【連載】テラシマユウカ「それでも映画は、素晴らしい。」Vol.14『ドリーマーズ』

どうもこんにちは、テラシマユウカです。

皆さんはどこの国の映画が好きですか?

私は圧倒的に日本の映画が好きですが、それ以外で言えばイギリス・フランス映画を割と観ている気がします。

ひとつの国に固執しない映画も多くあるので一概には言えませんが、その国特有の文化や風習、歴史などが当たり前に入れ込まれていて国によって映画の傾向の違いが明白です。

最近になってその映画が作られた国を気にするようになったのですが、多種多様でメチャクチャ面白い。

戦争や革命や宗教など起こる事件が根本的に違うし、日常生活にまでも文化の違いが現れる。その新鮮味が面白くてなんだか最近色々な国の映画を観たくなっています。

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ということで、今週はイギリス・フランス・イタリアで製作された映画をご紹介します!

美容室code+LIMのワタローさんオススメ作品です。

Vol.14『ドリーマーズ』

 

1968年、5月革命に揺れるパリ。19歳のアメリカ人留学生マシュー(マイケル・ピット)は、通いつめていたシネマテークで繰り広げられていたデモの最中に、イザベル(エヴァ・グリーン)とテオ(ルイ・ガレル)という魅惑的な姉弟と出会う。3人は意気投合し、マシューは、姉弟の両親がバカンスで留守にするアパルトマンに泊めてもらうことになった。一つのベッドに裸で寝ている姉弟の姿にマシューは戸惑いつつ、3人の奇妙な同居生活が始まる。彼らは議論や映画クイズに明け暮れる快楽的な日々を過ごすが、それは性のゲームへと展開していく。クイズの罰ゲームの名のもとに、テオの目の前で、マシューとイザベルはセックスする。イザベルが処女だったことに驚くマシューだが、続けて彼らは愛し合う。3人は部屋にこもりっきりの怠惰な生活を送り、やがて金も尽きていく。そして姉弟の関係に、より深く介入しようとしたマシューは、彼らの分身同士のような絆から徐々に疎外され始める。ある夜、家の中に用意したテントの中で、3人は裸で仲良く横になるが、翌朝、バカンスから戻ってきた姉弟の両親が彼らを見つけ、小切手を置いてそっと出ていく。夕方になってやっと起きたイザベルは、テントの中にガス管を引き入れて心中しようとするが、パリの街で起こっていたデモの投石が窓ガラスを破る。3人は外に出て、姉弟はそのままデモに参加し、マシューと別れるのだった。

とにかく美しい主演の3人。溜め息が出る程にただただ美しい……。映像だけで観ても成立するのではないかと思うほどに見えるもの全てが綺麗でした。

留学のためフランスに滞在している、映画狂のマシュー。

一卵性双生児の弟、過激な考えを持つテオ。

一卵性双生児の姉、妖艶で美しいイザベル。

個人的に、ルイ・ガレル演じるテオのセクシーで退廃的な雰囲気がめちゃくちゃにどストライクで好きでした。

もはや本当に一卵性双生児なのかも定かではない、独特な空気を醸し出すイザベルとテオの異常性に心を惹きつけられます。

家の中では映画や政治観の話をしたりと、夢見る若者でいられていても、一歩家の外へ出ると現実が目まぐるしく渦巻いている。強い反骨精神を持つ若者の現実逃避の物語。マシュー、テオ、イザベルのギリギリの奇妙なバランスで成り立つ生活が描かれています。

基本的に外の世界へ出ず、ほぼ家の中のみでストーリーが進んで行きますが、革命を信じて夢見る若者達からは窮屈さなんて感じさせられません。

一歩外の世間で起こっている事など関係なく煙草をふかしワインを飲みながら議論したり……。彼らは純粋に狂っていてどうしようもない無垢な幼稚さがありましたが、不思議とこのままの奇妙な関係が続く事を願ってしまいました。

最後には外でデモが起き、家の窓が割れて何かが飛び込んできます。イザベルの「街が家の中に入ってきた」という言い回しがとても印象的で好きです。

終始エロティックで変な性的嗜好だらけですが、いやらしさや下品さなどは無い。芸術性まで感じてしまう。いつのまにかこちらまで、あの年代特有の儚く美しい夢を見させられている様な感覚に陥っていました。

3人が”映画狂”という設定もあり、イザベル達の言動と様々な映画のシーンがリンクしていくのも面白かったです。本当にどこを切り取っても素晴らしく絵になる。

結局ラストには、テオとイザベル姉弟の歪んだ関係の間には誰も介入する事ができなかったのか…… と切なくなりました。

最初はストーリーが掴めきれずただ美しい人達に目を奪われるだけでしたが、気づけば、革命が起こる目まぐるしい時代の若者達からのメッセージが伝わってくる。ですが、この映画が最終的に一番伝えたかったのは何か読み取るのは難しく、そこもまた美しいだけじゃ終われない『ドリーマーズ』の面白味でもあると感じます。

一度見たら忘れられない、視覚的満足度の高い見応えのある映画でした。

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次回は私が所属しているグループ、GANG PARADEのMVを撮って頂くなどお世話になっている、映像作家のUGICHINさんオススメの映画をご紹介します!

それでは、また来週。

※「それでも映画は、素晴らしい。」は毎週火曜日更新予定です。

【連載】Vol.1『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY』(推薦者:テラシマユウカ)
【連載】Vol.2『ライフ・アクアティック』(推薦者:渡辺淳之介)
【連載】Vol.3『そこのみにて光輝く』(推薦者:ココ・パーティン・ココ)
【連載】Vol.4『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(推薦者:沖悠央/SCRAMBLES )
【連載】Vol.5『ライフ・イズ・ビューティフル』(推薦者:GANG PARADE マネ 辻山)
【連載】Vol.6『ヘアスプレー』(推薦者:花柄ランタン ぷき)
【連載】Vol.7『はじまりへの旅』(推薦者:ランタン 村上真平)
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【連載】Vol.13『トレインスポッティング』(推薦者:蒲鉾本舗高政の社長、高政さん)

テラシマユウカ


2014年に結成され、現在9人組として活動中のアイドル・グループGANG PARADEのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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