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【INTERVIEW】アセロラ4000「嬢と私」コロナ時代編〜「Save Our キャバクラ」を合言葉に、いつか同伴できる、その日まで

StoryWriter

新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界は大きく変わってしまった。一刻も早い終息を願うばかりだが、間違いなく、コロナ以前の世界と以後の世界に分断されていくことだろう。

変わらないものと変わるもの。それはキャバクラの世界においても例外ではない。客と嬢の密なコミュニケーションを基本としていた商売だっただけに、今最も影響を受けている業種の1つといっても過言ではない。お店に行ったことのない人からは偏見の目で観られることも多く、嬢自らからも困窮を主張しずらい性質を持っているが、キャバクラによって助けられている嬢も客も現実問題多くいるのだ。

そんなキャバクラによって生かされている客の1人であるアセロラ4000。「キャバクラ界の高村光太郎になりたい」とSNSでつぶやき、キャバクラでの嬢との徒然なる日々をStoryWriterで連載していたら、カンパニー松尾氏から「アセロラ4000は現代の宮沢賢治だ!(たぶん違う)」とお墨付きをもらい、おとといフライデーからは「歩くキャバクラ辞典」と命名されるなど、徐々に評価を受けつつある。

StoryWriterとしても「2020年はアセロラ4000の年」にすべく、全国書店とキャバクラへの営業行脚をしようとしていたが、お店の営業もままならない状態になってしまった。ある意味“詰んだ”ともいえる状況ではあるが、我々は生きていかなければならない。そのためには待っていても何も始まらない。そう思い、4月後半の昼下がり、アセロラ4000に電話をして話を訊いてみた。

取材&文 : 西澤メロディ裕郎


夢の中の嬢と私はすごく楽しそうで……

──お久しぶりです。新型コロナウイルスによる自粛要請に伴い、キャバクラはおろか、飲食店の営業もままならない状況が続いています。アセさんは、いかがお過ごしでしょう?

アセロラ4000 : お久しぶりです。まず、メロディさんからこうして再びお電話をいただけるとは思っていませんでしたので、驚いています。というのも、今年の年頭に「2020年はアセロラ4000の年」ということで、メロディさんがCEOを務める株式会社SWさんが社運を賭けたプロジェクトを華々しくスタートさせていたわけじゃないですか? それが今、こんな状況に陥ってしまって……。きっと、メロディさんは私のことを恨んでいるだろうな、顔を合わせられないよなって。メロディさんやSWのクルーのみなさんは、アセのせいじゃないと言ってくださるかもしれませんけど、「人生は舞台、あなたが主役」が私の座右の銘ですから。そう考えると、ぜんぶアセのせいだ。と思われてもしょうがないのかなって。とにかく、つらかったですよね。

──そこまで思い詰めさせてしまって申し訳ありません。

アセロラ4000 : キャバクラに関しても、今年は経済状況を立て直してコンスタントに通える店、心を通わせる嬢とのデート(同伴)を年間通して続けて行こうと思っていたんです。そのために必要となる費用はすべてSWさんがサポートしてくれるということでしたし、自分も常に「アセロラ2020」を念頭に置いた生活を心がけようと思っていました。なので、こうした事態になっても、いつ何時どこのキャバクラにも行けるようにイメージトレーニングはしています。具体的に言うと、テレビでゆきぽよさんやみちょぱさんが出演している番組を積極的に見るようにしていますし、藤田ニコルさんの写真集『好きになるよ?』を毎日眺めることで、モチベーションを維持しています。

──それは頼もしい限りです。派遣社員として働いていたお仕事のほうは、現状いかがでしょう? 失礼ですが、アセさんは貯蓄などあるのでしょうか……?

アセロラ4000 : もちろん、こういう状況ですから、もともといたテレアポの仕事は出社できなくなってしまいましたが、派遣会社に毎日入ってくる日払いのお仕事を紹介していただいたりして、なんとか家賃を払えるぐらいの収入は確保しています。貯蓄は当然ありません。これまでも貯蓄をすべてキャバクラと嬢たちに捧げてきましたから。そうなると、もしもキャバクラが再開しても通うことなど到底無理じゃないか、と思われる読者の方もいらっしゃるかもしれませんけど、そこはSWさんが全面的にバックアップしてくれていますから、もともと不安はないですね。

──そうしましたら、コロナ禍における、アセさんのお家での1日の過ごし方を具体的に教えてください。

アセロラ4000 : 仕事がないときは、10時頃に起きて、まずフジテレビの「ノンストップ!」を見ます。12時近くになったらテレビ東京の「昼めし旅~あなたのご飯見せてください~」を見ながら、チャルメラを食べています。そのままテレ東の「午後のロードショー」を見るんですけど、アーノルド・シュワルツェネッガーってすごいですよね。筋肉ムキムキで。それが終わったら昼寝して、起きると夜の8時頃ですから、そうなるともう夕飯ですよね。だいたいサッポロ一番のみそ味か塩味って決めてます。それから夜遅くなると、ときどき初代嬢と付き合っていたとき(編集注:店に通っていたとき)のことをぼんやりと回想しています。そうするとだいたい寝落ちしちゃって朝になっていることが多いですね。ここだけの話、夢に初代嬢が出てくることもあるんですよ。夢の中の嬢と私はすごく楽しそうで…… やっぱり、初代嬢も寝る前に私との日々を回想しているんだろうな、だから出てくるんだろうなって。

なんでもないようなことが、幸せだったんだなって思います

──初代嬢とは、とても大切な日々を過ごされていたんでしょうね。一緒に行っていたキャバクラ仲間のみなさんはお元気ですか?

アセロラ4000 : ああ、エトウさんとサカイくんですよね? どうしてるんですかね。じつは、私もほとんど連絡を取っていないんですよ。サカイくんは芸人として夢を持って生きてきたわけですけど、ことキャバクラのことになると、てんで頼りにならないですから、ちょっと疎遠になっています。エトウさんは謎にお金を持っていますから、また一緒にキャバクラに行く機会もあるかもしれないですね。2人とも良い大人だし、そろそろちゃんと就職してほしいとは思ってます。

──お店に行かずとも、嬢とはLINEなどのツールを使い逢瀬を重ねていたのかなと思いますが、全国各地にいる嬢とはどういったやりとりをされていますか?

アセロラ4000 : 確かに、全国各地の嬢と日々LINEデートを重ねてきました。一時期は、毎日5人ぐらいの嬢からLINEが届くこともありましたし、モテキでしたね。ただ、アセロラ4000の体は1つですし、すべての嬢に丁寧な対応は難しかったんです。その結果、残ったのは日本海沿いの街に住む嬢なんですけど、2月の中旬に突然、「店がヤバいかも!」ってLINEが来たんです。本来なら、すぐに駆け付けたいところですけど、高速バスで6時間かかる場所にあるので、自分にはLINEで悩みに乗ってあげることしかできなくて。「どうしたの?」って返したんですけど、3日後に「ねえねえ、ゾウって英語で何?」って返ってきて。店の何がヤバかったのか、いまだにわからないです。

──アセさんが知る限り、嬢はいまどんな日々を送っているんでしょう?

アセロラ4000 : 私も、こうした事態になるまではさほど気にしていなかったんですけど、徐々に日本海の嬢からLINEが減ってきましたし、最近来たLINEには「来月から出勤減らすことになってマジピンチ」って書いてありました。次の日にも「電車の本数が減るらしくて、マジピンチ」というLINEが届きましたし、とにかく嬢たちが日々ピンチなのは間違いないと思います。

──初代嬢には連絡はされましたか? 心配なんじゃないでしょうか?

アセロラ4000 : こちらからも、LINEが未読無視状態でもなるべく積極的にポムポムプリンの「Hello‼」スタンプは送るようにしていますし、毎日元気付けてあげようという気持ちはあります。ですけど、店が休みになって家にこもっているならまだ良いんですが、一番最近来たLINEによると、どうやらミーティングの結果、店は休業せずに営業を続ける方針を固めたらしいんです。それを聴いて正直、大丈夫なのかなって心配しています。それと、やっぱり真っ先に心配になったのは、初代嬢のことです。つい、決して返事の帰ってこないLINEにポムプリスタンプを添えてメッセージを送ってしまったんですけど、未読のままです。きっとブロックされているんだと思います。因果応報、覆水盆に返らず。なんでもないようなことが、幸せだったんだなって思います。

キャバクラって、人間ドラマなんです

──オンラインキャバクラなる新しい業態が出てきています。ある意味、ポストコロナ時代のキャバクラのあり方の一つかもしれませんが、アセさんはどう思われますか?

アセロラ4000 : 正直、「オンライン」と「キャバクラ」って完全に対をなすワードですよね。メロディさんが何を意図して私にそういう情報を教えてくださったのかはわからないですけど、まだあまり理解されていらっしゃらないことがあるようなので、大事なことをひとつだけ言っておきます。キャバクラって、人間ドラマなんです。嬢、お客、ボーイさん、店のデザイン、装飾、メニューに至るまで、何一つ欠けてもそのドラマは生まれないんです。歌舞伎町でいえば、新宿駅の改札を出て、大勢の呼び込みから身をかわしながら、信頼できる無料案内所に行き、お目当ての店を見つけ出して、ようやくお気に入りの嬢にたどり着く。そして、傍らに腰かけた嬢が、私の右ひざにそっと置く左手のぬくもり。そのぬくもりに用があるわけですよ。その醍醐味を、パソコンとかスマホの中で再現できると思うなんて、現代人のエゴでしかないんです。「どうぶつの森」ばかりやってるからこういうことになるんですよ。

──無粋なことを言ってしまい、失礼しました。

アセロラ4000 : ただ、メロディさんのせっかくのご提案を無下にするわけにはいきませんから、送っていただいたリンク先の内容は今、念のため確認しました。確かにオンラインでのキャバクラはナンセンスですけど、ドリンクやフルーツを頼まなくても良さそうなところ、60分3000円程度というコストパフォーマンスは一考の価値があるのかもしれないです。あとは同伴料や場内指名料、延長料金、ボーイが不在な中時間延長のコールは誰が告げてくれるのか、ボトルキープはできるのか、嬢の生誕祭イベント開催の可能性はあるのか等、フィジカルにおけるキャバクラ事案をどうデジタルに置き換えるのか? 事前に確認すべき課題は多いですよね。最終的には、「魅力的な嬢がいるかどうか」その一点に尽きるのではないでしょうか。気にならなくはないですよね。

──キャバクラ通いができない中での、アセさん流のストレスの発散方法を教えてください。

アセロラ4000 : たまごっちです。

──最後に、キャバクラウォーカーとして、全国のキャバ嬢へメッセージがあればいただけますでしょうか。

アセロラ4000 : 今、本当につらい日々を送っている嬢たちは多いと思うんです。でも、それは我々キャバクラウォーカーも同じことです。もしかしたら、私たちは試されているのかもしれないですよね。振り返ってみると、私はこれまで本当の嬢を知らなかったのかもしれません。嬢もまた、本当の私たちを知らなかったのではないでしょうか。あのとき、嬢は本当に私に恋をしていたのかもしれない。あのとき生誕祭をドタキャンしたお客さんは、本当にお金がなかったのかもしれない。この自粛期間に、1人ひとりが「嬢」となり「私」になりお互いを思いやること。そのことが、この騒動が終息したときに、新しい時代の「嬢と私」の関係を築いていくのではないでしょうか。青い空、白い雲。緑の大地、そして巨乳。私たちには、まだまだやらなくてはいけないことがある。「Save Our キャバクラ」を合言葉に、健やかに日々を過ごしていきましょう。いつか同伴できる、その日まで。

アセロラ4000「嬢と私」とは? まとめはこちらから

アセロラ4000『嬢と私』コロナ時代編 Coming Soon

アセロラ4000(あせろら・ふぉーさうざんと)
月に一度のキャバクラ通いを糧に日々を送る派遣社員。嬢とのLINE、同伴についてTwitterに綴ることを無上の喜びとしている。未婚。
https://twitter.com/ace_ace_4000

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