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BiSHや豆柴の大群などが所属する事務所WACKが次世代のアイドル育成を目指し結成した研修生グループ、WAgg。これまで、ナルハワールドがGANG PARADEへ昇格、ウルウ・ルがCARRY LOOSEのメンバーへ、ハナエモンスターが豆柴の大群のメンバーとしてデビューするなど、即戦力として活躍するメンバーを次々に輩出している。

そんなWAggに、新メンバーのユウドット・comが加入した。2020年3月に開催されたWACK合宿オーディション2020に参加し見事合格、同年6月13日、新メンバーお披露目ライヴ〈WAgg 新メンバーワキワキワッキー(仮称)お披露目 NO AUDiENCE LiVE〉を行い、WAggの一員となった。コロナ禍の中でのデビューということもあり、まだ人前でのパフォーマンスはできていないが、彼女はどのような想いを持ってデビューを果たしたのか。初インタビューをお送りする。

取材&文:西澤裕郎
写真:大橋祐希


つらくて悲しかったし、意味が分からなかった

──comさんは、WACK合宿オーディションでWAggに合格しました。しかし、その直後、コロナウィルスの感染拡大による自粛が本格化して、外に出られない状況になってしまいましたよね。合宿後はどのように過ごしていたんでしょう?

ユウドット・com(以下、com) : 家で1人、練習していました。何回も練習しないと覚えられないので、とにかく1日中ずっとやっていました。

──無観客という形ではありましたが、ニコ生でお披露目ライヴを行いました。comさん自身、合宿のときと比べて雰囲気が変わったなと思ったんですけど、振り返ってみていかがでしたか。

com : すごく不安で緊張していたんですけど、始まったら楽しいという気持ちばかり出てきて。本番中はあまり不安とか緊張はなかったです。

──ここからは、comさんがWAggに加入するまでの人生を訊いていきたいと思います。小さい頃は、どんな子どもだったと言われることが多いですか?

com : 結構活発で、外で遊ぶことが多かったです。走るのが速かったので、鬼ごっこをしたり、クラスのみんなと遊ぶのも好きでした。

──習い事はしていましたか?

com : 一輪車とスイミングをしていました。ただ、そのときは静岡に住んでいて、小学生の途中で神奈川に引っ越したので、2年しか習っておらず、全然泳げないんです(笑)。

──アイドルを好きになったきっかけは覚えていますか?

com : いとこがウォークマンでアイドルの楽曲をめっちゃ聴いていて。いとこがウォークマンを使ってない時に聴いているうちに好きになっていきました。AKBさんとか、中野風女シスターズさん、スマイレージさんやももクロさんなどの曲が入っていて、アイドルは観るもの聴くものという感じで接していました。

──WACKはどうやって知ることになったんでしょう?

com : いじめられて、1人になることが多くなり、学校も行かなくなって家にずっといることが増えたんです。その時、またアイドルに興味を持つようになりました。アイドルの動画をずっと観ているうちに、私もなりたいと思うようになったんです。それでアイドルの応募サイトとかをいっぱい見ていたときに、WAggの最初のオーディション記事をみつけて。その時は、WACK自体を全然知らなかったので受けなかったんですけど、WACKを調べるようになって。BiSHさんとかギャンパレさんとかが所属している事務所なんだなと知るようになりました。

──さっきいじめられていたと話してくれましたけど、どんな日々だったのか差し支えない範囲で教えてもらえますか。

com : 小5の時、女の子3人でいることが多かったんです。もともと私以外の2人が仲良かったところに私が入ったので、1人の子が私に結構冷たくて。6年生になってから何回か喧嘩になって、その延長線で周りの女の子から無視されたり避けられるようになって。それがどんどん広がって、クラスの子たちもあまり話してくれなかったり冷たくされたり、ちょっかいをかけられたりするようになりました。

──それはつらいですね。どんな気持ちで学校に行っていたか覚えていますか。

com : 普通につらくて悲しかったし、意味が分からなかった。仲の良かった子たちにも無視されるようになったのが全然意味分からなくて、つらかったです。

──学校へはいつから行かなくなったんでしょう?

com : 最初のうちは保健室登校していたんですけど、6年生の冬ぐらいからは全く行かなくなりました。

──もうちょっと頑張って中学に上がれば、何か変わるかなって期待はあった?

com : 中学も持ち上がりだったんですよ。

──小学校の同級生がそのまま中学でも一緒になると。

com : そうです。なのでその中学に行くか迷ったんですけど、3人のうちの1人の子がその時も仲良くしてくれていたので中学に行ったんです。でも、中学でもやっぱりいじめはあって。仲良くしていた子もそっち側にいっちゃって本格的に中学も行かなくなりました。

何も成長してなかったら受かるわけがないと思っていた

──その時期に、アイドルになりたいという想いが強くなったんですね。最初は聴くだけ、観るだけだったアイドルに、どうしてなりたいと思うようになったんでしょう?

com : 純粋にアイドルがかわいかったし、たくさんの人に好かれているのがいいなと思ったんです。その時期は、本当に親とかしか関われていなかったし、誰からも好かれてないと思っていたので、人に好かれる仕事っていいなって思いました。

──WACKのオーディション以外も受けたりはしていた?

com : 1個だけ受けたんですけど、三次審査で落ちちゃって。それが悔しくて。あと、2019のWACK合宿オーディションの最初も受けたんですけど面接で落ちてしまった。それもすごく悔しくて、その時はWACKが好きになっていたので、壱岐で行われた全員面接に行こうと思ったんです。

──合宿前日に行われた全員面接ですよね。壱岐までの距離も遠いし、落ちたらすぐに帰って来なきゃいけない中、家族を説得しないと参加するのは難しかったと思うんですけど、そのあたりはご家族も応援してくれていたんですか?

com : 親自体は、アイドルになることは背中を押してくれていたので、最初のオーディションを受ける時は「いいよ、やりたいことをしな」って言ってくれていて。ただ、全員面接は告知自体も急だったし、遠いから「いやーちょっと」って感じだったんです。だけど、「せっかくチャンスがあるんだから行かないのは無理」って泣いて頼みました。

──そこで諦めずに、0日目に行く根性というか行動力がすごいですよね。

com : 本当に悔しかったので。

──何人集まるか分からない中、100人近く全員面接を受けに人が集まりました。その中から見事5人に選ばれたわけですけど、いきなり大人の人たちの中で、カメラも向けられる状況に置かれて、どんな体験でしたか。

com : どこを見たらいいか分からないし、人と話すのが苦手なので。それがカメラになると余計何を喋ったらいいか分からなくて。それまでの合宿映像も観てきたんですけど、いざ自分が喋るとなると何を喋っていいか分からなかったです。

──映画『IDOL-あゝ無情-』で、ワキワキワッキーとしてのcomさんが描かれています。初日の歌唱審査に向かう途中で過呼吸になってしまうシーンが映っていますが、あのときは何があったんでしょう。

 

com : ご飯を食べている時も、その後の練習も水分を全然摂っていなくて。船酔いも結構きつかった中でご飯を食べたりしていたので、船を降りた瞬間、頭がぼーっとしちゃって、息ができなくなってしまったんです。

──結果、体調のことを考えて合宿への参加は断念することになってしまいましたが、その時はどんな気持ちだったんでしょう。

com : 終わった…… と思いました。WACKって普通のアイドルよりも過酷な試練を乗り越えたりするじゃないですか。渡辺さんが見ている中で過呼吸になって倒れたりしてしまったので、もう受からないって思いました。

──でも、そこから1年後の合宿には諦めずに参加したわけじゃないですか。どんな気持ちで過ごしていたんでしょう。

com : 正直オーディションでは何もできなかったので、悔しいとかつらいとかって気持ちよりも、最初は無になったんです。でも、家に帰ってから、合宿を観て、ナアユちゃんとかNOWさんを観ていたら悔しくなって。次あったら絶対に受けようって思いました。

──前回から今回の合宿までの1年間は、どう過ごしていたんですか?

com : 2019年の合宿での候補曲をずっと踊って練習していました。あとWACKの曲をいろいろ聴いたり、筋トレもしました。引きこもっていた期間があったので体力が本当になくて。最初は1kmも走れなかったので、坂道があるコースでお母さんに付き合ってもらって走っていました。

──めちゃめちゃ努力をした1年間だったんですね。その時点では、WACKのアイドルになりたいって気持ちが強かったんですよね、きっと。

com : WACKしか入りたくないと思っていました。2019年の最初の面談では、そこまで強い意志はなかったんですけど、落ちた時にWACKのことをもっと知ろうと思って、いろいろ観ていたら、やっぱりかっこいいなと思って。2018年の合宿も観ていたんですけど、日常で楽しいと思っていなかった人とかがキラキラしていくのを観て、かっこいいしすごいなと思って。私も日常が全然楽しくなかったので、WACKがいいって思っていました。

──WACKオーデ2020の面接に通過して参加できることになったときは、嬉しさもあったと思うんですけど、プレッシャーもあったんじゃないですか。

com : ありました。前回は0日目で脱落してしまったので、ニコ生などには映っていなかったんですけど、渡辺さんには2回目の挑戦として観られることになるので。何も成長してなかったら受かるわけがないと思っていました。めちゃめちゃ体力とかダンスとか、他の子よりできなきゃダメだなと思って臨みました。

自分が落ちることも悔しかったし、インポッシブルが落ちることも悔しくてつらかった

──合宿では、同じ候補者のインポッシブル・マイカさんとの出会いがありました。境遇も近く、運命的な出会いで、すごく仲良くなっていましたよね。

com : 初日からシンデレラタイムで2人だったんです。同じチームになることも多かったので一緒にいる時間も長くて心強い存在でした。

──6日目の朝に2人に話を訊いたとき、心を許し合って話し合っている姿がすごく印象的でした。どんなところで波長があったんでしょう。

com : 初日の最初、みんなで集まった時に、服装が似ているなとか、雰囲気的に好きなものが似てそうだなとか、お互いに思っていて。その話をしたり、お互いに友だちが全然いないとか、共通点や似ている部分があったんです。

──一緒に頑張ってきて、あと一歩で最終日を迎えられるという夜に、2人が脱落者として呼ばれました。comさん自身、どんなことを思いましたか?

com : 正直、やれることは全部やっていたし、すごく必死にやっていたので、その時は落ちたこと自体に納得がいかなくて。すごく悔しかったし、どこが悪かったのかずっと考えていました。その後で、渡辺さんが「負けを2人に知ってほしかった」って言っていたのを聞いた時は、落ちたことには納得しました。

>>【現地レポート】WACK合宿オーデ6日目③やっと出会えた2つの絆が戦わなきゃならない残酷

──その翌朝、2人でオセロ対決をし、敗者復活をしなきゃいけないという状況になりました。夜から朝まで2人は全然目も合わさないし、喋らないような時間が続きました。どんなことを考えていたんでしょう?

com : 絶対に勝ちたいと思っていたんですけど、それと同じぐらいつらくて。本当に仲良くなったし、私もインポッシブルもすごく頑張っていて。短期間でめちゃめちゃお互いに成長できていたなと思っていたので、自分が落ちることも悔しかったし、インポッシブルが落ちることも悔しくてつらかったです。

──仲良かった人と決別した経験もあるだけに、戦ってどちらかが落ちてしまうというのは、ものすごい試練だったと思います。その夜、チッチさんが来て手紙を渡していましたよね。どんなことが書かれていたんでしょう?

com : それまでチッチさんと一緒のグループになったことがなかったので、あまり話したことはなかったんですけど、「必死に頑張っている姿のファンでした」って書いてあって。「2人が仲良いのは私も知っていて、どうしてこういう結果になっちゃったか納得いかない。でも、私はどうにもすることができないから頑張ってほしい」ってことが書いてありました。

──そして迎えた翌朝、オセロはどんな気持ちで対戦しましたか?

com : 気持ち…… 気持ちはなかったです。だって何を考えてもどうにもならないというか。ずっと勝ちたいとは思っていたんですけど、そういうこともオセロ中はほぼ何も考えられてなかったです。

──終盤で勝ちが見えてきた中で、角を取らない選択をしたじゃないですか。

com : 1番最後じゃなくて、ちょっと前のところなんですけど、ここを置いたら勝てるなっていうのが絞れてきていて。勝ちたいって気持ちはあったし、ここで相手を勝たせるとかはダメだと思っていたんですけど、つらさとかもあって。勝つルートは正直見えていたので、ここは置かなくても大丈夫かな、いいかなって思いました。

──完璧に勝つ手を打たなかったのは、なんでだったんでしょうね。

com : 手加減したように思われたり、インポッシブルに対していいようにならなかったんじゃないかなって、その後考えたりとかしたんですけど、インポッシブルのことが大好きだったので、完全に敵とは思えなかったんです。

──試合が終わったあと、comさんの方が泣いていて、インポッシブルさんの方が爽やかな顔をしていたのが印象的でした。

com : 涙が抑えられなくて。申し訳ないって気持ちとはちょっと違うんですけど、自分がインポッシブルに勝ったこと、勝敗が決まることがつらくて。それまでライバルだったり敵だとは全く思っていなかったので、その時に別々の立場になったことが本当につらかった。

──その後、お風呂一緒に入って2人で話ができたと、インポッシブルさんが話してくれました。

com : インポッシブルが「お風呂一緒に行こうよ」って誘ってくれて。早朝マラソンが終わった後、声のかけ方も分からないし、インポッシブルのことが見られなかったんです。でも部屋に戻ったら笑って話しかけてくれたので、ちょっと安心したというか。落ちる前の関係が続いていることが嬉しかった。お風呂では、メンバーさんも一緒に話をしたりしてくれて、より一層仲良くなったというか、元の関係に戻れたのがすごく嬉しかったです。話した内容とかは全然覚えてないんですけど、気持ちの面でそう感じられたのを覚えています。

全員、もっといいものを! って考えている

──そして、合宿オーディションの合格者発表で、WAggへの合格者として名前を呼ばれました。その時を振り返ってみて、どんな気持ちでしたか?

com : 正直、実感が湧かないというか…… なりたいとずっと思っていたんですけど、なった時の想像をしていなくて。意味が分からないというか、未知な感じでした。

──現在は、実際にWAggのメンバーとして練習とかもしているわけじゃないですか。他の子と一緒に生活を送ることも、大きな変化だと思うですけど、みんなと一緒に何かするってことはどうですか。

com : 最初は観ている側の人というか、自分がメンバーになった実感が湧いていなくて。みんなかわいいし、すごいので、自分がそこにいるのが違和感がありました。だけど、最近はライヴもしたし、ずっと練習もしてきたので自分がWAggになった自覚があります。もっと自分がメンバーにできることはないか、愛情というか、そういう気持ちが芽生えてきています。

──お披露目ライヴのMCで言っていましたもんね。自覚が出てきたって。WAgg初のオリジナル曲もできて、レコーディングもしました。

com : 自粛が明けてから、本当に初めての仕事がレコーディングだったんです。WAggは今までオリジナル曲がなかったので、そんなことは思ってもなかったし、初めての経験すぎてとにかく緊張しました。

──MV撮影はどうでしたか?

com : 緊張しました。自分の顔がすごく嫌いなんですよ。合宿を経験しているんですけど、カメラに撮られていることが苦手で、どういう表情をしたらいいかが分からなくて。ただ、いつまでもモジモジしているのは申し訳ないので、やらなきゃって気持ちで頑張りました。

 

──合宿を経て合格したことが自信に繋がっているんじゃないですか?

com : 多少自信が生まれました。自分のTwitterでも、応援してくれる方を目の当たりにすることも増えて。今までは、関わる人間が家族ぐらいで、本当に少なかったので、こうやって私のことを考えたり、見たりしたりしてくれていることが嬉しいし、すごいなって思ったりします。自撮りとかMVとかもそうなんですけど、褒めてもらったりすると、自分のことを認めてくれているんだなと思って嬉しくなります。

──WACKに入るという夢は叶えました。次の夢はできましたか?

com : それぞれが昇格することが大きな目標ではあるんですけど、今のメンバーと一緒にWAggを愛される存在にしたいなって思います。

──WAggは、手探りの中で始まって模索していたグループだと思いますが、今は一致団結してやっている感じが見えます。グループ感が出てきたというか。

com : かっこいいんです、みんな! 全員、もっといいものを! って考えている気がします。もちろん自分もそう考えて活動しています。

──早くお客さんの前でライヴできる日が来るといいですね。

com : はい!


これまでのWAggインタビューをあわせてチェック!
WACKを揺るがす8人の女の子たち──アイドル育成プロジェクト“WAgg”初インタビュー
Vol.1──ナルハワールド「素直さや元気さを出していきたい」
Vol.2──マリン・バ「WAggで1番になりたい」
Vol.3──ウルウ・ル「WAgg8人で、いいねって思われたい」
Vol.4──アンズピア「今の目標は、楽しむこと」
Vol.5──ウタウウタ「一体感を作りながら個性を乗せていけるグループにしていきたい」
Vol.6──愛「もっともっと意識を高く持ちたい」
Vol.7──サアヤイト「8人の個性が伝わるようなグループにしたい」
Vol.8──ハナエモンスター「8人で会場を埋められる存在になりたい」
Vol.9──マリン・バ「人に必要とされる存在にならなければいけない」
Vol.10──ナルハワールド「ギャンパレに新しい何かを与えられる存在になりたい」
Vol.11──ア・アンズピア「WAggのグループとしての結束を固めて突き進んでいきたい」
Vol.12──ハナエモンスター「上に行かないといけないなという気持ちは変わらない」
Vol.13──ウルウ・ル「WAggでデビューさせたいと思われるぐらいいいグループにしたい」
Vol.14 ──愛「今のWAggを最強にして、次は新しい最強を作っていきたい」
Vol.15──サアヤイト「いろいろな事を吸収して、殻を破った自分を楽しみにしている」
Vol.16──ウタウウタ「もっとWAggを良いものにしたいという気持ちが強くある」
Vol.17──ナアユ「自分が思っている以上にWAggが大好きだし、大きくしなきゃ」
Vol.18──キラ・メイ「私の名前をみんなに知ってほしい」
Vol.19──アイナスター「まずは目の前にあることを丁寧に、ちゃんとやり遂げたい」


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