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StoryWriter

先日、『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』というホラー映画を観に行ってきました。

死霊館シリーズのジェームズ・ワンが選んだ新ヒロイン、ラ・ヨローナ。メキシコに古くから伝わる泣く女の怨霊、水のある場所で次々と子供の命を狙ってきます。

徐々に上り詰めていく怖さというより、物理的な攻撃が多くいい感じに驚かせてくれるような映画でした。

死霊館シリーズはヴァラクやアナベル人形など、過去作品の霊のビジュアルがとても好みで、今作のラ・ヨローナのビジュアルもとても素晴らしく、全身を包む白いドレスから見えるガタイのいい体格が面白かったです。

メンバーのキャン・GP・マイカと一緒に観たのですが、人と観るホラー映画は周りの反応含めてとても楽しかったです。普段はひとりで劇場に足を運んでいるので、すごく新鮮でした。ふらっと一緒に映画館へ行けるような友達が欲しいと常々思います。

ということで、

今週は初代プラニメ現場マネージャー(現在は何でも屋さん)のごんちょくさんオススメの映画をご紹介します!

Vol.27『ザ・マジックアワー』

 

港町・守加護(すかご)。

街を牛耳るギャングのボス・天塩の愛人・マリに手を出してしまった手下のホテル支配人・備後。

備後は天塩に捕まり絶体絶命となってしまう。助かるためには5日以内に幻の殺し屋「デラ富樫」を連れてくること。条件を飲んだ備後だったが、そう簡単に見つかるわけもない。

守加護の古い町並みはまるで映画セットの様である。

そこで備後が思いついたのは、映画監督になりすまして無名の俳優・村田大樹を雇い、映画の撮影と称して彼にデラ富樫を演じさせることであった。

村田がマネージャー長谷川と港町・守加護にやってきた。

騙されているとも知らず、初めて主役の座を得た村田は大いに張り切って、台本がないことを不審がる長谷川を尻目に、デラ富樫の役作りを深めていく。

天塩と初対面の席でも、そのオーバーアクトに拍車がかかり、備後は気が気でない。

偶然が重なって、天塩の部下である黒川の目も欺くことに成功する。

天塩がデラ富樫を探していたのには理由があった。天塩商会と対立する江洞から狙われの身の天塩は、デラ富樫を自分の配下におこうと企んだのだ。

やがて計画は崩壊し、村田も映画の撮影ではないことに気がつく。

そのとき、自分の身を犠牲にして備後と村田を救ったのはマリだった。すべてを悟った村田は、映画仲間たちを守加護に呼んで、天塩を騙すための大芝居を仕掛ける。

だが、その過程で天塩とマリは真実の愛に目覚めて、二人で街を去っていく。

呆然とする備後と村田の前に現れたのは、本物のデラ富樫だった。映画仲間たちのトリックで、デラ富樫をペテンにかける村田。

それは彼にとって一世一代の名芝居であり、見切りをつけようとしてした役者稼業を思いとどまらせるのに充分なものだった。

何度観ても三谷幸喜監督作品のキャスト陣の豪華さに驚く。ちょい役に谷原章介さん、中井貴一さん、唐沢寿明さん、鈴木京香さんなど。え? このワンシーンだけでこんなに!? という、もはやふざけているのか何なのか分からないレベルで強い。

表題の”マジックアワー”は、日没後の「太陽は沈み切っていながら、まだ辺りが残光に照らされているほんのわずかな、しかし最も美しい時間帯」を指す写真・映画用語です。作品内では「誰にでもある『人生で最も輝く瞬間』」を意味しています。三谷幸喜監督自身、このマジックアワーの意味を前作『THE 有頂天ホテル』の撮影時に知ったそうです。

ギャングのシビアな世界観に引き込まれつつも、絶妙なバランスで繰り広げられる会話の展開に思わずニヤケてしまう様な、正に三谷監督にしか出来ない作品でした。

佐藤浩市さん演じる偽・デラ富樫の馬鹿みたいなオーバーアクトが面白く、ワザとらしい口調や歩き方、そしてナイフを悪い顔して舐めるシーンには何度観ても笑わさせられました。

そしてこの物語の舞台、守加護の街並みは文字通り”映画のよう”で映画の中っぽすぎて逆に違和感のある街の様子もまたいい味を出していました。

映画の撮影であると騙されている村田大樹と、本物のデラ富樫を連れてきたと騙されているギャングのボス・天塩の噛み合っていないようでなんだかんだ偶然にも噛み合っていく関係性がとてもうまい具合で。ありえない2つの世界がなぜか成り立ってしまう面白さは、とてもスリリングでユーモアに溢れています。

そして、その2つの世界が段々とすれ違っていき破綻してしまった後もさらに面白さを加速させ、オチも最後まで全く予想できず、そうなるか〜! と声に出してまたもや笑ってしまいます。

久しぶりに邦画をご紹介しましたが、喜劇映画となるとなかなか観る機会が少なかったのでケラケラ笑いながら観れる映画の素晴らしさを実感しました。そして”誰にでもある人生で最も輝く瞬間”という意味が込められたザ・マジックアワーに心を震わさせられます。

三谷監督の作品は個人的に『ステキな金縛り』が大好きなので久しぶりに観てみようと思います。

* * * * * * * * *

次回はGANG PARADEのメンバー、キャン・GP・マイカのオススメ映画をご紹介します!

それでは、また来週。

※「それでも映画は、素晴らしい。」は毎週火曜日更新予定です。

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テラシマユウカ


2014年に結成され、現在9人組として活動中のアイドル・グループGANG PARADEのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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