち
5位……チームおまんまん
YUiNAが率いた「チームおまんまん」は最下位、月ノが率いた「チームおちんちん」は3位。どちらも結果を残すことができなかった。
重くなった空気の中、渡辺はYUiNAに対して「パフォーマンスし終えてどうだったか?」と問いかけを投げた。それに対してYUiNAは、「不安なままパフォーマンスしてしまった……。ちゃんとまとめられなかった。パフォーマンスさせてしまった私の責任です」と小さな声で答えた。
渡辺は「お客さんがいるようにやってほしいと伝えていたことに対して最初の立ち位置に立ったときから不安があった。それじゃあ楽しめないし、ワクワクしないし、準備ができないままやってきたのは、チームでやれっていったから関係ない。他の候補生4人にいうなら、どこからでも変えられるチャンスはあったはずなのに変わらなかった。ここで落ちてしまったら終わるんだよ。そこを考えてほしい」と伝えた。
また、月ノの「チームおちんちん」に対して、「必死さが先に出てしまっている。僕は必死さを求めているわけではなく、どうやって伝えるかに必死になってほしい。脱落がかかっていたけど、感情を一度無視してやってほしかった。月ノは面談でも話した通り、もう少し考えられたのかなと思う。いろんなところで楽しくさせようとしたと思うけど、それ以外で見せられなかった。そうしないとお客さんが増えないし考えてほしい」と言葉を伝えた。
「全体的な雰囲気として、落ちたくない気持ちが先行しすぎている。もちろん落ちないようにしないのはわかるけど、なにより自分たちが前に進んでいるのを見てもらうことが大事。マイナスな感情の中で歌っていても伝わらない。不安でもいい。パフォーマンスの練習の時間が短いのはわかっているし、間に合う合わないで見ていない。どういう気持ちで立ち向かうのか、やっていくのかが大事で、俺はうまかったねって部分で褒めていることない。そんなとこ見ていない。後から練習すればいい。救済措置があるんだから、そっちに気持ちを向けてほしい。正直いまのところ俺がどうしても取りたいという子が一人もいない。2日目終わりました。落ちたくないじゃない。もっと楽しんでもらわないといけない。前向きな気持ちを伝えてほしいです」
その後、夕食を挟み、候補生とWAggメンバーがそれぞれ2分半、ニコ生のカメラの前で自己アピールを行った。
そのまま、ニコ生での視聴者投票と総合ポイントの発表が行われた。
視聴者投票結果
1位 ハルナスペース(1002票)
2位 イギー(679票)
3位 もしもしチャン(639票)
4位 コーラ(355票)
5位 コトチャン(326票)
6位 PAST EMPiRE(245票)
7位 オキタユア(201票)
8位 ワキ・ガ・ドクソン(196票)
9位 テラタイリク・ユウカ(179票)
10位 メインディッシュ・アカネ(147票)
11位 バアユ(132票)
12位 コユキデーモン(121票)
13位 リコチ・F(107票)
14位 アクム・ミタカナ?(97票)
15位 カトー・ムセンシティ部(68票)
16位 モノノケヒメ・コッゾウ(42票)
17位 サケブサケ(39票)
18位 ウンコグミカンパニー(25票)
19位 キミドリコ(24票)
20位 アユミ・H(11票)
総合ポイント結果
1位 イギー(60P)
2位 もしもしチャン(56P)
3位 ハルナスペース(53P)
4位 テラタイリク・ユウカ(44P)
5位 PAST EMPiRE(42P)
6位 コーラ(41P)
7位 ワキ・ガ・ドクソン(37P)
8位 メインディッシュ・アカネ(35P)
9位 コトチャン(34P)
10位 オキタユア(33P)
11位 バアユ(30P)
11位 リコチ・F(30P)
13位 アクム・ミタカナ?(28P)
14位 キミドリコ(19P)
15位 サケブサケ(16P)
15位 カトー・ムセンシティ部(16P)
17位 コユキデーモン(15P)
18位 ウンコグミカンパニー(15P)
19位 アユミ・H(9P)
20位 モノノケヒメ・コッゾウ(6P)
そして、合宿2日目の脱落者が発表された。
合宿3日目の朝6時15分より、BiSの「thousand crickets」の曲中、最も多くスクワットをできたメンバー2人が復活、3日目の合宿に参加することができることも合わせて発表された。
脱落者
・オキタユア
・サケブサケ
・コユキデーモン
・モノノケヒメ・コッゾウ
・アユミ・H
・アクム・ミタカナ?
また、改めてチーム分けが行われた。課題曲は第3期BiSはじまりの歌「STUPiD」。渡辺は「これは「楽しんでいこう」という曲。今の気持ちをお客さんとスタッフにどう伝えるか考えてほしい。振り付けは変えても、そのままでも大丈夫」と課題曲についてWAggと候補生に伝えた。
課題曲……BiS「STUPiD」
チーム
◎アイナスター(WAgg) / ワキ・ガ・ドクソン / テラタイリク・ユウカ / +救済者
◎月ノウサギ(WAgg) / メインディッシュ・アカネ / PAST EMPiRE / コーラ
◎YUiNA EMPiRE(WAgg) / イギー / バアユ / もしもしチャン
◎ア・アンズピア(WAgg) / コトチャン / キミドリコ / カトー・ムセンシティ部
◎愛(WAgg) / ハルナスペース / ウンコグミカンパニー / リコチ・F
ついに初の脱落者が生まれた「WACK合宿オーディション2021」2日目。翌日3日目には朝6時15分より救済措置が行われる。6名で行うスクワット対決。果たして誰が復活するのか。そしてYUiNA EMPiRE、月ノウサギは、2日目での結果を経て、どのような動きを見せるのか。
さらに3日目にはWACK現役メンバーたちも合宿に参加する。動き出した2021年の「WACK合宿オーディション」。さらなる動きを見せる1日となりそうだ。
取材&文:西澤裕郎
写真:外林健太
■ ニコニコ生放送「【前半】全て見せます!WACKオーディション合宿2021完全密着 6泊7日の死闘」
配信日時:2021年3月21日(日)~
配信URL:https://live2.nicovideo.jp/watch/lv330779980
■ ニコニコ生放送「【前半】全て見せます!WACKオーディション合宿2021完全密着 6泊7日の死闘」
配信日時:2021年3月27日(土)~
配信URL:https://live2.nicovideo.jp/watch/lv330779981