StoryWriter

こんにちは。

1月にしてはそんなに寒くないのか寒いのかよく分からない日々が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか?

今週ご紹介する映画を観に行った際、隣の席が外国人の方々だったのですが『ジョジョ・ラビット』を観て声が漏れてしまうほどに泣いてらっしゃいました。

この人は、もしかしたらこの作品の第二次世界大戦中のドイツやユダヤ人迫害についてよく知っていて、日本人の私達が知らない様な事をこの作品から受け取っているのかもと思うと、自分の歴史への無知さによって、この作品に秘められているメッセージが受け止め切れていないのかと、なんだかもやもやと変な気持ちが生まれました。

どんな洋画を観るときもそうなのですが、ほぼ必ずと言っていいほど時代背景が映し出されていて、もっと世界の事を知っていたらなあと感じることがあったので、今回の出来事はそれが具現化したみたいで少しドキドキしました。

映画を観に足を運ぶということの面白さをまたひとつ見つけた気がします。

Vol.32『ジョジョ・ラビット』

☆4.5/☆5.0点中

公式ページ:http://www.foxmovies-jp.com/jojorabbit/

 

舞台は、第二次世界大戦下のドイツ。心優しい10歳の少年ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)は、空想上の友だちのアドルフ・ヒトラー(タイカ・ワイティティ)の助けを借りながら、青少年集団ヒトラーユーゲントで立派な兵士になろうと奮闘していた。

しかし、ジョジョは訓練でウサギを殺すことができず、教官から”ジョジョ・ラビット”という不名誉なあだ名をつけられ、仲間たちからもからかわれてしまう。

そんなある日、母親(スカーレット・ヨハンソン)とふたりで暮らしていたジョジョは家の片隅に隠された小さな部屋で、ユダヤ人の少女(トーマサイン・マッケンジー)がこっそりと匿われていることに気付く。ジョジョの頼りとなるのは、ちょっぴり皮肉屋で口うるさいアドルフだけ……。臆病なジョジョの生活は一体どうなってしまうのか!?

トロント国際映画祭で観客賞を受賞し、見事アカデミー賞作品賞・助演女優賞(スカーレット・ヨハンソン)の主要2部門をはじめ、脚色賞・編集賞・美術賞・衣裳デザイン賞と6部門にノミネートされた大注目の作品です。

ジョジョ役には、何か月も続いていたオーディションを一瞬で終わらせたという、ローマン・グリフィン・デイビス。映画初出演ながらも圧倒的な愛くるしさと演技力を持ち合わせる天使。

ユダヤ人少女を自宅に匿い、ナチスに抗うジョジョの母親ロージーには、ハリウッドのトップスター、スカーレット・ヨハンソン。オシャレを楽しみ、ダンスを踊り戦争中でも心豊かに暮らそうとする強く美しい母親。スカーレット・ヨハンソンにハズレなしです。

そして監督、脚本を手掛け、ジョジョの想像上の友達アドルフ・ヒトラー役まで演じ、恐るべき才能を発揮したのは、ニュージーランド出身のタイカ・ワイティティ。

第二次世界大戦下の劣勢な状況のナチスドイツという暗くヘビーなテーマを個性豊かで愛くるしい登場人物たちが皮肉たっぷりにユーモアをきかせたコミカルでハートフルな作品。

個人的にはジョジョの親友ヨーキーがお気に入りで、ころころと丸いおデブちゃん体型に丸メガネ、少し鈍臭く天然でジョジョを見つけて駆け寄りハグする姿がたまらなく愛おしい。ジョジョとヨーキーの2人のビジュアルと関係性が良いアクセントとしてこの作品を観る者の口元を緩ませてくれます。

大人から与えられた情報を信じて疑わず、ヒトラーに盲目的な子どもたちを中心とし、第二次世界大戦が次第に悪化していく戦況と共に、自分の弱さと無知さを知りそれを克服しようと奮闘するジョジョの姿をコメディ混じりに描いた心温まる風刺映画。小学生の頃、ナチスドイツのユダヤ人迫害について興味があり図書館で色々な本を読み漁っていた過去があったので、その頃に学び衝撃を受けた事を思い出し、第二次世界大戦中の時代背景を知っていると更に刺さるものがあると感じました。

前半はポップに可愛らしく物語が進みますが、あるシーンをきっかけに一気に戦争中という事実が思い出されシリアスな方向へと進み、集団洗脳の恐ろしさがひしひしと伝わってきます。

敗戦間近には人が多く行き交い賑わっていたはずの街も気づけば閑散とし、ジョジョが街の壁に貼ったポスターはボロボロに剥がれ、鮮やかだった街並みは色を無くし、子どもも女性も関係なく武器を持ち銃声が鳴り響く中に飛び込む状況。これまで信じて疑わなかったヒトラーの現実を突きつけられ、明るかったはずの世界の見え方が変わる瞬間は悲しく残酷でした。

10歳の少年の視点から見た戦争の残酷さとナチスの愚かさをコメディというオブラートに包みながらもダイレクトに伝え、悲劇と喜劇を融合させた、1人の少年が愛と世界を知る成長物語。

笑いあり涙ありの感情を揺さぶられる、

多くの人に届いて欲しいと強く願ってしまう程に素晴らしい作品でした。

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テラシマユウカ


2014年に結成され、現在10人組として活動中のアイドル・グループGANG PARADEのメンバー。2016年に行われた新生BiSの合宿オーディションに参加し、BiS公式ライバル・グループSiSのメンバーとして活動を始めるが、お披露目ライヴ直後にまさかのグループが活動休止。2016年10月にGANG PARADEへ電撃加入し、多くを語らない性格ながら強い意志と美学を持ってグループになくてはならない存在に。映画好きが高じて、StoryWriterにてテラシマユウカの映画コラム「それでも映画は、素晴らしい。」の連載スタート。

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