テラシマユウカの映画コラム 今日はさぼって映画をみにいくVol.12『惡の華』

こんにちは、テラシマユウカです。

秋が来たと思ったら急に真夏のように暑くなったりと、天候に振り回される日々を送っています。

今週の映画コラムは試写会に招待して頂き、9/27公開のこちらの作品をご紹介します!

Vol.12『惡の華』

☆4.2/☆5.0点中

公式HP:http://akunohana-movie.jp/sp/

あの夏、僕は仲村さんと出会い、

リビドーに目覚めた。

山々に囲まれた閉塞感に満ちた地方都市。中学2年の春日高男は、ボードレールの詩集「惡の華」を心の拠り所に、息苦しい毎日をなんとかやり過ごしていた。ある放課後、春日は教室で憧れのクラスメイト・佐伯奈々子の体操着を見つける。衝動のままに春日は体操着を掴み、その場から逃げ出してしまう。その一部始終を目撃したクラスの問題児・仲村佐和は、そのことを秘密にする代わりに、春日にある“契約”を持ちかける。こうして仲村と春日の悪夢のような主従関係が始まった…。

仲村に支配された春日は、仲村からの変態的な要求に翻弄されるうちに、アイデンティティが崩壊し、絶望を知る。

そして、「惡の華」への憧れと同じような魅力を仲村にも感じ始めた頃、2人は夏祭りの夜に大事件を起こしてしまう…

9/27(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか、全国ロードショー。

絶望の思春期を突き進む、

超〈変態〉狂騒劇!

『惡の華』は「別冊少年マガジン」にて連載された、押見修造氏の漫画。全11巻の原作漫画を127分に見事にまとめ上げ、実写映画化。原作は中学編から高校編へとストーリーが進んでいきますが、映画では中学編をメインに高校生の春日が中学時代を振り返る様な形になっています。ボードレールの詩集『悪の華』に憧れる少年を主人公に、鬱屈とした青春と行き場のない衝動を描いています。監督は、「片腕マシンガール」「覚悟はいいかそこの女子。」などを手掛けた井口昇監督。

思春期。

人生において特に厄介で何故かモヤモヤと居心地悪く感じてしまう多感な時期。誰もがそれぞれ経験するであろう、純粋であるが故にどこにもぶつけようがない精神の揺らぎ。どこにも自分の居場所がないと感じてしまったり、自分は人とは違うと信じていたいながらも心の中に抱えきれない程の不安を感じてしまったり。自分も過去に経験した事であるからこそ、あの息苦しくて生きづらかった思春期真っ只中の子どもと大人の間での葛藤を思い出しキュッと胸が締め付けられました。

11巻もの原作を約2時間にまとめあげ、中学編に加えて高校編まで組み込んだだけでも驚いたのですが、それだけでなく構成やシーンの切り替えも素晴らしかったです。原作を未読なら理解に多少の時間がかかるかもしれませんが、それでも上映があっという間に終わってしまう程入り込めるのではないでしょうか。井口監督の原作への愛をひしひしと感じました。

また特にキャスト陣の演技力が凄まじく、予想以上の再現度の高さです。

春日高男はボードレールの詩集「惡の華」を心の拠り所にする中学生。彼の視点でストーリーは進んでいきます。仲村佐和に、憧れの女子の体操着を盗んで逃げてしまった一部始終を目撃されてしまい、それを秘密にしてもらう代わりに彼女と”契約”を結ぶようになります。

春日を支配するドSな仲村さんを演じたのは玉城ティナさん。最近、「チワワちゃん」や「Dinner ダイナー」などで観たばかりだったので仲村さんをどう演じるのか全く想像もつきませんでしたが、完璧に鋭い眼差しで猟奇的な、危ないと分かりながらもなぜか惹かれてしまう仲村さんの魅力を演じ切っておりただただ驚かされました。しかもそれに加えて圧倒的に顔が良い。この世のものとは思えない美しさに、更に惡の華の世界に引きずりこまれ魅了されます。

春日を演じた伊藤健太郎さんもイケメンオーラを完全に消し、背伸びしたいけれど背伸びしきれない思春期特有の芋臭さや、仲村さんに振り回されるドMで変態的な立ち振る舞いはグッと刺さるものがありました。

そして、撮影当時15歳だった佐伯奈々子役の秋田汐梨さん。佐伯役はオーディションで井口監督に「佐伯を演じられるのは彼女しかいない」と言わしめ満場一致で決定したそうです。佐伯の持つ二面性を見事に表現していて、個人的にこの映画の中で特に目を引いた存在でした。

あの11巻もの原作の中で確実なポイントがしっかりと詰め込まれており、文句無しの素晴らしい実写化でした。

猟奇的に描かれていますが根本は中高生特有の不安定な青春、グチョグチョのどろどろでズクズクですがなんだか自分の思春期を思い出して少しむずがゆくなったり。

とにかく劇場で観て頂きたい作品です。

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テラシマユウカ


2014年に結成され、現在9人組として活動中のアイドル・グループGANG PARADEのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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