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StoryWriter

こんにちは。

最近髪を切りました、テラシマユウカです。

人生の殆どをボブで過ごして来たのですが、ここ半年程ロングを目指して髪を伸ばしていました。

今まで何度も髪を伸ばすのを挫折してきて、やはり今回も中途半端な長さに耐えられず切ってしまいました…。

切ったら切ったでボブ最高! となるので後悔は何もしてないのですが、ロングヘアーに憧れたりします。

多分、私はきっとこのまま一生ボブで生きていく気がします。それはそれで全然あり。

長い時間をかけてなにかをやり続けるというのがとても苦手ですぐに結果を求めてしまうタイプです、、

今週の映画は、長い期間ずっとある女性を想い続けた執念深くも憎めない男の作品を観てきました。

Vol.8『アンダー・ユア・ベッド』

☆4.3/☆5.0点中

公式HP:http://underyourbed.jp/

 

「もう一度名前をよばれたい…」

雨の日の無人のエレベーター。誰かの香水の香りが残っている。俺は思い出す。この香り…… 11年前、たった一度だけ名前を呼んでくれた佐々木千尋のことを。親からも学校のクラスメイトからも誰からも名前すら憶えられたことのないこの俺を「三井くん」と呼んでくれた時のこと。俺は人生で唯一幸せだったあの感覚にもう一度触れたいと思い、彼女を探し出すことにした……。

「今、こうして名もない男がベッドの下で虫のように横たわっている。そして、そこで毎日…彼女を、ただ見つめているんだ」

三井直人(高良健吾)は、今から11年前、大学の講義中に「三井くん」と名前を呼んでくれた佐々木千尋(西川可奈子)のことをふいに思い出した。講義後に千尋を喫茶店に誘い、彼女が好きだというマンデリンのコーヒーを飲み、飼育しているグッピーを分けてあげる話をしたのだった。三井は人生で唯一幸せだったこの時を思い出し、“もう一度名前を呼ばれたい”一心で、現在の彼女の自宅を探し出し、近くにいられるよう引っ越し、観賞魚店をオープンさせた。しかし、目の前に現れた千尋にあの日のキラキラとした眩しい面影はなく、今にも消え入りそうな虚ろな表情の変わり果てた姿に。数日後、千尋が店に来店するも、当然三井のことは覚えてはいないが、“グッピーを飼育する”という絶好の機会を得ることができ、その日以降無断で千尋の家の合鍵を作り、留守を見計らい定期的に潜入し、寝室のベッドに盗聴器を仕掛け盗聴、窓越しに望遠レンズで盗撮し毎日近くから監視する毎日が始まった。だが、見えてきたものは、夫・浜崎健太郎(安部賢一)から激しいDVを受ける凄惨な姿であった…。

この夏一番公開を待ちわびていた作品。私が好きな俳優さんが城田優さん、井浦新さん、高良健吾さん、高橋一生さんの4人なので高良さん主演というのもありとても楽しみにしていました。現在、東京ではテアトル新宿で1日1回上映となっているのでなかなかスケジュールが合わなかったのですが、先週ようやく観ることができ大興奮でした。月3回のペースで映画のために街を全力疾走している気がします。

高良健吾さんといえば最近は「万引き家族」での演技が印象的でした。登場シーンはとても短かく言葉も発さないのですが、素性は分からないながらも何かを抱えているであろうような表情が脳裏にこびりついています。

『アンダー・ユア・ベッド』は作家である大石圭さんのホラー小説であり、2001年3月9日にKADOKAWAから文庫本が刊行されています。30年以上他人から名前も呼ばれた事がなく、無視され続けてきた男が愛する女性のベッドの下を覗き見ることで、夫のDVに苦しむ愛する女性を救おうと試みるさまを描いています。

“もう一度、名前を呼んで欲しい”

この作品で怖いのはその想いへの執着心、ただただそれだけです。三井にとって一番辛いのは嫌われたり軽蔑されるというのでは無く、大学時代に一度だけコーヒーを一緒に飲んで名前を呼んでくれただけの関係の千尋から”忘れられる”という事でした。

この様な気味が悪いストーカーを演じるには高良健吾さんの顔が美形過ぎる為に違和感があるのではないかと疑問を持ちながら鑑賞しましたが、三井という陰気で孤独なキャラクターが想像以上に繊細に作り込まれており、美形だからこそストーカー行為がより気味悪く見えました。

そしてそんな気味が悪いストーカーですが、千尋が夫からDVを受けているのを目撃してしまう事でつい三井を応援してしまいます。三井がやっている事は明らかにアウトなのですが、何故か犯罪者という風には捉えられませんでした。千尋を想う気持ちがあまりにも真っ直ぐで美しく純愛だったからか、また、他人から忘れられる悲しみという点に深く共感してしまったからなのか、三井に思わず感情移入してしまいます。きっとこの映画をみてそうなってしまう人は少なくはないのではないでしょうか。

「人間は二度死ぬ。肉体が滅びた時と、皆に忘れ去られた時だ」

三井は生きながらに死んでるも同然の人間でした。

とても気持ちが悪い作品でしたが、ただ千尋に名前を呼ばれたいという歪みながらも純粋な気持ちはとても切なく、胸が締め付けられます。

女性に対する暴力表現が多い作品でしたが圧倒的に女性客が多く、友達と来た様な方ばかりで意外でした。テアトル新宿へは良く行くのですが、この作品の上映回はいつもより賑わっていました。

高良健吾さんの喜怒哀楽の絶妙な表情の変化が素晴らしく、ストーリーも好みでラストのシーンもグッとくるものがありました。

『アンダー・ユア・ベッド』を観て、同じく高良健吾さんが主演を務めた全く反対のキャラクター、「横道世之介」を久しぶりに観たくなりました。

純愛を感じるか、人間の怖さを感じるか。

是非劇場で。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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テラシマユウカ


2014年に結成され、現在9人組として活動中のアイドル・グループGANG PARADEのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

テラシマユウカ Twitter

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