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1月もいよいよ半ばとなり、次々と話題作が公開され何から観るか迷うという幸せな状況が訪れています。

今泉力哉監督の作品が2つに、スティーヴン・キングに、パラサイトはもう一度観たいし、、と上映スケジュールと睨めっこの日々です。

今週の映画は、何を観るか決められなかったので、ルーレットアプリを使って決めたこちらの作品をご紹介します。

Vol.31『ペット・セメタリー』

☆3.7/☆5.0点中

公式ページ:https://petsematary.jp/

 

「死者が蘇る土地だよ」

家族と田舎に引っ越した医師ルイス。

新居の裏には謎めいた動物の墓地”ペット・セメタリー”があった。

ある日、飼い猫が事故にあうと、墓地を越えた奥深くの森で猫を埋葬する。しかし次の日、凶暴に豹変した猫が姿を現した。その地は、先住民が語り継ぐ秘密の森だったのだ。

そして迎えた娘エリーの誕生日、彼女は交通事故で帰らぬ人に…。

果たしてルイスのとった行動とはー。

ベストセラー作家スティーヴン・キングが、自身の原体験からインスパイアされ、執筆当時あまりの恐ろしさに出版を暫く見送った作品。1989年に公開されたメアリー・ランバート監督の『ペット・セメタリー』がなんとリメイク。前作を観てなくても全然問題ありません。

最近、スティーヴン・キング作品の実写化が続く中で期待が高まっていた今作。89年版と大枠の設定や前半の展開はほぼ同じですが、大きく違うのは事故で死亡するのが幼い長男ではなく、長女のエリーという点。描写も現代風に変わっており、ホラー要素もそこそこでドキドキが続きます。89年版は得体の知れない怖さや悲哀漂う切ないホラーだったのに対し、今作は母親の過去のトラウマなど分かりやすい恐怖だったので、悲しみや後味の悪さも無く、物足りなさを感じてしまいました。

グロテスクさやホラー感は申し分無くありますが、今作からはどちらかというと”死”に向き合うことに対する恐怖を感じました。

ペットセメタリーで蘇る死者は、見た目が同じなだけの中身は全くの別人格。ですが、愛するものを失ってしまった喪失感や生き返らせる方法を知ってしまったことによって、理性の歯止めが効かなくなり狂気染みていくルイスの様子こそがこの作品での一番の恐怖。生きるもののエゴイズムで息を吹き返させても誰も幸せになれない結末に、”死”の観念や人間の弱さを突き付けられる作品でした。

一番驚いたのはオチ。詳しくは伏せますが、89年版映画はその後の解釈の余地を大きく残し不明瞭に終わらせたのに対し、今作は明確にひとつの答えを出したかのような結末でした。

予告でも印象的だった動物の被り物をした子供たちの行進など、意味深なシーンを伏線として活かすと思いきやそうでもなく、家と墓地の2種類しか舞台がないので代わり映えはしないのですが、家の構造やどこから何が飛び出してくるか分からないハラハラ感は素晴らしかったです。生き返った飼い猫のチャーチや娘エリーがもっと大暴走して、もっと残虐にひとりひとり殺していって欲しかったです。

全体的に89年版よりもホラーとしての怖さは増し、不可解な不気味さは減っており、万人受けするとても分かりやすいホラー映画になっていました。

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テラシマユウカ


2014年に結成され、現在10人組として活動中のアイドル・グループGANG PARADEのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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