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StoryWriter

離れてから気付くありがたさ、

失ってから気付く大切さ。

というものはどんな生き方をしていても避けられないものだなと思い知らされる日々を送っています。

大阪から上京して早3年が経つのですが、東京に来て時を重ねると共に実家暮らしだった時のありがたさというものを痛感します。

私は4人兄弟の長女で家族と暮らしている頃はずっと家が騒がしく、静かな所でひとりになりたいと思うことが多かったのですが、いざ一人暮らしを始めてみると帰宅した時の部屋の暗さや物音のしない寂しさ、親に任せきっていた掃除洗濯家事の面倒さ、家に帰ったら誰かがいるという心強さなど様々な変化が目に見えて離れてから気付くものがとても大きかったなと感じます。

小さな事で言うともう使わないなと思って捨てたものが意外と数日後に捨てなきゃよかったと思ったり。

学生の頃は数学とか必死にやっても別に社会に出て関数とか絶対使わんやろ〜と思って不真面目極まりなかったのですが、いざ少し大人になってみるとあの頃ちゃんと勉強しとけば良かったと後悔したり。

この先、どんな生き方をしていてもやり直したいと思う事や過ぎ去ってから気付く大切さというものは経験してしまう気がします。

という事で今週はそんな、離れてから気付く互いの大切さを描いた映画を観てきました。

Vol.25『マリッジ・ストーリー』

☆4.0/☆5.0点中

マリッジ・ストーリー | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

 

離婚プロセスに戸惑い、子の親としてのこれからに苦悩する夫婦の姿を、アカデミー賞候補監督ノア・バームバックが、リアルで辛辣ながら思いやりあふれる視点で描く。

12月からはNetflixでも配信されている作品。『マリッジ・ストーリー』というタイトルですが、ある夫婦が離婚するまでの過程を描き出した映画です。

女優のニコールとその夫、舞台監督を務めるチャーリーはヘンリーという息子とともに幸せに暮らしていました。チャーリーの劇団は当時女優として名が売れていたニコールの加入もあり次第に知名度が高まっていき、ブロードウェイに進出するまでになります。

しかし、夫の成功に反してニコールは自分の主体性がなくなったように感じ、次第に不満が積み重なり夫婦の関係性が悪化し離婚を決めることになります。初めは円満な別れを望んでいましたがニコールが離婚弁護士を雇ったことによって2人の溝がさらに深まっていき……。といった、どこか『クレイマー、クレイマー』を彷彿とさせるような、涙無しでは終われない感動の離婚劇。

 

 

今作品は予告でもあるように冒頭で夫婦がお互いの好きなところを1つずつ語るシーンといった離婚劇に似つかわしくない始まり。夫目線・妻目線からの予告編、それに併せてビジュアルもチャーリーのシルエットにNYの景色、ニコールのシルエットにLAの景色といった2パターンが公開されており、どちらか一方ではなく双方の目線からストーリーが展開していく形となります。

この作品の素晴らしい点は、2人が対比する存在になりながらも男女のバランスに偏りがなく男尊女卑などといった問題を気にすることなく観れる点です。観る人によって視点を置く場所や感情移入するポイントが違ってきそうだなという印象を受けました。

円満に解決するはずだったのに2人の意思のすれ違いが加速していく中で、弁護士を交え離婚について話し合っているはずの場でランチを自分で決められないチャーリーのメニューをいつものように決めてあげるニコール。ニコールの家が停電になると様子を見に行ってあげるチャーリー。いつものように髪を切ってあげたりなどと結婚生活の中で日常化した事柄を節々で自然とこなしてしまう互いの無意識な思いやりや尊重しあっている姿になんとも切なく胸が締め付けられました。

2人が会話を繰り広げるシーンが多く存在し感情を露わにし言い合う部分もありますが、この作品では言葉が多く飛び出す時間に深く意味が込められているというよりも、どうしてもうまく言葉では伝えられない、でも2人の無意識な些細な行動に強く現れている”愛”という具現化できないものが強く伝わってきます。

私の中では離婚映画といえば父に勧められて観た『クレイマー、クレイマー』だったのですが今作品もとても素晴らしく、互いを思い合っているのに互いに苦しめ合う存在になってしまう様は切ないけれどどこか暖かさはずっとある。離婚劇なのに観ていて結婚したくなる様な、なによりも強く愛を感じる作品でした。

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テラシマユウカ


2014年に結成され、現在10人組として活動中のアイドル・グループGANG PARADEのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

テラシマユウカ Twitter

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