皆さん、ホラー映画はお好きでしょうか?
私はホラー映画が一番好きだと耳が痛いくらいに幾度となくコラム内でも言っているのですが、私の周りの人間は苦手な子が多く、共感を得ることなくひっそり趣味を嗜み続けています。
最近、そろそろホラー映画話に花を咲かせられる友達欲し〜! と思うのですが、なかなか難しいものです。
まず普通の人がホラーを映画館に観に行くという敷居の高さをどうにかしたいと思いつつも、良い誘い文句が浮かばずまあ1人は気楽だしいっか〜と変わらない日々を過ごしています。
ということで今日はホラー映画へハマる道の第一歩、初心者にぴったりな作品をご紹介します。
Vol.30『シライサン』
☆2.6/☆5.0点中
公式ページ:https://shiraisan.jp/
親友の突然の死のショックから立ち直れない女子大生・瑞紀(飯豊まりえ)は、弟の変死に直面した青年・春男(稲葉友)と出会う。眼球が破裂し、何かに怯えたように死んでいった彼らの死の真相を探るうちに、二人は理解を超えた戦慄の真実に突き当たる。そして、その名を知ってしまった彼らもまた“シライサン”の呪いに巻き込まれていく。 “シライサン”の正体とは? その名を知ってしまった彼らは、呪いから逃れることはできるのか―?
小説家、乙一が監督するジャパニーズホラー映画。
この作品のイチ押しポイントでもあるので絶対に押さえていて欲しいのが、”超体験サウンドイヤホン360″というものに対応しているという点。事前に無料スマホアプリをダウンロードしておき、アプリと連携させて上映中にイヤホンをつけながら映画を見るというもの。映画本編にはない音が耳元でダイレクトに聴こえ、まるでアトラクションの様なスリリングさが味わえたり、耳元で囁かれている感覚に陥ったりと新感覚で画期的な映画のスタイルを体感することができました。
イヤホンをしていると本編の音が聴きにくくなるんじゃないかという不安はありましたが、全く影響はありませんでした。上映中のスマホ問題が話題の世の中ですが、マナーを守ることは大前提でこの機能が広まっていけば映画館自体の音響が充実していない場所でもダイナミックな音と共に映画が楽しめるのではないかと、今後の普及が楽しみになりました。
今作品はとある怪談話を聞きその霊の名を知ってしまうと呪われてしまい、数日以内に鈴の音を鳴らしながら異様に大きな目の女”シライサン”が出現し殺しにくる。目を逸らすと近づいてくるそれは、消えるまで見つめ続ければ殺されないという謎の存在。
基本的に大きな音を出したりビクッとなるようなパワー系の接触はなく、暗闇にひっそりと佇み「チリーン」と静かに鈴を鳴らしながら一歩一歩近づいてくるジワジワと恐怖を与えてくる霊。簡単に言うなら、だるまさんがころんだ恐怖バージョンを終始やっている感覚でした。
終盤でシライサンの正体や歴史についての流れになるかの様な片鱗は見せつつも結局は深掘りされず、闇に葬られてしまったのでストーリーに深さがなく、ただシライサンが現れては人が死んでたまに逃げ切ってまた現れて、、という同じループ。特にグロテスクでもなく、次第にシライサンが暴走して怖さが増していくわけでもないのでワンパターンに感じてしまいます。序盤からかなりの人が死んでいくので、そこは容赦のなさとシライサンの歩き方の禍々しさは良い点だったのですが、ホラーとしての要素が極めて少ないと感じました。
登場人物ひとりひとりにもっと焦点を当てたり、瑞紀と春男の関係性などサイドストーリーが欲しかった気持ちもありますが、最後に仕込まれていた仕掛けは鳥肌モノでした。気を抜かず注意して見ておかないと気づかないかもしれないので、是非ともエンドロールに書かれている名前にまで注目して頂きたいです。
今のSNSの時代背景に合わせて、人間が承認欲求に塗れているなら幽霊にもあるだろうということで、シライサンにまで承認欲求を持たせてしまった笑いそうになっちゃう新感覚のホラー。
ひたすら恐怖を求めている私としては物足りなさを感じてしまいましたが、怖いもの見たさで友達と、なんて方にはオススメできる”本当にあった怖い話”と同じ類の丁度良いホラー映画でした。
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テラシマユウカ
2014年に結成され、現在10人組として活動中のアイドル・グループGANG PARADEのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。