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StoryWriter

先日、根本宗子さんの舞台「クラッシャー女中」を観劇させて頂きました。

目の前で繰り広げられる”生”のドラマにズルズルと引きずりこまれ、ただただ圧倒される時間でした。

演者の方々の一挙一動、指先まで役が宿っていてどこを見ていても面白い。

舞台を見るのはとても久しぶりだったのですが、いつもテレビで観ている方々が目の前でお芝居しているという事実に感動しつつ、生のお芝居の熱量や迫力はクセになって今すぐにでもまた観劇したい欲が出てきます。

根本さんとGANG PARADEは今年の夏に一緒に舞台をやらせて頂くのですが、初めての経験にめちゃくちゃ楽しみな気持ちと緊張とが入り混じってドキドキ胸が高鳴っています。

皆さん是非、今年の夏をお楽しみにしていて下さい!

今週は、StoryWriterで「なにが好きかわからない」を連載されているエビナコウヘイさんオススメ映画をご紹介します。

WACKのインターンとして1年半ほどお世話になったエビナさんですが、StoryWriterさんに入社されたということでこれからも連載は続くそうです!嬉しい!

Vol.21『ローマの休日』

 

ヨーロッパきっての古い歴史と伝統を持つ某国の王女アンは、ヨーロッパ各国を表敬訪問中であった。最後の滞在国であるイタリアのローマで、過密なスケジュール、疲労感と自由のない生活への不満により、ついにアンはヒステリーを起こしてしまう。

その夜、密かに城を抜けだした王女は、直前に打たれていた鎮静剤のせいで、無防備にも路傍のベンチでうとうとし始める。そこに通りかかったのが、アメリカ人新聞記者のジョー・ブラッドレーだった。見かねて介抱するうち、いつの間にか王女はジョーのアパートまでついて来てしまう。眠くて仕方のない王女は、詩を朗読して寝てしまう。

翌日の昼になって、彼女の素性に気づいたジョーは、王女の秘密のローマ体験という大スクープをものにしようと、職業を偽り、友人のカメラマンであるアーヴィングの助けを得て、どうにか王女を連れ歩くことに成功する。

アンは、市場での散策を楽しむ。まずサンダルを買い、美容院で髪の毛を短くし、スペイン広場でジェラートを食べる。その後ジョーとベスパに2人乗りしてローマ市内を廻り、真実の口を訪れ、サンタンジェロ城前のテヴェレ川でのダンスパーティーに参加する。その様子をアーヴィングが次々とスクープ写真を撮っていくうち、永遠の都・ローマで、自由と休日を活き活きと満喫するアン王女と新聞記者のジョーの男女仲は、次第に近づいていくのであった。

世界中から愛される女優、オードリー・ヘップバーン。彼女が主演を務めたこの作品は世界を代表する恋愛映画として今もなお愛され続けています。

ローマの休日が世界に与えた影響は大きく、劇中に登場した”真実の口”や、ヘップバーンカットというオードリー・ヘップバーンを真似た髪型などが大流行したり。そして、スペイン広場でジェラートを食べるというワンシーンから、それを真似る観光客なども増えたそうです。

真実の口のシーンは特に印象的で、これはサンタ・マリア・コスメディンという教会の外壁に飾られた海神トリトーネの石盤で、その口に手を入れると”嘘をついたものは手を食べられてしまう”という言い伝えがありました。手を入れて噛みちぎられたふりをするジョーを見て、悲鳴を上げてジョーに抱きつくアン王女の姿がとんでもなく可愛い。

実はこのシーンの撮影で当時新人だったオードリーの演技を引き出すために、監督のウィリアム・ワイラーと相手役のグレゴリー・ペックが事前に内緒で打ち合わせし、本番でいきなり手を噛みちぎられた演技を見せました。これを真に受けたオードリーは本気で悲鳴をあげ、素のリアクションをとらえたこのシーンは一発OKで撮影が終わったそうです。ドッキリだったとはいえ、このリアクションが素として出てきたオードリーに愛しさしか生まれてきません。

子供っぽい無邪気な面を見せたと思いきや、王女らしい賢くて礼儀があり大人っぽい気品のある振る舞いをしたり、、少女のような心を忘れないアン王女にひたすらに魅せられ続けます。

偶然な出会いであっても、言葉にするまでもなく愛し合っているふたりが気持ちのまま衝動的になってしまいかねないのに、お互いがお互いのことを考え元の場所に戻ることを決意した結末に素晴らしく感動しました。

王女が最後に奥にはけていく際の、笑顔を見せたと思いきや一瞬泣きそうな顔をするシーンは切なく美しい。

モノクロ映画のはずがそんなことを忘れてしまうくらいに、ローマの街並みやオードリーの美しさ、可愛いファッションまで不思議と色付いて見えてきます。

全人類で最も美しいといっても過言ではないオードリー・ヘップバーン、『ティファニーで朝食を』も観たくなってきました。

最近はよく恋愛漫画の映画化だったりと、この世には色々な恋愛映画が溢れていますが何よりも純粋にキュンとさせられる『ローマの休日』、是非一度観てみてはいかがでしょうか。

シンプルなストーリー展開で純粋な感動が生まれる、老若男女に愛される不朽の名作でした。

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次回はBiSH、セントチヒロ・チッチさんのオススメ映画をご紹介します!

それでは、また来週。

※「それでも映画は、素晴らしい。」は毎週火曜日更新予定です。

【連載】Vol.1『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY』(推薦者:テラシマユウカ)
【連載】Vol.2『ライフ・アクアティック』(推薦者:渡辺淳之介)
【連載】Vol.3『そこのみにて光輝く』(推薦者:ココ・パーティン・ココ)
【連載】Vol.4『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(推薦者:沖悠央/SCRAMBLES )
【連載】Vol.5『ライフ・イズ・ビューティフル』(推薦者:GANG PARADE マネ 辻山)
【連載】Vol.6『ヘアスプレー』(推薦者:花柄ランタン ぷき)
【連載】Vol.7『はじまりへの旅』(推薦者:ランタン 村上真平)
【連載】Vol.8『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(推薦者:松隈ケンタ)
【連載】Vol.9『シカゴ』(推薦者:ユイ・ガ・ドクソン)
【連載】Vol.10『トイ・ストーリー3』(推薦者:T-Palette Records 古木智志)
【連載】Vol.11『青春の殺人者』(推薦者:岩淵弘樹)
【連載】Vol.12『時計じかけのオレンジ』(推薦者:BiS ムロパナコ)
【連載】Vol.13『トレインスポッティング』(推薦者:蒲鉾本舗高政高政社長)
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【連載】Vol.20『少年は残酷な弓を射る』(推薦者:テラシマユウカ)

テラシマユウカ


2014年に結成され、現在9人組として活動中のアイドル・グループGANG PARADEのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

テラシマユウカ Twitter

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