StoryWriter

年末年始、いかがお過ごしでしょうか?

私はきっと実家でダラダラと過ごしている気がします。

私は実家に帰る度、今自分が生きている世界線と大阪で家族が過ごしている世界線とのギャップに困惑し時空が歪んだみたいに感じて病むことが多いです。

分かりやすかった出来事といえば、私にとって小さくて可愛かったはずの弟が久しぶりに会うと私の身長を越して声変わりもしてすっかり男の子らしくなっていて別人に見え、もちろん私がいない間に同じように時が進んでいるのは分かっていてもなんか受け入れられないという謎の感情になるという事がありました。

実家に帰れるのは嬉しいのですが、帰るたびに見える変化に怖さを感じてしまう部分もあります。

上京したての頃よりは大分慣れたので、2020年ではこの不思議な感情を楽しめるところまで持っていけたらいいのになあ、なんて目標が密かにあったりなかったり。

Vol.28『屍人荘の殺人』

☆3.2/☆5.0点中

公式ページ:https://shijinsou.jp/sp/

 

‪神紅大学のミステリー愛好会に所属する葉村譲(神木隆之介)と明智恭介(中村倫也)は学内の事件を推理する自称【ホームズ】と【ワトソン】。しかし葉村はミステリー小説オタクなのに全く推理が当たらない万年助手。事件の匂いを嗅ぎつけては首を突っ込む会長の明智に振り回される日々を送っていた。

そんなある日、2人の前に剣崎比留子(浜辺美波)という謎の美人女子大生探偵が現れ、ロックフェス研究会の合宿への参加を持ちかける。部員宛てに謎の脅迫状が届いたこと、去年の参加者の中に行方知れずの女子部員がいることを伝え、葉村と明智の興味をひく。

3人が向かった先は山奥に佇むペンション【紫湛荘(しじんそう)】。そこに次々と現れるクセモノだらけの宿泊者。しかし葉村たちは想像を絶する異常事態に巻き込まれ、立て篭りを余儀なくされる。一夜が明け、ひとりの惨殺死体が発見される。それは死因もトリックも全てが前代未聞の連続殺人の幕開けだった。

このミステリーがすごい! や週刊文春など国内主要ミステリー賞4冠を達成した話題の小説、今村昌弘デビュー作『屍人荘の殺人』が豪華キャスト陣により実写映画化されました。監督は『民王』木村ひさし、脚本には『TRICK』『金田一少年の事件簿』などミステリー作品に定評のある蒔田光治。神木隆之介、浜辺美波、中村倫也、古川雄輝、矢本悠真などの俳優陣にPerfumeが主題歌を担当するなど豪華な顔ぶれです。

今作の映画は原作未読で予告を観ただけでは、キャラの個性が立ったコメディチックでテレビドラマっぽさもあるミステリーという印象を受けます。ですがいざ蓋を開けてみるとネタバレなので伏せますが、全く種類の違う映画になっているので驚く方も多いかもしれません。その類の映画好きなら別ですが。原作と同様にその設定を完全に隠して予告編を作り上げたのは良かったものの、衝撃の展開というより拍子抜けしてしまうという方向に捉えられかねないなと感じました。

原作ファンの私としては小説は、ミステリーと、それとは普通交わることの無いはずの存在である”解き明かされることのない”フィクションな設定が共存し、殺人のトリックとしてうまく組み込まれるという新鮮さと読み応えがあり、評価されるには納得の素晴らしい作品だったのですが、映画版では説明不足なものが多く、起こった複数の事件に対する考察も登場人物達の内面的なエピソードも原作には存在していたものが大幅に削がれてしまっていました。映画にまとめる難しさもあってかミステリーともう一つの設定が上手く作用せずどっち付かずな状態になってしまっています。

小説でも映画でも何においてもテーマ性というものは無くてはならないものなのですが、今作の映画では原作にはしっかりあったテーマがごっそりと抜け落ちてしまったことにより表面的なストーリーだけで描かれ深みがなくなり、巧妙だったはずのトリックが甘く感じてしまいました。

原作よりもポップなものに上がっており、豪華キャスト陣のテンポの良い掛け合いは見てて気持ちが良いので重いストーリーが苦手な方や、この俳優さんが好き! という人にはもってこいの作品ではあると思います。特に浜辺美波さんは恐ろしいくらい可愛くて華奢で透明感の塊の目の引く存在でした。

作品として悪くはないのですが、作品選びにおいてキャストなどではなくストーリー性に重きを置いているなら原作小説を読むことを強くお勧めします。映画だけ観たという方にも是非素晴らしい原作を読んで頂きたいです。

来年も素晴らしい映画に出会える事を祈って、2019年はスター・ウォーズで映画館納めしてこようと思います。

それでは、良いお年を。

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テラシマユウカ


2014年に結成され、現在10人組として活動中のアイドル・グループGANG PARADEのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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