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StoryWriter

こんにちは、テラシマユウカです。

天気の悪い日々が続くと学校や仕事、なんだか色々とさぼりたくなりがちな季節。

夏に向かうにつれて気になっている映画が続々と公開され、どれから観るか迷いに迷っている今日この頃です。

まずは、ポスターの魅力的な見出しにつられて目をつけていた作品から観に行って来ました!

Vol.2『ピアッシング』

☆3.7/☆5.0点中

公式HP:http://piercing-movie.com/

 

殺人衝動を持つ男と、自殺願望を持つ女が出会った一晩の物語

自身の幼い娘をアイスピックで刺したいという衝動に駆られているリードはその欲望を鎮めるため、ホテルに呼び出したSM嬢を殺害する計画を立てる。

やがてジャッキーという名の女がやって来る。入念な準備で待ち構えていたリードは計画を実行しようとするが、彼女はいきなり自分自身の体を傷つけて倒れこんでしまう。

ここに、殺人衝動を持つ男と自殺願望を持つ女の悪夢のようなシュールな一夜が幕を開ける。

村上龍原作の小説『ピアッシング』の映画化。PG-12指定。

6/28より渋谷シネクイント他全国ロードショー。公開初日、新宿シネマカリテにて鑑賞してきました。

主人公は母親から暴力を受けながら育ち、大人になった今もなおトラウマを抱えている男リード(クリストファー・アボット)。彼はその過去から殺人衝動を持ち、自分の幼い娘をアイスピックで刺したいという衝動を抑えるためにSM嬢の殺害を計画。

そしてリードに呼び出されたSM嬢ジャッキー(ミア・ワシコウスカ)は自殺願望を抱いた、自傷癖の持ち主。

ジャッキーを演じるミア・ワシコウスカは「アリス・イン・ワンダーランド」のアリス役や「イノセントガーデン」「ボヴァリー夫人」で主演を務めるなど、演技力がズバ抜けている印象が強いハリウッド女優です。

ボヴァリー夫人は不倫をテーマとした作品で、不倫相手役は私の大好きなエズラ・ミラーが演じており好きな作品のひとつ。

ミアは純粋で可憐な芯のある女性だったり、時には仕草や表情が妙に色っぽいエロティックな役を演じたりと作品によって全く違うイメージがあります。『ピアッシング』でもポスターをパッと一目見ただけではミアと気づかないくらい、また違った印象を醸し出していました。

この作品でもミアの素晴らしさが引き立っており、登場シーンの疲れた覇気のない女から、リードと出会い何か悦びに目覚め若返ったかのような生き生きした表情や、肌質まで変わっていく様には驚かされました。

殺人衝動を持つ男と、自殺願望を持つ女が出会った夜、殺しのマウントを取り合い争う男女の恐ろしく痛々しく狂っているのにどこか愛おしいサイコスリラー。

リードとジャッキーそれぞれが抱く過去からの心の痛みが深く突き刺さり、二人が出会った事によって生まれる歪んだドラマはサスペンスでもあり純粋な愛の物語でもありました。

絶対にジャッキーを殺したいと思いながらも元の真面目な性格からなかなか殺しを実行できないリードと、そんなリードを面白がるかのように哀しげな表情をしたかと思えば挑発的になったり様々な表情を見せてくるジャッキー。一方の欲望を叶えれば一方が叶わない。次第に互いに依存していく、決着をつける訳でもない主導権の握り合いは見応えがありました。

ストーリーは至ってシンプルで場面数は少なく、残酷かつ美しいスタイリッシュな映像と世界観、そして81分という短めの尺によって、二人の細かい感情や動作が際立ちハラハラドキドキさせられながらもとても居心地が良かったです。物語の終わり方もスタイリッシュで、その後が気になってしまう不完全燃焼さも残されつつ良い余韻が後を引きました。

そして監督のニコラス・ペッシェは日本文化を敬愛しており、作品内のインテリアなどでも和と洋の親和性が多く見受けられ、それがまたいい味をだしています。ペッシェ監督は次回作でハリウッド版「呪怨」を手掛ける事が決まっており、どんな感じに仕上がるのかとても期待が高まります。

また脚本を自ら執筆した監督はサスペンスをさらに強める為、原作にはあるモノローグ(心の声)をあえて導入しなかったそうです。原作では劇中で抽象化された2人の過去なども細かく描かれているみたいなので読んでみたいと思います。

始まりから最後の最後まで途切れない刺激的な緊張感、ピアッシングの魅惑的な世界に引きずり込まれに劇場へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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テラシマユウカ


2014年に結成され、現在9人組として活動中のアイドル・グループGANG PARADEのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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