テラシマユウカの映画コラム Vol.21『マチネの終わりに』

こんにちは、テラシマユウカです。

近況といえば先日、スティーヴン・キング原作の映像作品を網羅したガイドブックが発売され本屋を4軒ハシゴしてやっと購入する事ができ絶賛ワクワクしています。

その1冊を目当てに本屋を巡っていたのですが御目当てに巡り合うまでに2冊も別のホラー映画特集の本を買ってしまっていました。

まだ、じっくりとは読めていないので時間を見つけてゆっくり楽しみたいと思っています。

それはさておき、今週観てきた映画は私が生きてきた中でナンバーワンに大好きなあの小説の実写化映画です!

Vol.21『マチネの終わりに』

☆3.8/☆5.0点中

公式HP:https://www.toho.co.jp/movie/lineup/matinee-movie.html

 

世界的なクラシックギタリストの蒔野聡史は、公演の後、パリの通信社に勤務するジャーナリスト・小峰洋子に出会う。ともに四十代という、独特で繊細な年齢をむかえていた。出会った瞬間から、強く惹かれ合い、心を通わせた二人。洋子には婚約者がいることを知りながらも、高まる想いを抑えきれない蒔野は、洋子への愛を告げる。しかし、それぞれをとりまく目まぐるしい現実に向き合う中で、蒔野と洋子の間に思わぬ障害が生じ、二人の想いは決定的にすれ違ってしまう。

互いへの感情を心の底にしまったまま、別々の道を歩む二人が辿り着いた、愛の結末とは―

原作は、芥川賞作家・平野啓一郎の代表作『マチネの終わりに』。私の人生で1番好きな小説が実写化という事で胸を高鳴らせて劇場へと向かいました。

個人的に恋愛モノを好まない性格なのですが、この作品はすれ違う恋の描写はベタな部分もありながらも一味も二味も違う大人のラブストーリーとなっています。そして、ただそれだけではなくラブストーリーでありながらも40代の人生の苦悩や芸術、世界情勢、どことなく漂う悲哀など登場人物達の心情の変化や生き様を繊細に映し出しています。

また、叙情的な空気の中に鳴り響くクラシックギターの音色にうっとりさせられます。

原作ファンとしては小説を約120分の枠にまとめる難しさも感じつつ、想像以上に原作の空気感に近いものがあり福山雅治さんと石田ゆり子さんのイメージもぴったりでした。

小説『マチネの終わりに』は非常に哲学的な難しさや文学的な奥深さがあるセリフが多く、そこが私の好きなポイントでもあるのですが映画でいざ声に出されてみるとなんだかむず痒くなるような感覚があります。

「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」

というセリフに大きな衝撃を受けた記憶があります。良し悪しどちらの方向に向かっていくにせよ、記憶という概念は不思議なもので未来によって過去を変えられてしまった大きな経験が実際に私にもあって。過去として記憶していたものが時を経て別の過去へと変わってしまう、それはこれを読んで下さっている皆さんにも当てはまる事であると思います。

また人間はきっと、今と未来は変えられると無意識のうちに確信していますが”過去”に縛られている部分が多くあると思います。ですが、”過去”を変えられるものであるとするならばより多くの未来が見えてくるかもしれません。

そんな、様々な考え方が出来る素晴らしい言葉が『マチネの終わりに』には記されています。

原作の序文の一節では

「‪彼らの生には色々と謎も多く、最後までどうしても理解できなかった点もある。私から見てさえ、二人は遠い存在なので、読者は、直接的な共感をあまり性急に求めすぎると、肩透かしを喰らうかもしれない」

と原作者の平野啓一郎さんは綴っており、蒔野と洋子が選ぶ道は決して理解も共感もできるものではないので賛否両論ありますが、私はそれ故に素晴らしい深みのある恋愛物語に仕上がったと感じています。

音楽家とジャーナリストのふたりが出会い、悩み、愛した六年間。

原作小説も実写版映画も違った良さがあり、是非じっくり観て、感じて頂きたい作品です。

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テラシマユウカ


2014年に結成され、現在9人組として活動中のアイドル・グループGANG PARADEのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

テラシマユウカ Twitter

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