先週お知らせした通り、映画コラムに関する重大なお知らせがございます。
この度、様々な方にオススメ映画を聞き周りご紹介してきた「テラシマユウカの映画コラム-それでも映画は、素晴らしい。」は前回のVol.31をもって終了する事になりました。
そして今週からは新連載、
「テラシマユウカの映画コラム-今日はさぼって映画をみにいく」
が始まります!
新連載では、上映中の新作映画のみをご紹介します。
映画好きでも、たまに観に行く程度でも、どんな人でもよりいっそう映画に触れやすい形に出来るように。
そして、映画という広い大きなジャンルの中で私自身目的を分かりやすく絞った物が出せる様、映画館へ観に行ける作品のみレビューすることにしました。
新連載「今日はさぼって映画をみにいく」、変わらず毎週火曜に更新していきますので宜しくお願い致します!
Vol.1『ハウス・ジャック・ビルト』
★★★★☆ 星4.0
2019年6月14日より新宿バルト9ほか全国ロードショー。
公式HP:http://housejackbuilt.jp/
魅了され、狂わされ、果てしなく堕ちるー
1970年代の米ワシントン州。建築家になる夢を持つハンサムな独身の技師ジャックはあるきっかけからアートを創作するかのように殺人に没頭する……。彼の5つのエピソードを通じて明かされる、“ジャックの家”を建てるまでのシリアルキラー12年間の軌跡。米国映画協会(MPAA)の審査により全米公開時には一部本編がカットされたが、このたび日本では完全ノーカット版での上映が実現した。
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」や「ドッグヴィル」などを手掛けたラース・フォン・トリアー監督の最新作。問題発言により追放されていたカンヌにも今作で7年ぶりに復帰を果たしています。
主人公ジャックの視点から、彼の殺人鬼としての人生を5つのエピソードに分けて構成された作品。想像を超える描写により公式上映では途中退出者が続出、一方、上映終了後にはスタンディングオベーションが沸き起こるなど、正に賛否両論があります。グロテスクというよりは極めて残酷な問題作です。予想していた程のグロ描写は少なく、ジャックの残虐性、変態性を中心として描かれていました。
潔癖症で強迫性障害のジャックは次々と殺人を繰り返していきます。殺人をアートとして遺体を撮影し冷凍保存する彼の殺人は残虐ながらも妙に魅力的で気付けば彼の虜になっていました。殺人鬼ジャックを演じるマット・ディロンの狂気じみた表情にゾクゾクが止まりません。シーンによっては別人に見えたりするのも魅力的。
容赦ない残酷な殺人シーンが印象的ですが、次第に見えてくるジャックの人物像や彼の思考が語られながら進んでいく点がポイントでもあります。
段々と明かされるジャックの思考は倫理感など欠片も無い卑劣なものですが、この映画の世界に引き摺り込まれてしまうと不思議と彼の持論は説得力があり、人間誰しもが持っているのに隠されている残酷さや、自分も胸の中にそれがあるのではないか、と実は共感出来てしまう部分もあったりして他人事ではない感覚が高揚感を駆り立てます。
また、強迫性障害を患うジャックですが、節々にその片鱗が現れている点もストーリーに直接には関係しませんが個人的に共感できる部分がありました。鉛筆や本を規則的にピッシリ揃えたり、家を出た後にどうしても気になる点をわざわざ家に戻って繰り返し確認してしまったり。私自身、変な所が几帳面で並んでいる物の歪みがどうしても気に食わなかったり、一旦家を出ても戻って家具の配置を揃えたりしてしまうのでめちゃくちゃ分かる〜とクスッとしてしまいました。
そして今作品は日本版のポスターが良い。
ポスターにも描かれている様にダンテの神曲が大きなポイントになっていたりと、作品の要所を的確に捉えられたポスターになっています。
公式サイトには本編鑑賞後の閲覧を推奨している”ハウス・ジャック・ビルト知恵袋”という鑑賞者限定のページもあるのでより考察を深められ、楽しめるようになっています。
今のところ今年イチの映画。
予想を超えるラストは絶対にネタバレ厳禁。
『ハウス・ジャック・ビルト』単なる“悪趣味”という一言では片付けられない衝撃、絶対に見逃してはいけない作品、是非劇場で。
※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。
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テラシマユウカ
2014年に結成され、現在9人組として活動中のアイドル・グループGANG PARADEのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。