こんにちは、テラシマユウカです。
自分とは関係のない世界で起こる、人間を恐怖に陥れる現象が好きという理由でよくホラー映画を観るのですが、ひとえにホラーと言っても様々な怖さの表現の仕方があって、恐怖の中にこそ生きる美しさなどが存在する所がとても好きです。
そろそろ夏が始まるということで涼しさが欲しくなる季節。
今回はこれを観れば間違いない、ホラー映画10選を書いていきたいと思います。
最初の4つは心霊系が苦手という方も観れる違うタイプの作品を選んだので、先入観を取っ払って気楽に観てみてはいかがでしょうか。
ネタバレ要素は一切無いので、気になった作品は是非。
1.『ブルー・マインド』
両親の仕事の関係で新しい街へと引っ越してきた15歳の少女・ミア。親の都合に振り回されることへの苛立ちと、大人の女性へと変わっていく自分自身への言いようのない不安の中、ミアはクラスでも目立つ存在のジアンナたちと仲良くなる。アルコール、万引き、男の子たち、ミアは憂鬱な気持ちを振り払うように、仲間たちと悪い遊びに手を染めていく。
15歳という多感な年齢で徐々に大人の女性へと変わっていく少女の身に起こる奇妙な出来事と、逃れられない運命の結末を描いたニュータイプのホラー映画。”恐ろしくも美しく、狂おしく淫らな、カミング・オブ・エイジ・ホラー”というキャッチコピー。
最近で一番心に残ったもの。年頃の女の子の変化とそれに対する苦悩、青春、思春期の持つ危うさが幻想的。斬新で怖いというよりファンタジー。奇妙で切ない、雰囲気を楽しめる作品です。
2.『エスター』
かつて3人目の子供を流産したケイト・コールマンとその夫のジョン。彼らはその苦しみを癒すため、孤児院からエスターという9歳の少女を養子として引き取る。少々変わってはいるが年齢の割にしっかり者で落ち着いており、すぐに手話を覚えて難聴を患う義妹のマックスとも仲良くなるエスター。だが共に生活する中で、やがて彼女は常に手首や首にリボンを着けていたり、入浴の際は必ず入り口を施錠したりと、謎の習慣を垣間見せ始め、それらと同時に徐々に恐ろしい本性を見せ始めるのだった。
脅かしたり幽霊が出てくるわけではないのでホラーが苦手な人にもオススメのサイコサスペンス。物語が進むにつれ徐々にエスターの不気味さに侵食され、その異常さに違和感を感じます。妙に生々しい人間的怖さが描かれており、ホラーの驚かされるといった要素は無く精神的に抉られる。一味違ったゾッと感を楽しめる、とても好きなサイコホラーです。
観たことがある方も多いと思いますが、絶対に人生で一度は観といた方が良い、予想外で衝撃的な結末に驚愕する記憶に残る作品。
3.『グッドナイト・マミー』
森と畑に囲まれた一軒家に住む双子の兄弟は、母親の帰りを待っていた。ところが、母親の顔は包帯で巻かれており、性格まで冷たくなり、まるで別人のようになっていた。そこで、兄弟は帰ってきた母親が本物であるのか正体を暴くべく、彼女を試しはじめる…
子ども達が自分の知っている母親と目の前の包帯ぐるぐる巻きの母親との違和感を感じ様々な手段で本物であるか確かめていきますが、次第に暴走し異常さが見えるようになっていきます。美少年達の行動ひとつひとつが胸糞悪く無垢な残酷さが突き刺さる。拷問系が苦手な人は観る前に少し心の準備が必要かもしれません。全てが紐解かれた時にはゾワっと鳥肌が立つような、いい意味で裏切られる。残酷さを抜きにすれば双子達がとても可愛いくて、映像も美しい作品です。
4.『ドント・ブリーズ』
舞台はアメリカ・デトロイト。経済破綻しゴーストタウン化が進む街で、養育放棄の両親と暮らす不良少女ロッキーはいつの日か共にここから抜け出そうと妹に約束していたが、そのために必要な逃走資金を得られるあてはなかった。
ボーイフレンドのマネーから地下室に金庫を持っているらしい視覚障害者宅への強盗を持ちかけられた彼女はマネーと友人のアレックスの3人で真夜中に盲目の男性の屋敷に押し入る。だがその男は元・軍人であり、盲目でも超人的聴覚を持ち、侵入者の殺害も厭わない恐ろしい人物だった。果たしてロッキーとアレックスは、即座にマネーを殺害した盲人の追撃を回避して、悟られることなく静寂を保ったまま密室の家屋から脱出できるのか。
強盗vs盲目の老人。怖いけど怖すぎず、サイコパスおじいちゃんが思った以上に気持ち悪い。悪魔や幽霊などではない怖さが抜かりなくギッシリ詰められている、スリルを味わいたい方にオススメ。悪者は強盗かと思いきや……予告から想像できるストーリーではなく、まさかの展開に胸糞は悪いものの次から次へとスリリングなシーンが出てくるので見応えがあります。
5.『シャイニング』
豪雪のため、冬の期間だけ閉鎖されるオーバールック・ホテル。かつてここでは、精神に異常をきたした管理人が一家を惨殺した挙句に自殺するという、痛ましい事件が起きていた。
そんないわくつきのホテルに、小説家志望のジャック、その妻のウェンディー、息子のダニーが新しい管理人一家としてやってくる。外界と完全に隔離された世界で、最初は穏やかに生活を営んでいたジャックたちだったが、超能力を持つダニーはこのホテルにただならぬ“邪悪さ”を感じていた。
やがてこの一家に、かつてない恐怖が襲いかかる…。
スタンリー・キューブリック作品。素晴らしい映像美、カメラワークや音楽など見えるもの感じるもの全てがヤバすぎる。殺人シーンなどもありますが、グロいシーン連発という訳でもなく精神的な怖さ不気味さがあり、次第に狂気に支配されていく恐怖を感じさせられる作品。目と耳と心、全てに残る。キューブリックに魅せられます。これは絶対に観るべき。
6.『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』
1990年のメイン州デリーで、子供だけを狙った連続殺人事件が発生する。デリーに住んでいたマイクは、事件現場近くでそこにあるはずのない男の子の古い写真を発見し子供時代にIT(あいつ)と呼んでいた奇怪なピエロ、ペニーワイズの仕業であると確信する。マイクはかつての仲間との約束を思い出し、30年ぶりに再会することになる…。
大人には見えず、子どもにしか感じない恐怖、自分が子どもの頃に観ていたらトラウマになっていたのかもしれません。ただのピエロが登場するホラーかと思えば、大人と子どもの対比、子ども達ひとりひとりの心の動きが描かれており深い所まで作り込まれている良いストーリーでした。ホラー好きとしては正直物足りないですが、ペニーワイズというキャラクターが好きなのでオススメします。
そして続編の「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」が今年11月に公開される予定です。かつて“それ”と対峙した子ども達の27年後を舞台とした作品になるそうなので期待が高まります。
7.『ジェーン・ドウの解剖』
遺体安置所で行われる身元不明女性遺体の検死をすると、さまざまな怪現象が巻き起こる恐怖をリアリティある解剖の描写で描いたホラー作品。
この作品の見どころは映像・音ともにリアリティがあり美しくグロテスクな解剖シーン。
シンプルにドンッと来る様な定番の怖さがありつつ、短くまとめられておりかなり観やすいと思います。遺体安置所という特殊なシチュエーションを存分に利用した恐怖と様々な伏線、遺体の謎を解明していく過程が面白く段々と謎が解けていくうちに怖いというだけではない別の感情も生まれてくる。ホラーとサスペンスがうまく融合された惹き込まれる作品です。
8.『インシディアス』
ジョシュとルネの夫婦は3人の子とともに新居に引っ越してから、屋根裏から物音がするなどといった怪奇現象に見舞われた。そんなある日、長男のダルトンが梯子から落ちて昏睡した。しかし、ダルトンの身体に異常はなく、昏睡の原因ははっきりしなかった。 この新居が呪われていると考えた夫妻は別の家に引っ越すも、怪奇現象はおさまらず、霊媒師や牧師に依頼しても事態は悪化していく一方だった
お化け屋敷の様なビックリさせられる系ホラー映画。監督を務めたのが「ソウ」シリーズのジェームズワン、ソウの様な血まみれや暴力といった表現はなく、心霊現象多発。一番想像しやすいホラーなのではないでしょうか。しっかり怖がらせ、その中に家族の物語があるといった少し死霊館シリーズとの繋がりを感じる作品でした。一般的に求められているホラー映画といった感じなので、ザ・怖いを観たい人にオススメ。
9.『ヘレディタリー/継承』
グラハム家の祖母・エレンが亡くなった。娘のアニーは、過去の出来事がきっかけで母に愛憎入り交じる感情を抱いていたが、家族とともに粛々と葬儀を行う。エレンの遺品が入った箱には、「私を憎まないで」というメモが挟んであった。
アニーと夫・スティーヴン、高校生の息子・ピーター、そして人付き合いが苦手な娘・チャーリーは家族を亡くした喪失感を乗り越えようとするが、奇妙な出来事がグラハム家に頻発。不思議な光が部屋を走る、誰かの話し声がする、暗闇に誰かの気配がする…。やがて最悪な出来事が起こり、一家は修復不能なまでに崩壊。そして想像を絶する恐怖が彼女たちを襲う。一体なぜ?グラハム家に隠された秘密とは?
“今世紀最も恐ろしいホラー”
怖さより映画としての面白さが個人的には上回りました。前評判が素晴らしく私も期待して観たのですが、その期待を超えてくる。解釈によって面白さが変わるかも知れませんが、とにかく全員演技がえげつない。表情一つ一つが本当に取り憑かれてるんじゃないかと言うほど脳裏に染み付き不気味さに襲われます。直接的な怖い表現というより、得体の知れないものに取り込まれていく様な一体何が起こっているのか分からない恐怖を描いている作品です。
10.『死霊館シリーズ』
実在する心霊研究家エドとロレイン・ウォーレン夫妻を主人公に、「ソウ」シリーズなどで有名なジェームズ・ワン監督が手掛けた実話をベースとしたホラー映画シリーズ「死霊館」。
「死霊館」「アナベル 死霊館の人形」「死霊館 エンフィールド事件」「アナベル 死霊人形の誕生」「死霊館のシスター」とシリーズが続いています。このシリーズの公開年と映画内の時系列はバラバラにはなっていますが、全て物語は繋がっているのでシリーズ全作を観ることをオススメします。公開順に見た方がこのシリーズは”何かがどこかで”繋がっているんだというもやもやもあって楽しめるのではないかと思います。
予告だけでも見応えがあります。
死霊館シリーズはストーリー構成も勿論のこと、毎度登場してくる悪霊のビジュアルがとても好みです。アナベル人形や、シスターの悪霊ヴァラク、へそ曲がり男。霊を出し惜しみすることなく最初から実体をバンバンと出してくる所がとても良い。子供だけに見えるとかいう設定など無い、躊躇いなく目の前に現れ物理的攻撃もしかけてくるのがめちゃくちゃに怖い。
そしてホラー映画の割に登場人物が全然死なず、その為始まりから終わりまでじわじわと確実に精神的に追い詰めてくるので終わった後にどっと疲労感がきます。
シリーズの中でも個人的にアナベル人形が登場するものが好きで、明らかに取り憑かれそうなアウトな見た目をしているのに家に保管しようとしているのが意味がわからないし、動かない人形が着実に人間を恐怖のどん底に突き落とす様がとても面白いです。
このシリーズは、悪霊に立ち向かう為のヒントを知っている人物が必ずおり、より確実に道具を使い儀式を行って、霊に苦しめられられるだけではなく霊を苦しめ対抗していく点が特徴です。
死霊館シリーズは今年9月には新作、「アナベル 死霊博物館」の日本公開も決定しているので絶対に見逃せません。
まだ詳細は分かりませんが「死霊館3」やエンフィールド事件のスピンオフ作品「The Crooked Man」の製作も決定しているようなのでとても楽しみにしています。
次回は、InstagramやYouTubeなどで活動しているインフルエンサーのももちさん(https://instagram.com/momochi.661?igshid=43emg9ugg5sv)オススメの映画をご紹介します!
それでは、また来週。
※「それでも映画は、素晴らしい。」は毎週火曜日更新予定です。
【連載】Vol.1『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY』(推薦者:テラシマユウカ)
【連載】Vol.2『ライフ・アクアティック』(推薦者:渡辺淳之介)
【連載】Vol.3『そこのみにて光輝く』(推薦者:ココ・パーティン・ココ)
【連載】Vol.4『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(推薦者:沖悠央/SCRAMBLES )
【連載】Vol.5『ライフ・イズ・ビューティフル』(推薦者:GANG PARADE マネ 辻山)
【連載】Vol.6『ヘアスプレー』(推薦者:花柄ランタン ぷき)
【連載】Vol.7『はじまりへの旅』(推薦者:ランタン 村上真平)
【連載】Vol.8『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(推薦者:松隈ケンタ)
【連載】Vol.9『シカゴ』(推薦者:ユイ・ガ・ドクソン)
【連載】Vol.10『トイ・ストーリー3』(推薦者:T-Palette Records 古木智志)
【連載】Vol.11『青春の殺人者』(推薦者:岩淵弘樹)
【連載】Vol.12『時計じかけのオレンジ』(推薦者:BiS ムロパナコ)
【連載】Vol.13『トレインスポッティング』(推薦者:蒲鉾本舗高政高政社長)
【連載】Vol.14『ドリーマーズ』(推薦者:美容室code+LIM ワタロー)
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【連載】Vol.29『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(推薦者:ナルハワールド)
テラシマユウカ
2014年に結成され、現在9人組として活動中のアイドル・グループGANG PARADEのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。