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StoryWriter

今年もクリスマスがやってきました。

皆さんのご予定は如何でしょうか?

私の中でのクリスマスは、幼稚園か小学生くらいの頃サンタさんから英語の手紙が来て「ほんとに家に来たんだ!」と感動した思い出と、学生時代に毎回期末テストの補講があり「クリスマスにこんなんして先生もみんな大変やなあ…」とか思っていたイメージです。

今年もこれといって特別な気分になる訳でもないのですが、街がイルミネーションで彩られていたり、コンビニに入るだけでもクリスマスモードでちょっぴり浮き足立ってる感じはなんだかワクワクします。

ということで、今年はクリスマスらしい気分でも味わうかと思い、この映画を観てきました。

Vol.27『ラスト・クリスマス』

☆3.9/☆5.0点中

映画『ラスト・クリスマス』公式ホームページ

 

いつも心のそばに──

あなたにもあなたを大切に想うひとがきっと…

 ロンドンのクリスマスショップで働くケイトは、小妖精の格好をしてきらびやかな店内にいても仕事に身が入らず、生活も乱れがち。そんなある日、不思議な好青年トムが突然現れ、彼女の抱えるいくつもの問題を見抜いて、答えに導いてくれる。ケイトは彼にときめくけれど、ふたりの距離は一向に縮まらない。トムを捜し求めつつ自分の心の声に耳を傾けたケイトは、やがて彼の真実を知ることになる……。

ワム! とジョージ・マイケルの楽曲の数々に乗せて贈る、『ラブ・アクチュアリー』以来のとびきりロマンティックでちょっぴり切ないクリスマス・ストーリー。

1984年以来、クリスマスに欠かせない誰もが聴いたことのある定番ソングとして日本でも親しまれているワム! の同名曲「ラスト・クリスマス」からインスパイアされたクリスマスにぴったりな感動作。2016年のクリスマスにこの世を去ったジョージ・マイケルの未発表曲も本作で初披露されています。

意外なことに、極々ありふれた王道クリスマスラブコメかと思いきや予想外の展開。表面的にはラブストーリーなのですが、根本的な人が人としての生きる事や、イギリスの問題であったり、移民やLGBTの差別なども描かれており複数のテーマがある深い作品でした。

主人公のケイトは子供の頃は病気だということもあってちやほやされていたのですが、それもあってか治療して戻ってきてからは自分中心で物事を捉え、嫌なことがあってもその理由を他に移行して自分以外が悪いからと卑屈になってしまうような人間。自分の駄目な所を認められなくて、何をやっても上手くいかない。ケイトは、最初は見ていて少しイライラしてしまうような子でした。

そんな時に突然現れた不思議な好青年トムと出逢い、それまで下ばかり向いて歩いていたケイトは上を向いて夜の散歩をすることでいつも歩いていたはずの道で新たな発見をしていきます。後半になるにつれ、ケイトの人間としての変化がみられ人の気持ちを理解し他人へ寄り添うことや、逃げずに向き合うという事が出来る様になります。

ふとした日々の行いの積み重ねが自分を形成する。

人生を主観ばかりでなく客観的に見つめ直さなければならない時が誰しもにあると、考えさせられました。

オチとしては、ただのラブストーリーではないものの個人的には途中でなんとなく予想がついてしまう展開だったのでもうちょっと捻りが欲しかったなと思う部分はありましたがコメディ要素も面白く、また、織り込まれた社会問題のテーマが現代の時代背景を表すものとしても、ケイトとトムの物語の中に巧く落とし込まれており良い構成だなと感じました。

クリスマス気分も味わえ、”日常の小さな行動がその人を作る”という言葉にとても納得させられ、クリスマス関係なく1年が終わりまた新たな年を迎える前に観れて良かったと思える作品でした。

毎年、この季節になると何の気無しに口ずさんでいたラスト・クリスマスもこれからなんだか新たな意味を持った特別な1曲になりそうです。

デートで観るもよし、家族で観るもよし。寂しくひとりでみても最後には心温まる素敵なクリスマス映画です。

※「今日はさぼって映画をみにいく」は毎週火曜日更新予定です。


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テラシマユウカ


2014年に結成され、現在10人組として活動中のアイドル・グループGANG PARADEのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

テラシマユウカ Twitter

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